2025-10-28

家が天国になった話

娘が生まれ半年ほど経ったころ、知人からさな猫を譲り受けた。

掌にすっぽり収まるくらいのキジトラで目の色がミルクティーみたいに薄かった。

娘とほぼ同じタイミングハイハイを覚えて、ふたりして床の上を移動してた。

そのうち猫のほうが娘のあとを追いかけるようになって、娘はそれを見てケラケラ笑う。

あれから三年。うちは夫が主夫をやってる。稼ぎ頭は私だ。

仕事は大変だけど、家のドアを開けた瞬間――天国になる。

靴を脱ぐ間もなく、ちょこちょこと足音が近づいてくる。

「おかえりー!」と娘の声。その隣で猫が、まるで同じタイミングで「にゃー」と鳴く。

玄関マットの上でちょこんと並んで座ってる。

さな頭がふたつ、こっちを見上げて微笑む。

うそれだけで今日の嫌なことも全部どっかに消える。

夫がキッチンから「手洗ってきてねー」と笑って言う。

からカレー匂い

猫は娘の足元をくるっと回って、娘は猫の背中を撫でて、ふたりともこっちを見てニコニコしてる。

なんだこれ。天国じゃん。

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