CD購入のシリアルでも外れ、先行も全て外れた、でもどうしても行きたかった
同行者とガチで泣いて、公式は会えるのが楽しみですみたいなことを言うし、複数当選している人もいるし、どうにかして行きたいという気持ちが強くなっていくばかりだった
病んでいた
最近のチケットは電子チケットで簡単に転売ができないのだが、私が手を出したのはスマホごと借りるやつだった
出品者とのやり取りでこちらの個人情報を出し、相手からも住所などがきた、そのうちチケット情報がきて、それなりに良い席だったから同行者と喜びあった
チケットの金額は倍どころではないし、自分は地方だから宿泊しないと行けなかった
親には同行者が当ててくれた、ホテル代が高いから自分の持ち金じゃ足りないと説明した
その人は複数アカウントでチケットを手に入れているようで、そのアーティストには興味はなく、ただ確実に転売できるからチケットをとっていると言っていた
待ち合わせ先は私と同行者が宿泊するホテルの廊下、他にもいるからそこでいいと言われた、そこに現れた人は私たちにスマホを渡してチケットが間違いなくあることを見せてくれた
ライブは普通に参加できた、本人確認については幕張メッセはいちいち本人確認できるような余裕がある人数ではないのでそこはそんなに心配はなかった
ライブが終わって同行者と興奮しながら電車を乗り継ぎホテルに帰った、スマホはすぐに返そうと思って帰り際のコンビニですぐに送り返す手続きもした
これをやったのが大学生の頃、社会人になって自分のやったことがやばいことに気づいた
両親にあの頃のお金はこう言う理由で、こういう人とやり取りをして、と話したらその場で母親に引っ叩かれた
もしその人が悪い人でうちに来たらどうするのか、個人情報を悪用されたらどうするのか、あなたのそのわがままで他の家族に危害を加えられたらどうするのか
たかだかライブごときで、悪い人に殺されたらどうするのか、ホテルでレイプされたらどうするつもりだったのか、犯罪に巻き込まれたらどうするつもりだったのかと問い詰められて私は息ができないほど泣いた
家は持ち家で引っ越しはできなかったけど、自分の一人暮らしの家はすぐに引っ越し、電話番号やメールは全て変え、ラインも新しくした、snsのアカウントも全て新しくした
数年経って、今も何もないことを祈っている
私はもう2度と、好きなアーティストのライブに参加できなくなった、たった一回のライブで、十何万とお金をかけてこの先の機会を全て捨てることになった
似たような人を見かけると少し身構える、こんなところにいるわけない、あの人の住所は関東だった、本当にあの住所は本物なのか調べる術もない
多分その人は次のライブでも同じことをするだろう、人が多いと本人確認をする余裕なんかない、転売から買う方が悪い、でもきっと何万人の中に同じようにスマホごとの高額転売チケットで入っている人がいるんだろう
若い女の子のお客さんが多いよね、やっぱりって本人が笑って言っていたことを、どうして目の前にいながらもっと恐れなかったんだろう