東京都江東区のインターネットセキュリティ会社に勤務する被害者A(以後A)は、「Hagex」というハンドルネームでブログ「Hagex-day info」を運営しており、インターネット上のトピックを拾い出して独自の視点で伝えるスタイルで人気を博していた[2]。同名義でネットに関する著書も出版している[3]。
福岡県福岡市に住む無職の犯人X(以後X)は、2016年頃からポータルサイトはてなが運営するはてなブックマークやはてな匿名ダイアリーに出没し、複数のユーザーに誹謗中傷のコメントを送り、通報されてアカウントが凍結されても新規のアカウントを再取得して同じ事を繰り返すという迷惑行為を行っていた。Xは中傷コメントに「低能」という表現を多用したため[4]、他ユーザーからは「低能先生」との呼び方が定着していた。
Xからの中傷を受けていた一人であるAは、2018年5月に上記のXの行動と「低能先生」と呼ばれていることを説明した上で、Xから被害を受けたら運営に対して「低能先生です」とだけ書けば迅速に対処(アカウント凍結)される事を2018年5月にブログで紹介した[5][注 1]。
これに逆上したXは、6月24日にAが地元福岡市にある創業支援施設「福岡グロースネクスト」(旧大名小学校跡地)で開催されるセミナーに講師として来訪する事を知ると、当日現地に出向いて待ち伏せし、セミナーが終了した午後9時に1階トイレでAを襲撃。刃渡り16.5cmの包丁で何度も刺されたAはほぼ即死だった[2]。
Aの殺害後、Xは24日深夜になって凶器の包丁を持って交番に出頭[2]。福岡県警は殺人容疑および銃刀法違反容疑で緊急逮捕した。
2019年11月20日、福岡地裁は懲役18年の判決を下した[7]。検察、弁護側双方とも控訴期限の12月4日までに控訴せず、懲役18年の判決が確定した[8]。