2025-06-03

サイエンス"ZERO"

心筋細胞の老化メカニズム2022年Nature

「この論文は、間質細胞(線維芽細胞、新筋細胞、血管平滑筋細胞など)におけるYAP/TAZの活性低下が老化を促進するメカニズムを解明しています研究の結果、老化組織におけるYAP/TAZ活性の低下がcGAS-STINGシグナル伝達を活性化し、これが細胞老化とその関連炎症を引き起こすことが示されました。

具体的には、以下の点が挙げられます

**YAP/TAZ活性と老化の関係:**

* 加齢とともに間質細胞特に線維芽細胞や血管平滑筋細胞)におけるYAP/TAZの活性が低下する。

* YAP/TAZを遺伝的に不活性化すると、老化が加速される。

* 逆に、YAP/TAZ機能を維持すると、老化した細胞が若返り、加齢関連の特性抑制される。

**cGAS-STING経路の関与:**

* YAP/TAZの不活性化による老化は、組織の老化に先行して細胞老化を誘発する。

* これは、YAP/TAZのメカノトランスダクションがcGAS-STINGシグナル伝達を抑制しているためであり、STINGを阻害することで、YAP/TAZ不活性化後の組織老化や早期老化関連組織変性が防止される。

**メカニズム:**

* YAP/TAZは、核膜の完全性を維持する上で予期せぬ役割果たしており、少なくとも部分的にはLaminB1やACTR2(核周囲のアクチンキャップ形成に関与)の直接的な転写制御を介している。

* 核膜の完全性が損なわれると、細胞質にDNA露出し、cGAS-STING経路が活性化される。

結論として、この研究は、YAP/TAZのメカノシグナル伝達の低下が、cGAS-STINGシグナル伝達の活性化を介して老化を促進するという新しいメカニズム提唱しています。YAP/TAZのメカノシグナル伝達を維持するか、STINGを阻害することが、細胞老化関連の炎症を抑制し、健康な老化を促進する有望なアプローチとなり得ると示唆しています。**」

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