はてなキーワード: 型式証明とは
https://trafficnews.jp/post/536814
これな。ブコメとか見ててもあんまり正しく理解できてない人がいるようなので念のため解説。
日本の自衛隊、陸海空で最も強力なのは言うまでも無く海上自衛隊で、日本の海自は世界でも有数の精鋭なのは間違い無い。
また、戦争が発生したらまず真っ先に戦う事になるのがこの海上自衛隊と言う性質がある。
そして、その最前線の海自の、さらに最前線で活動するのが、このP-1哨戒機だ。やばいのは戦闘機だけじゃねんだよこっちなんだよ。
それ故に、P-1哨戒機は生存性が最優先に作られており、エンジンは4発付いているし、逃げ足は速いし、飛行性能も高い。
エンジンを一部とめて無茶苦茶ゆっくり海面すれすれを飛ぶとか、燃料を節約して長時間飛びっぱなしみたいな芸当もできる。
専用機だしな。逆に旅客機と違って室内の快適さは二の次とかあるけどな。
でも、それがいる国ってそんなにないんだわ。こんな巨大な領海や排他的経済水域を持ってる国なんてそうはねえんだわ。
オーバースペックなんだわ。なので売れる国があんまりないんだわ。
みんなだいすき、MRJ、失敗したじゃん。あれは何故失敗したかと言うと、世界を飛べる様にする「型式証明」って奴を取得できなかったことにある。
あれってどういうことかというと、世界中で飛んでOK安全だという認証で、こいつを持っていると世界中で売れる。逆に言うと、原則として量産機は型式証明をとってないと飛べない。
はず。はずだよね>
だけどP-1は飛んでるね。
これ何故かと言うと、自衛隊機や軍用機はこの規制の枠外だからなんだよね。つまり自衛隊が決めた基準で、自衛隊が決めたルールで飛んでる。
でも、輸出しようとすると、そうはいかないわけよ。なんかよく分からない日本の独自規格を言われても相手の国は困るだけなのよ。
なので、普通外国に売る気のある航空機ってのは、民間機と概ね同じ基準を採用して設計しているわけ。
ただ、P-1はそのつもりで設計してない。恐らく輸出するという事になったら、そこら辺を一切合切再検証して、国際基準に従った再評価をすることになる。
まじでやんの?それ。
実はまえ、C-2を民間転用して売ろうぜみたいな話があったんだけど、頓挫したじゃん。あれ川崎重工がやる気が無かったからだからね。
やるわけないだろって。無理無理。
さて、対潜哨戒機ってのはガワだけあっても意味が無い。本体は、実際に潜水艦とかを発見するためのシステムが大事。
そして、このシステムも日本は世界最高性能の技術を独自に維持していると言われている。
なんで言われているだけかというと、ここ、無茶苦茶機密レベルが高くて全然公開がされてないからだし、これで哨戒能力がバレると日本の防衛に直結するので公開されてはない。
ないでしょ?
売ったらやばくね?
性能落とした奴作るとかはありうるかも知れないけど、今度はそれ買う奴いるの?って話になる。
と言う訳でP-1の輸出を実現するには
無理でしょ、寝言は寝て言えよ、と言うのが今の話。
まぁでも、よくいわれる飛行艇、US-2輸出よりは現実的かとは思う。
今の政治情勢だと、ありうるかも知れないなあとは。MRJが失敗してノウハウが散逸する前にこっちに投入すると言うストーリーもあるわな。
MRJ計画失敗、技術者が「謙虚さに欠けていた」 元社長が激白 破綻の原因はたった1枚の書類
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2699
にブクマカが噛みついている。
謙虚さが足りないのはお前だろ!って。
だけど、この件に限っては、本当に技術者の方に謙虚さが欠けていたんだわ。
元社長は技術畑の人なので、型式証明の取得が一番大変なのは承知していたからこそ、
型式証明の審査員以上に詳しい、ボーイングのOBを招き入れたのに、
MRJ開発遅延の真相、知見不足で8年を浪費 直面した900件以上の設計変更
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/03423/
知見不足とは本当にその通り。
ただ、それはメーカー側だけではない。
航空機を設計製造して実際に飛ぶものであっても、型式証明を取らないと売り物にならない。
これは日本(国交省)が認定しても、アメリカ(FAA)、欧州(EASA)の型式証明が取れないと売り物にならないといっていい。
FAAとEASAの型式証明は同水準とみなされているからどちらかの審査を受けていればいいが、日本の型式証明はまだまだそのレベルに無い。
https://toyokeizai.net/articles/-/70085
http://www.iadf.or.jp/document/pdf/22-2.pdf
性能面や物自体が実用に耐えられるとしても、それを証明する手順やトレーサビリティが満たされていないがゆえに設計変更、工程変更ということが多分にあったと推測している。
これらを加味した開発計画、設計指針を持っていないというのが三菱重工であり日本であり、持っていたノウハウがノウハウでなかったという部分。
与えられた仕様を満たすものを作るサプライヤーと仕様を作る側でありインテグレーションを行うプライムメーカーの差が想像以上であったということだろう。
みつびしじゅうこーがんばえー