志村貴子「そういう家の子の話」が、宗教二世界隈(?)で話題なので最新話まで読んでみた。
センセーショナルじゃない二世たちの物語を書きたいとインタビューで仰っていたとおり、志村先生は淡々と登場人物たちの生活を綴っている。
登場人物は、皆とある新宗教に関わりのある人たち(二世に限らない)で、群像劇。
本当に色々な人が出てくる。ネットでは、「やっと私たちの物語が読めた」というような当事者の反応が多い。
だけど、俺の境遇がこんがらがりすぎているのと、色々な人が出てくるといいつつも、作品全体としては結局先生ご自身の境遇が滲み出ているというか(それ自体は全く問題ない)、「無宗教」の人が読みやすいようになっているというか、そのように自分には感じられて、あまりエモーショナルな気持ちにはならなかった。
別にこの作品がnot for meであること自体は構わないし、not for meなだけでとても素晴らしい作品だと思う(のでこの漫画を批判する意図は全く無い)が、個人的に困ったのは、この漫画が界隈で「とても共感できる作品」という評判なように見受けられること。
この国だけでも1億人以上いるので絶対にそんなことはないと信じているけど、「当事者」間で好評な「群像劇」の中にさえ感情移入できる人が見当たらないとなると、やはり自分みたいな人は全然いないのでは(というか俺だけなのでは)という疑念が首をもたげてしまって精神衛生によろしくない。
てか、そもそも自分のルーツの教団はネットのおもちゃやエンタメのネタになるほど大規模じゃないし、SNSの海ですら関係者を全然見かけないから、同世代でマジョリティであるはずの幽霊二世/三世と繋がることすら困難である。