今日は彼氏とデート。やっと来たタクシーに乗ろうとしたその瞬間、異変が起きた。
杖をついた弱者男性が、スッと俺の前に立ち、横入りしてきたのだ。
俺の怒りが爆発した。全身の血が沸き立つ。
「増田砲、発射!」
掌から光の帯が炸裂し、空間を裂く。風が巻き起こり、周囲の看板や車がビリビリと震える。
弱者男性は杖を盾のように構え、光をまともに受け止める。だが、その瞬間、光は弾けるように四方に跳ね返った。
「うわっ!」俺の攻撃が跳ね返り、街路灯をかすめ、タクシーの屋根を揺らす。
「障害者には優しくしないと」
その一言がまるでスイッチのように働き、跳ね返った光が街全体に広がる。建物が揺れ、路面がひび割れ、夜空に赤と青の閃光が舞った。
俺も彼氏も、弱者男性も、街全体の戦場に閉じ込められた。逃げ場はない。
互いの力がぶつかり合うたび、地面に裂け目が走り、タクシーの車体が宙に舞う。光の刃と影の刃が交錯し、夜は完全なる戦場となった。
「これ…終わらないのか…?」
タクシーひとつで始まった戦争は、今や街全体を巻き込む熾烈な戦い——
逃げられる者など誰もいない。