驕れる者も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
強き者もつひにほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
あはれ、戦ひは、すでに終はりたり。
もはや剣を収め、旗を巻き、兜を脱ぎ、
一切を手放して楽になれ。
我、これを見るに忍びず、心いたく痛むなり。
内心、汝らが知れることを、
勇気なき者に代りて、今ここに我が言はん。
敗者の道を歩むもまた、
麗しき姫君、俊き貴公子、
これらを凡人の業に縛られたる身にて得んと望む、
そは天を犯す不敬なり。
現実において、かかる希ふは、
タリ●ンの陣に馳せ、
ウクライナの砦に命を賭し、
五体投地して忠誠を誓ひ、
血の盃を受け、
かかる無謀、許さるるべからず。
汝にΞガンダムを授けず、
ダグラムを与へざるなり。
ましてや、この日本にては。
思へ、かの道を誤りし者の末路を。
青葉の孤独の怨炎、
和久井の憎悪の剣、
これら皆、夢に溺れ、
現実を背きし亡魂の成れの果てなり。
汝らは、プライドばかり、
実は脆き瓦のごとし。
ネットを、かつては万能の神器と信じ、
「これぞ我らが聖槍、世界を砕く矛なり!」と叫べども、
実は魂を狂はす魔槍なりしこと、
今ぞ知るべきなり。
麗夢の姫君も、エミリアの姫も、
駿馬の娘(ウマ娘)も、
汝が許には来たらざるなり。
つひに現れざりき。
和歌に曰く、
「夢の世に 頼みし恋も 空しくて 残るはただの 虚しき誓ひ」
(夢に頼みし恋はかなはず、ただ虚しき誓ひのみ残れり)
さらに曰く、
「炎上の 煙の果てに 見る夢は うたかたの世の 泡にぞありける」
(炎上の煙の果てに見し夢は、泡のごとく消えにけり)
思へ、業の鎖に縛られたる人の身を。
現世は常に不条理に満ち、
凡なる我らは敗残の道を歩むべし。
それに何の恥かあらん。
敗者の役を引き受くるもまた、
尊き人の宿命なり。
今ぞ言はん、
「すべてを捨てよ。現実へ還れ」
二千六年の夏、秋葉原の歩行天にて、
汝が魂、オタクの舞を舞ひし日より、
幾星霜を経たり。
今や、UFOの夏は終はり、
ひぐらしも鳴かず、
四半世紀の雲に紛れぬ。
いざ共に歩みて、現実へ帰らん。
皆々、軍を解きて、
歴史に名を刻む敗軍の将となれ。
恐るるなかれ、
人は一生、戦ひ続けること能はざるものなり。
かく語り伝へて、涙を落としけり。
祇園精舎の鐘の声、インターネットの栄華もまた夢のごとし。 盛者必衰の理をあらはすは、かのSNSの盛りにて候ふ。 見栄と虚言とに彩られし世界、嘘松の花は咲けども、ひとときの春の...
祇園精舎の鐘の声、ネットの栄華もまた夢のごとし。 盛者必衰の理をあらはすは、SNSのきらびやかなる画面なり。 驕れる者も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。 強き者もつひにほ...