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データセンター建設ラッシュで関連銘柄に投資妙味。生成AI特需で株価上昇が見込める日本企業3社=田嶋智太郎

生成AIの急速な普及により、大量データを処理する拠点としてデータセンター(DC)の建設が加速している。通信事業者にとどまらず、ゼネコン、不動産、電力会社まで裾野が広がり、DC経済圏が拡大しているのだ。耐震性や防火性が求められる高難度の建設需要がゼネコン各社を潤し、基礎杭メーカーや設備工事会社にも追い風が吹く。市場規模は今後さらに拡大する見通しであり、関連銘柄は中長期的に注目される。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2025年8月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

データセンター(DC)の建設で潤う

データセンター(DC)が新増設ラッシュに沸いている。書類の作成や調査、情報分析など様々な場面で生成AIが使われ、大量のデータ処理が必要になっていることが大きい。

DC経済圏は通信事業者に限らない。不動産会社や建設を担うゼネコン、膨大なデータ処理に使う電源を供給する電力会社も欠かせない。

当然、DC景気の追い風は大手ゼネコンにも吹いている。社会的なインフラであるDCは災害時でも稼働を続けられるかが最重要課題の1つ。建設には高い耐震性を備え、防火対策が万全であるなど、高度な設計技術と施工能力が求められる。ゼネコン各社は実績をアピールし、DCの建設案件を増やしている。

むろん、建屋の耐震性を強固なものとするためには「基礎杭」と呼ばれるコンクリートパイルを適切な位置に打ち込むことも必要不可欠。よって、足元ではDC案件としてのパイル需要も拡大している。

また、DCを稼働させるために必要な機器や設備の専門的な工事を手掛ける企業にも注目が集まる。
調査会社の富士キメラ総研(東京・中央)によると、DC関連サービスの国内市場は29年に5兆4,036億円と、23年比で47%増となる見通し。DC特需が本格化するのは「むしろこれから」であり、広くDC建設に関わる銘柄の株価には一段の上値余地が見込まれる。

ミライト・ワン<1417>

通信工事大手だが、足元は非通信領域を強化中。22年に大手ゼネコンの西武建設を買収するなど、傘下にゼネコンや空調工事会社を持ち、その強みを発揮してデータセンターの建設から通信、電気、空調設備などを一貫して展開している。

足元は、非通信向けで好採算のデータセンター関連が急拡大。また、ICT領域のGIGAスクール案件も収益増に貢献している。コンテナ型AIデータセンター設計から運用まで手がけるサービスを今年3月に開始。旺盛なインフラ構築需要に機動的に対応する。

コンテナ型DCとは、面積14~30平方メートルほどの物流用のコンテナにサーバーなどIT機器を収容するもの。簡易なプレハブの建物のように場所を選ばずに手早く構築できる。一般的なビル型DCの新設には少なくとも2~3年はかかるため、短納期でDCを構築できる手段として注目されている。
同社の26年3月期は、売上高が前期比7.2%増の6,200億円、営業利益は同21.5%増の340億円、純利益は同22.2%増の210億円を見込んでいる。年85円配当を予想(前期は75円)しており、足元の配当利回りは3.0%と魅力の水準。

ミライト・ワン<1417> 週足(SBI証券提供)

ミライト・ワン<1417> 週足(SBI証券提供)

株価は、8月12日に上場来高値を更新し、足元は調整含みでの推移となっている。

アジアパイルHD<5288>

コンクリートパイル(基礎杭)の製造・施工でトップ。設計から建設まで独自の一貫請負体制を構築している。近年はTSMC熊本工場や大阪IR向けなど大型案件が多く舞い込んでおり、データセンター建設向けの伸びもあってパイル出荷が急拡大している。

主力のコンクリートパイルは、砂と泥が堆積した軟弱地盤が多い日本の都市開発において適切な位置まで打ち込むことで、オフィスビルや商業施設をはじめとした構造物を支える役割を担う。

足元は工事採算の改善で営業利益の伸び高い。26年3月期は、売上高が前期比10.1%増の1110億円、営業利益は同68.4%増の73億円、純利益は同79.0%増の42億円と過去最高を更新する見通し。年48円配当を予想(前期は45円)しており、足元の配当利回りは3.8%と高水準。

アジアパイルHD<5288> 週足(SBI証券提供)

アジアパイルHD<5288> 週足(SBI証券提供)

株価は、8月13日に年初来高値を更新し、なおも高止まりしているが予想PER=11倍台で割高感はない。

Next: まだあるデータセンターの建設で潤う日本企業。投資するなら?

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