ドナルド・トランプ米大統領は米国時間8月12日、自らの関税政策が同国に「数兆ドル(数百兆円)」をもたらしていると述べた。これは一部の経済学者による推計と一致する金額だが、その推計は今後10年間のものであって、今年達成するであろう金額を表したものではない。
トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で「関税によって数兆ドルが徴収されている」と述べ、彼の関税政策が「インフレやその他の問題を引き起こしているわけではなく、それどころか、莫大な現金が財務省の金庫に流れ込んでいる」と主張した。
しかしトランプは、関税は外国製品を輸入する米国企業が支払うものであり、そのコストは最終的に米国の消費者が負担することを説明していない。
財務省が12日に公表したデータによると、9月を期末とする今年度の関税収入は現状1420億ドル(約20兆10000億円)だ。
トランプ関税が4月に発効して以来の関税収入は約960億ドル(約14兆2000億円)で、7月の関税収入は前年同期比273%増の280億ドル(約4兆1400億円)へと跳ね上がった。6月の関税収入は270億ドル(約3兆9900億円)、5月は220億ドル(約3兆2500億円)、4月は160億ドル(約2兆3700億円)だった。トランプ関税以前の収入は、3月が80億ドル(約1兆1800億円)、2月と1月はいずれも70億ドル(約1兆400億円)だった。
輸入関税は国際貿易において輸入者が支払う税であり、米国内の企業や個人が外国から商品を輸入する際に課されるものだ。企業は関税の影響を吸収しようと価格に転嫁する傾向があり、そうなれば、最終的には消費者がそのコストを負担することになる。
スコット・ベッセント財務長官は、今月初めに放送されたMSNBCの番組で、この関税政策が年間3000億ドル(約44兆3600億円)の歳入を生み出すと予想し、「2026年にはさらに多くなる可能性がある」と述べた。
また、Tax Foundationによる推計では、トランプ関税が今後10年間で生み出す歳入は約2兆5000億ドル(約370兆円)にものぼり、これにより日用品価格が上昇し、平均的な世帯あたりの負担は2025年に約1300ドル(約19万2200円)、2026年には約1700ドル(約25万1400円)になると見込んでいる。加えて、米非営利組織のCommittee for a Responsible Federal Budget(CRFB)は、この関税政策が続く場合、2034年度までに関税が米国GDPに与える影響は合計2兆8000億ドル(約414兆円)にものぼると予想している。



