2025-09-15

エイドリアン・ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR

これは「空力の鬼才」と呼ばれるエイドリアン・ニューウェイが買いた本だ。

この本、確かに面白い勉強になる。だが同時に、読んでて無性にムカついた。

まず、ニューウェイの謙遜のなさだ。35年のF1キャリアを振り返りながら、自分デザインしたマシンいかに優秀だったか淡々と語る。ウィリアムズFW14B、マクラーレンMP4-13、レッドブルRB19…確かにどれも史上最強クラスマシンだ。でもその語り口に、ほんの少しの謙遜もない。俺が作ったから勝てたんだという自信が行間から滲み出てる。

特にイラついたのが、他のエンジニアデザイナーに対する評価の仕方だ。明らかに俺の方が上という態度で書いてる。確かにその通りかもしれないが、読んでて「お前そんなに偉いのか」と思った。

さらに腹立たしいのが、技術的な詳細をあえてぼかして書いてる部分があることだ。空力設計の核心部分になると「これ以上は企業秘密から詳しくは言えないが」とか書いてたりする。これじゃあ技術書じゃなくて、ただの自慢話集だ。

でも一番ムカついたのは、この本を読んだ後の自分の反応だった。

くそ、こいつめちゃくちゃ凄いじゃないか」と認めざるを得なかった。19個のF1タイトルに関わり、150勝以上を記録し、史上最も成功したデザイナーという実績は否定できない。ニューウェイの設計哲学問題解決アプローチは、確かに天才的だった。

特に感動したのが、子供時代タミヤの1/12スケール ロータス49を作っていた話だ。幼少期から機械いじりが好きで、分解と組み立てを繰り返していた少年が、やがて世界最高峰F1マシン設計するようになる。この流れに、エンジニアとしての原点を見た気がした。

結局のところ、俺がムカついたのは嫉妬だった。自分技術者の端くれとして、ニューウェイのような圧倒的な才能と実績に憧れる。でも同時に、その高すぎる山を見上げて絶望的な気持ちになった。

「どうすれば、もっといい仕事ができるか」というこの本のテーマが、読後に重くのしかかった。ニューウェイは常にこの問いと向き合い続けてきた。そして実際に、より良い仕事を積み重ねてきた。

俺たち凡人エンジニアは、この本を読んでどう感じるべきなのか。諦めるのか、それとも少しでも近づこうと努力するのか。

ムカつくけど、やっぱりこの本は凄い。技術者なら読むべきだ。そして読んだ後に感じる複雑な気持ちも含めて、この本の価値なんだと思う。

くそ、やっぱりニューウェイは天才だった。

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