2025-03-21

3月19日FOMC会見内容のまとめ

今回のFOMC会見では、政策金利は据え置きとすることが決定。また、バランスシートの縮小ペースを減速させるという技術的な決定も行われました。


経済情勢について

議長経済活動は引き続き堅調に拡大しているとしながらも、最近指標では消費者支出の鈍化が見られると指摘しました。

家計企業経済見通しに対する不確実性が高まっていることも言及されました。

労働市場については、依然として堅調であり、失業率は低い水準を維持しています

インフレ率は過去2年間で大幅に緩和されましたが、依然として目標の2%をやや上回っています

今後の経済予測

GDP成長率の見通しは下方修正され、インフレ率の見通しはやや上方修正されました。

金融政策方向性については、今後のデータ経済見通し、リスクバランス評価し、追加の政策調整を検討するとしています

現時点では政策スタンスの調整を急ぐ必要はなく、より明確な情報が出てくるのを待つことが適切であるとの考えが示されました。

経済の展開に応じて政策スタンスを調整する方針も改めて示されました。

インフレ関税の影響について

短期的なインフレ期待の上昇が見られ、その要因の一つとして関税言及されました。

ただし、関税インフレに与える影響を正確に評価することは困難であるとしています

関税によるインフレ一時的ものである可能性も指摘されました。

一方で、長期的なインフレ期待は概ね安定しているとの認識が示されました。

消費者信頼感は低下しているものの、実体経済データは依然として堅調であると述べられました。労働市場は全体として均衡しており、雇用解雇のレートが低い状況が続いています

トランプ政権政策について

貿易移民財政政策規制経済金融政策に与える影響については、不確実性が高いとされました。

量的引き締め(QT)のペース減速

準備預金が依然として豊富である中で、金融市場の円滑性を確保するための措置であり

金融政策スタンスバランスシートの長期的な規模に影響はないと説明されました。

全体

金融政策の枠組みに関する5年間の見直し継続されており、労働市場の動向と最大限の雇用目標に焦点が当てられています

議長は、最大限の雇用物価の安定という二つの責務に引き続き注力していく姿勢を強調しました。

インフレ見通しの上方修正における関税の影響の度合いについて

質問: 記者からインフレ見通しの上方修正のうち、どの程度が関税によるものかと問われました。また、政策金利の経路が変更されない場合、これは一時的価格水準のショックと見なしているのかという質問も出ました。

•回答: 議長は、インフレのうちどの程度が関税によるものか正確に評価することは非常に困難であると述べました。年初の財のインフレの上昇には関税が一部影響している可能性はあるものの、特定することは難しいとしています一時的インフレと見なすかどうかについては、現時点では判断が早すぎるとし、関税によるインフレが速やかに解消されるか、長期的なインフレ期待がしっかりとアンカーされているかどうかにかるとしました。政策金利の経路に変更がないのは、成長率の低下とインフレ率の上昇が相殺し合っている側面や、高い不確実性の中で政策を変更することへの慎重さがあると説明しました.

消費者信頼感の低下の解釈について

質問: 消費者信頼感調査悪化について、今後の消費支出の先行指標となる可能性と、その背景にある要因について質問が出ました。

•回答: 議長は、消費者信頼感調査と実際の経済活動との間には、必ずしも強い相関関係があるわけではないと指摘しました。過去には、悲観的な調査結果が出ても、消費者積極的支出する例もあったとしています。ただし、今回の状況も注視しており、実際の経済データに弱さの兆候が見られないか慎重に監視していくと述べました。消費者センチメントの低下の背景には、新政権政策変更に伴う不確実性なども考えられるとしました。

過去インフレ認識との比較について

質問: 過去インフレ認識特に一時的(transitory)」という表現が適切でなかったこととの比較について質問が出ました。

・回答: 議長は、過去パンデミック時のインフレと今回の状況は異なるとして、安易比較はできないとしました。一時的インフレ要因に対しては、金融政策対応することは適切ではないとしつつも、インフレ判断の難しさを認めました。今回はまだ完全な物価安定が再確立されていない状況であり、企業価格転嫁意向なども注視していく必要があると述べました。

政権政策の影響について

質問: 新政権貿易移民財政政策規制の4分野における政策変更が経済に与える影響と、金融政策への波及について質問が出ました。

•回答: 議長は、新政権政策変更の全体的な影響が重要になるとしつつ、現時点では不確実性が非常に高いと述べました。具体的な影響を評価するには時期尚早であり、今後のデータを見極めていく必要があるとしました。

量的引き締めのペース減速の意図について

質問: バランスシート縮小(量的引き締め、QT)のペースを減速させる決定の背景と意図について質問が出ました。

•回答: 議長は、金融市場の準備預金量が依然として豊富であるものの、マネー市場で若干の引き締まり兆候が見られたため、予防的な措置として減速を決定したと説明しました。これは金融政策スタンスを変更するものではなく、中長期的なバランスシートの規模にも影響を与えないとしています。以前にもQTのペースを減速させた経緯があり、今回も同様の考え方に基づいていると述べました。債務上限問題(debt ceiling)が議論きっかけになったものの、最終的にはより広範な観点から判断したとしています

これらの質疑応答から議長は現時点では経済方向性政策の影響について高い不確実性があるという認識を持ちながら、入手するデータに基づいて慎重に判断していくという姿勢

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