2025-03-28

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黒い雨が降り始めたのは、ちょうど正午を回った頃だった。最初はただの異常気象かと思われたが、やがて空が不気味な紫色に染まり東京高層ビルが軋みを上げながら崩壊し始めた。震度計測不能大地震、原因不明津波、次々と破壊される街――それはまるで「終焉」の序章だった。

総理大臣石破茂は、首相官邸危機管理センターにいた。政府要人たちは皆、顔を青ざめ、混乱に陥っていた。

「現状を報告してください」

石破は冷静な声で言った。防衛大臣が血の気の引いた顔で答える。

首都圏は壊滅的被害を受け、通信網の大半がダウン。政府機能麻痺寸前です……。しかも、全国各地で同時多発的に大災害が起きています北海道では大規模噴火が発生し、九州の一部はすでに海に沈んでいます!」

「……なるほど」

石破は唇を引き結び、静かに考え込んだ。これは自然災害ではない。明らかに、何か異常な力が働いている。

避難誘導継続しつつ、自衛隊首都圏に集中させろ」

総理、もはや自衛隊だけでは対応できません! これは――これは日本のものが終わるレベル災害です!」

「……それでも、最後まで足掻かねばならない」

石破の目に、決意の炎が宿る。

そのとき秘書官が駆け込んできた。

総理科学者チームの解析によると、この異常事態は未知の力場によるものらしいです。我々の物理法則とは異なる『何か』が、日本列島を包み込んでいる可能性が高いと……!」

「つまり、我々はこの状況をどうにかできるのか?」

秘書官はためらいがちに頷く。

「……方法は一つだけあるそうです。しかし、それには総理あなた決断必要です」

石破は静かに息を吐いた。彼の頭の中には、幼い頃から愛したこの国の風景が浮かぶ鳥取砂丘、穏やかな海、そして人々の笑顔

「……言ってみろ。その方法を」

終わりゆく日本石破茂が下した決断とは?

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