肉乃小路ニクヨさんプロフィール

肉乃小路ニクヨさん
「経済愛好家」「コラムニスト」「ニューレディ」
1975年生まれ。千葉県出身。渋谷教育学園幕張高等学校卒業。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学在学中に女装を開始。大学を卒業後は証券会社→銀行→保険会社など、金融業界でさまざまな職種につきキャリアを積む。 会社員と並行してショウガール・ゲイバーのママとして勤務。 42歳で約10年務めた外資系保険会社を退職し、経済愛好家・ニューレディとしてフリーランスに転身。
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YouTube『肉乃小路ニクヨ[Japanese Drag Queen]』のチャンネル登録者数は11万人超え。
 

挫折だらけの20代、全てが今の自分への投資だった

トウシル:ご経歴を見ると、有名進学高校→慶應義塾大学→金融業界大手と、ピッカピカのエリートなので驚きました。プロフィールを見ると、挫折の少ない人生のように見えるのですが…。

肉乃小路ニクヨさん(以下、ニクヨさん):とんでもない。子供時代は肥満児で友達も少なかったし、小学校5年生で自分がゲイだと自認して、大学生時代にふっきれるまではそれを隠して自分を偽って生きてきました。

 大学時代も、父親ががんになり、看病するために一年休学した後、復学してやっと卒業しています。卒業後に新卒で入った証券会社も、入社とほぼ同時に急性肝炎になってしまい、研修もほとんど受けられず、病床で二種外務員(証券会社の社員に必須な資格)の勉強をしていました。

 やっと復職しても、病みあがりで体力が持たず、数カ月で退職してしまいました。その後も非正規雇用が長かったのでお金もなくて、風呂トイレ共同の4畳一間に住むなど、けっこう苦労した20代でしたよ。

トウシル:メンタル面でも経済面でも、いくつもの壁を乗り越えて今があるんですね。

ニクヨさん:はい。大学在学中に父が亡くなったんですが、ローンが完済してない不動産を持っていたので、私が20歳になるや否や、強制的に億単位の連帯保証人にさせられました(笑)。わけも分かんないのに紺のブレザーを着せられて、金融機関に連れていかれて、自分の将来も見えていないのに「連帯保証人」の欄にハンコを押しました。

トウシル:うわー。20歳にして億単位の連帯保証人とは、なかなか怖いですね…。お金のありがたさと責任の重さ、両方を痛感する事件ですね…。

ニクヨさん:はい。この不動産からの家賃収入のおかげで、無事、大学を卒業できたのですが、「これからはあんたが連帯保証人だからね」って母親に言い渡されて、内心とてもビビっていました(笑)。

トウシル:社会人になられてからは、ニクヨさんは証券会社→非正規の証券会社コールセンター→銀行→生命保険会社の正社員、と金融業界に長くて、人とお金の関係をさまざまな面から見てこられたと思います。

ニクヨさん:いろいろやりましたね。証券会社のコールセンターやったり、銀行で投資信託と外貨預金、仕組み預金などを電話で営業していました。その時、変額保険や個人年金保険も販売していたんですがこれが面白くて、もうちょっとちゃんと働きたいなと思って30歳直前で外資系生命保険会社の正社員になったんです。

トウシル:生保ではどんなお仕事をされてたんですか?

ニクヨさん:今まで営業最前線で金融商品を販売してきたんですが、生保では、営業支援の仕事をしました。銀行でも生命保険を販売していたので、自社の保険の販売方法を指導したり、研修に必要な資料を作成したりする部門にいました。

トウシル:生保はノルマが厳しい、というイメージがあるんですが、辛いことはなかったですか?

ニクヨさん:生保って、お客さまの人生に寄り添って、何十年以上っていう長期で手数料をいただくビジネスなので、収益モデルが短期ではなく長期スパンだったのが私の性格に合っていたみたいで、特に大変なことはなかったですね。生保時代に、金融系の難関資格をたくさん取得したのも大きな成長になりました。

 そして、私は大学在学中から女装を始めたんですけど、生保時代は会社員をしながら、夜や週末は女装してショウガールをしたりして、とても充実していました。

トウシル:あの、変なこと聞くんですけど、昼間の会社は…女装していなかったんですね?

ニクヨさん:しないわよ(笑)。ちゃんと男性のスーツ姿で通勤してました。でも忘年会の余興やクリスマスパーティーで社員の仮装コンテストがあって、私も本気の女装を披露して、優勝しちゃいました。大人げないでしょ(笑)。

トウシル:女装のクオリティも高いし、ご自身がエンターテイナーでもあるので、圧勝だったんでしょうね(笑)。