ほとんどの企業は、給料が安すぎるために人材を失う。米スターバックスが北米で人材を失おうとしているのは、昇給が一律だからだ。
スターバックスで起こったことは、以下の通りだ。
・社員の貢献度に基づく昇給を廃止した
・貢献度に基づく昇給を、一律2%の昇給に置き換えた
・「理論上は公平」のように聞こえるかもしれないが、平等というのは公平ではないことが多い
この決定は、ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)のコスト管理戦略の一環であり、売上が減少し、競争が激化する中、再建のための資金を工面するためのものだ(ニコルCEOは最近、会社を率いて4カ月で9600万ドル=約142億円の報酬を手にし、米企業で最も報酬が多額な経営者の1人となった人物だ)。
一律昇給の導入が実際には大失敗なわけ
この単純な動きが悲惨な結果をもたらす理由は、以下の通りだ。
・優秀な人は、努力が報われないところには留まらない
・普通の社員の向上心がなくなる
・成績の悪い社員は、成績そのままで報われる
ひと言で言えば、スターバックスは社員にもっと頑張るように伝えている一方で、いくら懸命に働いても無駄だと言っている。頑張ったところで昇給の幅はみな同じなのだ。
これはお金だけの話ではない。評価と社員の士気の問題だ。社員は、自分の努力が認められていると感じたい。努力はチャンスにつながると信じたいのだ。それを奪えば、やる気も失われてしまう。
スターバックスは公平性を作り出していると思っている。そうではなく、同一性を作り出しているのだ。そして同一性はすぐに平凡さを招く。



