企業の倒産が増えている。帝国データバンクの調査によると、2025年度上半期の倒産件数は前年同期比3・1%増の5146件。上半期で5000件の大台を上回ったのは2013年度以来で、8半期連続の増加は2000年度以降で最長だという。主な要因は、物価上昇と人件費の増加、金利の上昇だ。人手不足と物価上昇で追い詰められていたところに、金利上昇の〝トリプルパンチ〟を受け、倒産を余儀なくされた格好である。

 当然、倒産増加は景気や企業業績に悪影響を与えるが、一部業種にはプラスに働く公算がある。債務保証ビジネスだ。

 倒産の増加に伴い、保証会社などが借入金を代わりに返済する「代位弁済」も増加している。全国信用保証協会連合会によれば、24年の代位弁済額は、前年比18%増の5515億円。保証ビジネスを展開する企業の大半が、ここ数年、売上高を伸ばしている一方で、株価は伸び悩んでいる銘柄が少なくない。

 債務保証ビジネスでは、金利が大きく上昇すると、景気悪化で借入金の不良債権が進み、貸倒引当金を積み増す必要がある。そのため、今後日銀による利上げが加速するようなら、事業環境が悪化する可能性は高まるが、高市首相が利上げにやや消極的なことを考えると、今後、日銀が何度も利上げに踏み切るシナリオは想定しづらい。つまり、債券保証事業者にとって、現在の事業環境は株式相場でいう「ゴルディロックス(適温相場)」と言っていい。

 注目銘柄として、まずはイー・ギャランティ(8771=1595円)が挙げられる。債務保証リスクを細分化して、ファンドなどに売却する「流動化ビジネス」が特徴だ。業績は新規契約増加で好調が続いており、26年3月期は「24期連続の増収増益」を見込む。

 家賃を中心に医療費や介護費などの保証ビジネスを展開するイントラスト(7191=1033円)は、家賃保証事業が堅調なことに加え、医療費保証事業が成長中。ほかに、穴株として債務保証やサービサー(債権回収)事業が好調で、ロンドン証券取引所グループの「ESG(環境・社会・ガバナンス)指数」の構成銘柄に選定されたJトラスト(8508=399円)にも注目しておきたい。

 前述したように、債務保証事業は利上げが進み、景気悪化局面に突入すると、収益が下ブレする可能性がある。5年、10年と長期で保有するというより、ここ1、2年の株価上昇を捉えることを目標にしたいところだ。(株価は4日終値)