2025-11-01

🔥厚木激アツ!ギャルホルモン屋の奮闘記🔥

厚木市の裏路地看板は色褪せ、暖簾は煤けてボロボロ。「ホルモン幸(さち)」は、いつ潰れてもおかしくない、地味で古びた店だった。

店主は、口数少なく無愛想な頑固一徹の爺さん、幸造(こうぞう)。幸造の焼くホルモンは、鮮度も腕も確かだが、店構えと幸造の愛想のなさで、客足は途絶えがちだった。今日も客はゼロ。幸造は黙々と、いつもの場所で仕込みをしていた。

そこに、まばゆい光を放つ存在が現れた。

「ちーっす!幸造じいちゃん、マジ久々〜!」

ド派手な金髪に、バッチリメイクトレンド最先端を行くギャルカレンだ。カレンは幸造の孫で、東京アパレル関係仕事をしていると聞いていた。

「…カレン?何しに来た」

幸造は眉をひそめた。カレンはいもの調子で、「いやぁ、最近仕事辞めてさ。で、厚木に帰ってきたわけ!じいちゃんの店、ぶっちゃけヤバいっしょ?だから、アタシが立て直す!」と、元気よく宣言した。

幸造は鼻で笑った。「お前みたいなのが、この店をどうにかできるわけがない。帰れ」

しかし、カレンは引かなかった。

「はぁ?無理だしとか、超だるいこと言わないでよ。じいちゃんホルモンマジでウマいんだから、あとは見せ方の問題でしょ!」

カレンは翌日から、幸造の猛反対を押し切って店の改造に取り掛かった。

まずは、店の外観。カレンは友人たちを巻き込み、外壁を塗り直し、古い提灯を、ネオンカラーモダンデザインに替えた。内装も、暗かった照明を明るくし、BGMは最新のEDMに。幸造の愛用していた、油まみれの古い椅子テーブルは、ポップな色合いの新しいもの一新された。

「こんなふざけた店、客が来るわけない!」幸造は怒鳴った。

「見てなさいって!」カレンはニヤリと笑うと、SNSを駆使した宣伝を始めた。

カレンは、ホルモン写真を、まるでファッション誌のグラビアのように加工し、ハッシュタグ「#厚木激アツホルモン」「#ギャルと爺ちゃんの店」を添えて毎日投稿した。

「じいちゃんの隠れた名作!秘伝のタレで漬け込んだ極上レバー!マジとろける💖」 「ギャル直伝!映えるドリンクと、ジューシーハラミで優勝🥂」

この宣伝が、功を奏した。

「あの古くて汚い店が、ギャルの店になったらしい」「ホルモンが信じられないくらい美味い」という噂が、厚木若者たちの間で広まった。

週末の夜、「ホルモン幸」の前には、開店を待つ若者たち行列ができた。

「いらっしゃいませー!今日レバーが超推しだよ!」

カレンは、明るい笑顔と、丁寧すぎる接客で、次々と客を席に案内する。最初は戸惑っていた幸造も、カレンの指示で、黙々とホルモンを焼き続けた。

そして、客は皆、幸造の焼くホルモンの旨さに舌を巻いた。

「これ、マジでヤバいっすね!今まで食べた中で一番うまい!」 「ギャップ萌えってやつ?この爺さん、ただ者じゃない!」

客の称賛を聞くうちに、幸造の頑なな表情に、少しずつ変化が訪れた。

ある日、カレンが「じいちゃん今日のお客さん、インスタで見て来てくれたんだって!」と言うと、幸造はそっぽを向いたまま、小さな声で呟いた。

「…まぁ、悪くはねぇな」

その日、カレンは初めて、幸造の顔に浮かんだ微かな笑みを見逃さなかった。厚木の裏路地で、「ホルモン幸」は、カレンギャルセンスと幸造の職人魂が融合した、新しい人気店として、連日大盛況となった。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん