小惑星は日常的に地球の近くを通過しており、そのほとんどは全く問題ない。だがまれに、地球と衝突する可能性がわずかにでもあるため、潜在的な脅威として警告されることがある。新たに発見された地球近傍小惑星「2024 YR4」はその一つだ。大きさが約40~90メートルで、今のところ、2032年12月22日に地球上のどこかに衝突する確率が、NASAの2025年2月18日時点の計算で3.1%とされ、発見当初の確率(1%超)よりわずかに上がっている。
誤解のないように言っておくと、慌てて頑丈なシェルターにお金をかける必要はない。この小惑星は、たとえ推定のうち最も小さいサイズだとしても、直撃すれば都市を壊滅させる可能性があるため、監視した方がよいことは確かだ。しかし、天文学者がより多くのデータを集めるにつれ、地球との危険なランデブーの確率は、ほとんどの場合、おそらく急激にゼロに近づくだろう。
今回の発見は、地球を致命的な宇宙岩石から守る「プラネタリー・ディフェンス(惑星防衛)」のシステムが、順調に機能していることを示している。
世界中の天文台が、地球近傍天体の発見に貢献している。米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)はともに、現在までに発見された危険になりうる小惑星と彗星をすべて、極めて正確に追跡できる自動ソフトウェアプログラムを開発してきた。
惑星防衛の重要な原則の一つは、地球に向かってくる小惑星を、地球にぶつかる前に発見することだ。NASAとESAや彼らの同僚らが、どのようにしてそれを実現しているのかを紹介しよう。(参考記事:「続報:NASAの「地球防衛実験」、小惑星の軌道変化を確認」)
小惑星の偵察隊と監視隊
地球上のどの望遠鏡も、惑星防衛に貢献できる。もし地球上のどこかの天文学者が、小惑星(または彗星)らしき天体を発見したら、惑星防衛コミュニティーに報告すればよい。
しかし、NASAは、未発見の小惑星や彗星を探すことに特化した望遠鏡のネットワークを世界中にもっている。チリにある望遠鏡は、NASAが出資する「小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)」の一部であり、2024年12月27日に「2024 YR4」を発見した。
天文台が未知の小惑星を発見すると、米マサチューセッツ州ケンブリッジにある小惑星センター(MPC)に報告される。そこは、天文学者の掲示板のようなものだ。そして、興味を持った天文学者は、その最初の観測結果を利用して、自分の望遠鏡で追跡することができる。





