変身ヒロインもののアニメにおいて、そのコスチュームは子供たちの憧れを引き出す重要な要素である。
特に、リボンやフリル、キラキラした装飾は、女児向け作品において鉄板のデザインだろう。
現実世界では、こうした衣装が「なりきりグッズ」として販売され、多くの子供たちがキャラクターになりきる遊びを楽しんできた。
筆者自身も、子供時代に憧れのキャラクターの衣装を親に買ってもらい、その姿で遊んだ記憶がある。変身ヒロインたちは、身近にある「ヒーロー」だったのだ。
しかし、最近発表されたある女児向けアニメでは、主人公たちの衣装がレオタード風のデザインとなっており、疑問を感じざるを得ない。
特に注目すべきは、アニメ本編の衣装と、関連商品である「なりきり衣装」におけるデザインの乖離である。
アニメ本編のレオタード風デザインに対し、実際に販売されるなりきり衣装や、声優のライブイベントで着用された衣装はスカートが追加されたアレンジとなっている。
この事実は、「なぜ初めからスカートを採用しなかったのか?」という疑問を呼び起こす。
アニメ的なファンタジー表現としてレオタードを採用したのかもしれないが、果たして本来のターゲット層である女児たちがその衣装に憧れるだろうか。レオタードという選択が、保護者たちにどう受け取られるかも気になるところだ。
アニメの世界観としてレオタードを採用した意図があるのかもしれない。
しかし、演じる声優がイベントでスカート姿となると、「じゃあリアルの女の子たちには適応できないデザインということなのか?」と疑問を抱かざるを得ない。
結局、声優たちが普通にスカートで登場している時点で、「レオタードはあくまでアニメ的なファンタジー表現として消費してください」というメッセージなのだろう。
だが、それならばそもそも「なぜ女児向けアニメでレオタードを採用したのか?」という矛盾が残る。結果的に、誰に向けたデザインなのかが見えにくい。
子供向けのヒーローものにおいて、「憧れ」は非常に重要なポイントだ。
「私もあのキャラみたいにかっこよく戦いたい!」と子供たちが思えることが作品の魅力に直結する。
しかし、現実ではその憧れのキャラの衣装が再現しにくかったり、違和感を覚えるようなデザインであると、子供たちの気持ちとズレてしまうのではないか。
この問題は、「製作者が本当に子供たちや保護者の目線に立って考えたのか?」という疑問にもつながる。
ファンタジー表現としてのアニメ的デザインが必ずしも悪いわけではない。
だが、それがターゲット層にきちんと伝わらなかったり、混乱を招くような形になってしまうのは、本末転倒と言えるだろう。