2025-11-09

熊の議論雰囲気しかない件。まずは「数」の話をしよう

クマめぐり百家争鳴の様相を呈しているが、その大前提となるべき数の把握が、実は極めて不十分な状態にある。

環境省の最新資料[1]では、ツキノワグマの生息数を「約4万2千頭以上」と推計している。しかし、この数値の実態は、調査手法も精度も異なる各県の推計の中央値を単純に合算したものに過ぎない。 「以上」という表現から察せられるように、これは正確な実態を示すものではない。専門家でさえ、全国の正確な生息数を把握できていないのが実情だ。

この推計値がいか曖昧であるかは、秋田県エピソードが端的に示している。2019年、同県はカメラトラップ調査ベイズ推定により生息数を2,800〜6,000頭とかなり幅の広い推計した。さらに深刻なのは、この推計に基づき「2023年に2,314頭(当時の推定中央値の半数近く)を捕獲したのだから絶滅に向かう」といった主張すら見られた。しかし、実際には2025年現在過去最悪の被害が出ていることを考慮すると、当初の推計値が実態を捉えていなかった、あるいは半数捕獲という見立てが正確ではなかったことを示唆している。

より精度の高いDNA検査を用いるヘア・トラップ法も存在するが、高コストがネックとなり、十分な調査予算が確保されていない。

ツキノワグマによる被害10月ピークに11月以降は減少傾向に入るため、冬が近づくと議論が下火になりがちだ。しかし、生物個体数は指数関数的に増加しうるものであり、長期的な視点での政策が不可欠である。現状のように正確な生息数がわからなければ、将来的な管理目標や、適切な捕獲数上限[2]を設定することは不可能だ。今、目の前の被害一時的に減ったからといって対策を先送りにすれば、国土の大部分が山で覆われる日本の将来に、深刻なツケを残すことになる。

持続可能な頭数管理を実現するため、今こそツキノワグマの正確な生息数調査への予算措置を最優先で行う必要がある。科学アプローチ一丁目一番地は、信頼できるデータを集めることから始まるのだから

[1]:環境省資料 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kumahigai_taisaku/dai1/shiryo1.pdf

[2]:有害駆除を除いた捕獲数は生息数をもとに決められる。

  • じぶんひつこいな

  • 死者数で言えば熊よりコロナ系の感染症で死んでる奴の方が多いだろうけど今更コロナ対策やらんのやろなあ

  • 数の話をするとたかだか年間10人だか20人だかの死者のために大掛かりな対策をするのはコスパ悪いな

    • 対策しないと食料自給率にとんでもない影響出るぞ。

    • こういうところでしか言えないけどな 今後も続くのか収まったり増えたりするのかわからんのはある 社会全体が声上げたもん(不安煽ったもん、賛同得たもん)勝ちなところあるから無...

  • クマの場合は数の話より先に計数方法の話になってくるんじゃないのかな はてなあたりではSFアニメか魔法アニメみたいな手法しか見かけないけど

  • なぜか変換できない

  • 首くくって死ねAI松

  • ``` id:narwhal 今何頭いるかはわりとどうでもいい。ゼロを実現するのだ。 https://anond.hatelabo.jp/20251109132639 ``` 熊ジェノサイド論者だ。

    • 熊居ない地域あるんだから日本に居なくなったって誰も困らんだろ

      • それ そもそも、擁護する理由がない クマと棲み分けするってことは、将来クマに殺されても仕方がない、そういう人生もあるって言ってるようなもので、超危険人物

        • 人間だってクマ殺してるんだからお互い様だろ

          • 藤本たつきの短編集がプライムビデオで見れるよ 「庭には二羽ニワトリがいた」でも出てきたわー 人間だって同じことしてるでしょって つまり君は宇宙人側の人?

    • クマもスズメバチも基本ジェノサイドでいいのでは。 人間にとって存在するデメリットが大きすぎる。 どうしても残すなら、人里と物理的に隔絶した環境下で暮らしてもらおう。

  • コメの収穫量の統計もそうだけど適当に惰性でやってる調査ばかりなのよな

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