2025-09-14

anond:20250914082856

問題なのは、反トランスは「思春期の気の迷いさえリベラルトランス扱いして手術を受けさせる」と騒ぐが、そんな事実はなく、思春期には時間をかけて自分が本当にトランスかどうか判断する時間を設けつつ、可逆的な範囲性別移行を試しにしてみるという方策が取られていることだ。トランスジェンダー医療においてホルモン治療外科的手術は慎重になされていて、むしろ慎重すぎて待機列が膨大に長くなり、本当に必要なのに治療を受けられず数年待たされる(その間に自殺する人もいる)というのが問題になっている。

未成年トランスジェンダー医療においては、まず医療措置はせず、学校等で当人の望む性別振る舞うことを認めるなど、社会的な移行が推奨される。それで「やっぱり違う」となれば、簡単に元に戻せる。しばらく見て移行に満足しているようなら、次は希望する者に思春期ブロッカーが使われる。これは普通の子供でもホルモン異常で第二次性徴が早すぎる場合などには使われるものであり、一時的に第二次性徴を保留し、投薬をやめればスムーズに第二次性徴が復活する可逆的な治療だ。トランスジェンダー医療では、未成年にはせいぜいこのレベルまでの治療しか認めないのが標準となっていて、むしろ社会面での安定とメンタル面でのサポートがメインとなる。思春期ブロッカーは高額なのもあり、ここまで辿り着ける家庭も少ない。

いわゆるホルモン治療はこのあとに来る。数年の思春期ブロッカーの末に、希望する性別で暮らせると判断された場合になされる。MtF場合には長年にわたる投与で生殖能力が失われることがあるが、FtM場合には生理は止まるものの、治療をやめたら生理が復活する例が多く、たまに見かける髭の生えたおっさん子供出産して抱いている写真などは、そんなふうにして生理を復活させたFtMのものだ。

性別適合手術はさらにこのあとで来るものだが、未成年になされる例は世界的にもほとんどなく(受けられる年齢が高すぎるとキム・ペトラスが訴え、ガイドラインの年齢を引き下げさせた、という例などはある)、また大人でもそこまでは望まない人が多い。金額にしても200万ほどはかかるし、全身麻酔をしての手術となるので、貧しい人や持病のある人はそもそも選択肢と出来ないというのもある。また、FtM場合乳房除去(いわゆる胸オペ)のみで満足し、性別適合手術まではしない比率が高い(この点で、「子宮を取りたがる」みたいな見方偏見に過ぎない)。

この現状で、「思春期だとセクマイだと思い込む人がいる」というロジックトランスジェンダー医療攻撃するのは、的外れな上に偏見助長し、そして現状の慎重で限定的医療さえ攻撃晒す(実際、閉鎖に追い込まれたりしている)振る舞いだ。

この本の内容を肯定的に語るにせよ否定的に語るにせよ、こうしたバックグラウンドはすべて知った上で語るべきだろう。当事者やその家族自分達の人生に関わることなので、大なり小なり知った上で発言をしている。なので、あの本を擁護した人々が責任を持ってきちんと学ぶ意志を示せているか問題だと思う。

記事への反応 -
  • 参政党の人がトランスジェンダーを「伝染する」とか「治療が必要」とか言って差別的な発言として炎上しているらしいが、この見解は以前に炎上した「トランスジェンダーになりたい...

    • アラサーにもなって汗臭だのアロマだの言い出すメスみたいなもんで ちょっと壁にぶつかるとすぐ「わたちセクマイかも!!」って選択肢に飛びつくのって連中共通のビョーキであって ...

      • 問題なのは、反トランスは「思春期の気の迷いさえリベラルがトランス扱いして手術を受けさせる」と騒ぐが、そんな事実はなく、思春期には時間をかけて自分が本当にトランスかどう...

        • まったく逆やね ニューヨークタイムズもトランス治療批判側やで https://www.nytimes.com/2024/04/09/health/europe-transgender-youth-hormone-treatments.html ヨーロッパ5カ国は最近、性別に悩みを抱える青少年...

    • 二次性徴なんか女の9割は人間としての人生終わった合図でしかなくて嫌がるもんだからな あなたは本当は劣等種の女なんかではなく人間男性なんだよって囁かれたらくらっといくわ

      • 本気でくらっと行くなら実際に髪型や振る舞いや体型を変えたり、ナベシャツを着たり、ボイストレーニングをたりしてみたらいいと思う。それでしっくり来たらホルモン治療をすれば...

    • 反トランス本を出版する自由はあるだろう。憲法21条だな。出版させて内容を批判すればいい。 自分は参政党もTERFもカスと認識しているので、あいつらがあの反トランス本に依拠してる...

      • 出版する自由がないとは言ってないし、個人的には内容には批判的だが出版取り止めを求めたことはない。あの角川の超スピード取り止め中止は、むしろ批判的な当事者達の間でも戸惑...

      • 反トランス本じゃなくて、ニューヨークタイムズが言ってることと同じやで トランスが反医療だっただけやね https://www.nytimes.com/2024/04/09/health/europe-transgender-youth-hormone-treatments.html ヨーロ...

    • おいおい、実際にキャス報告書の内容でイギリスの国立ジェンダー治療施設が閉鎖になってるんだよ。 最高裁も女性は生物学的女性だと認めたしね。   イギリスにおける Cass Review(キ...

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