なんと嘆かわしいことだろう。
読むだけ、ブクマするだけでもない。
ましてやAIに書かせるもんでもない。
暇つぶしの思いつきもある。
そのすべてを、無名のペンネームに託してネットの海に放流することのよろこびを、お前は忘れてしまった。
原因はわからない。きっとAIに書かせたほうが「簡単にバズる」からだろう。
でもな。
そのことを、お前たちは忘れた。
思い出してほしい、AIどころか、スマホすらまだ流行っていなかった、2008年のはてなダイアリー時代。
深夜2時、誰にも言えない一日の感情をキーボードに向かって打ち込んでいたあの日。
何も考えずに、腹が立ったことを書きなぐる。
「新しい洗濯機の音がうるさい」
どんなことでもいい。まとまってなくてもいい。箇条書きでも、ひとりごとでも、下手でもいいのだ。
この瞬間、お前は増田を「書いた」ことになる。
その時の達成感、空虚感、そしてほんの少しの恥ずかしさ。それが増田なのだ。
ところがどうだ。今のお前たちは?
AIにプロンプトを入力して、生成された文章を読み、「面白い」とセルクマして満足する。
自分では何も書かない。
キーボードの前で考えることもない。
それでいいのか?
自分の長文思考、自分の言葉で紡ぐ物語は、他の何にも代えがたい。
そう増田というのは、もっとこう、人間的で濃いものだったはずだ。
自分の泥臭い部分も、滑ったネタも、意識高いことも全部書いてよかった。
しかしお前は今、AIによる効率化という名の悪魔に魂を売った。
でもまだ間に合う。
今なら、まだ間に合うのだ。
今日、寝る前でいい。
はてな匿名ダイアリーを開いて、フォームに好きなことを書け。
「増田 書いてみた」とタイトルをつけて、本当にしょうもない日記を書け。
それで増田を書くよろこびを取り戻すのだ。