日経平均株価が27日、史上初となる5万円の大台を突破した。株高を牽引しているのは、ソフトバンクグループを筆頭とした半導体関連株の株価上昇だ。ほかに株価上昇が顕著なのが、防衛や造船といったセクターである。造船業に関しては、「日米ともに防衛の核となる産業で、足元の造船ブームも加わって中長期的な株価上昇が期待できる」として、6~7月の当欄で取り上げてきた。

 取り上げた銘柄の株価推移を見ると、三井E&S(旧三井造船)は掲載後に約2・6倍(2393円→6320円)に上昇。そのほか、名村造船所が同2・2倍、大同メタル工業2・2倍、NITTAN2・2倍など、取り上げた銘柄の株価は軒並み2倍以上に上昇している。

 さらに、直近でも日米両政府が造船能力の増強に関する協力覚書を交わしたことに加え、日本造船工業会が2035年までに造船の建造量を倍増させる方針を明らかにするなど、造船業にはプラス材料が怒涛のごとく押し寄せている。もはや「造船」は、半導体や防衛と並ぶ主力相場テーマと言っていい。

 当然、前述したように、造船関連株の株価は大きく上昇している。とはいえ、中長期の業績拡大が確実視されているだけに、今後、株価の出遅れが目立つ銘柄や、穴株に広く物色が広がる可能性は十分ある。実際、27、28日は森尾電機のような流動性の低い船舶関連株にまで物色が波及した。ここでは、株価の見直し余地が大きい船舶関連の銘柄を紹介しておきたい。

 ビル用ゴンドラや舞台機構設備、昇降装置が主力のサンセイ(6307=447円)は、船舶修繕用のドックやクレーンを所有し、船舶の修繕を手掛ける。これが材料視され、10月24日以降に株価が連日上昇したが、まだPER(株価収益率)は約10倍、PBR(株価純資産倍率)0・74倍と出遅れ感が強い。足元の急騰の反動で調整したタイミングで拾いたい。

 ダイハツインフィニアース(旧ダイハツ工業、6023=3345円)は船舶用ディーゼルエンジンで世界的企業だが、日本の造船業の衰退のあおりをもろに受けて株価の低迷が続いていた。24年から株価が動意付き始めたが、スタート地点が低かったため、まだ上値余地がありそうだ。ほかに、航空機や船舶のリース業を展開しているSBIリーシングサービス(5834=5020円)は、日本型オペレーティング・リースが好調。株価に値ごろ感はないものの、指標的には割安。(株価は28日終値)

ダイハツインフィニアースの姫路工場(GoogleEarthから)
ダイハツインフィニアースの姫路工場(GoogleEarthから)