■吉利A7 vs プリウス首都高燃費チャレンジ動画が示すもの

https://h5.video.weibo.com/show/1042211:5183995152105536

微博で、中国市場で秋に発売予定の吉利（ジーリー）銀河A7が、プリウスと首都高で燃費対決を行ったとするライブ配信動画が公開された。以下、その映像が投げかけるメッセージと日本への影響を整理する。

動画内容

• 吉利銀河A7 EM-i 2.0は首都高を100 km走行し平均2.47 L/100 kmを計測したとされ、2.52 L/100 kmのギネス記録を保持するプリウスを上回ったと主張する。
• トヨタの地元である東京を舞台にしたことで「燃費王を本拠地で破った」との象徴性を演出する。
• A7の中国での予定価格は約10万元（約220万円）と報じられ、プリウス（275〜392万円）に対する価格優位を強調する。
• 走行グレード・モード、測定補正、第三者検証などは不明で、プロモーション映像の域を出ない。

日本車勢への影響

• 中国勢の挑戦は国内メーカーにPHEV／HEVの熱効率50％超や長距離EVモード開発を急がせる動機となり得る。
• 200万円台前半で40 km/L級という数字が可視化されれば、国内ハイブリッドの価格見直しや装備充実が進み、消費者の選択肢と値ごろ感が向上する。
• PHEV低燃費が注目されれば、EV一辺倒ではない多様な低炭素シナリオを議論する行政の後押しとなる。
• 「燃費＝トヨタ」というブランド資産が揺らぐことで国内外の広告効果やブランドロイヤルティが低下する恐れがある。
• 低価格PHEVとの比較が常態化すれば、国内メーカーは値下げまたは高付加価値化を迫られ、主力ハイブリッド車の利益率が圧縮される可能性がある。
• A7が日本市場に導入される場合、中国製パワートレインや電池の流入が国内サプライチェーンの空洞化を招く懸念がある。
• 検証不十分な数字が拡散することで消費者が誤解したまま購入判断を行う情報リスクが生じる。

総合評価

動画は「安価な中国PHEVが日本の象徴であるプリウスを燃費で超えた」という話題性を狙った販促映像であり、測定の透明性に欠ける。もっとも、技術競争と価格競争を同時に仕掛けるシグナルとして国内産業への警鐘になり得る。真の影響はA7が実際に販売・導入された段階で顕在化する。メーカー、行政、そして消費者が備えを検討する契機として受け止めるのが妥当である。

Permalink | 記事への反応(1) | 04:12

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