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ニトリ株価半減…買い時か待ちか?デフレ王者が直面する円安・客離れ・組織の三重苦=栫井駿介

今回はニトリホールディングス<9843>について投資家目線で現状を詳細に分析し、皆さんの投資判断に役立つ情報を提供します。ニトリHDの株価は、ピーク時から現在、およそ半額になっています。投資家としては「いよいよこれは買い時ではないか」と見えるかもしれません。現在のニトリHDがどのような状況にあるのか、その課題と今後の見通しについて詳しく解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

株価の現状とバリュエーション:割安水準に到達

ニトリの株価は、コロナ禍において2,500円から4,600円まで上昇した後、再び2,000円台に戻るなど、いわゆるレンジ相場を形成しています。

ニトリホールディングス<9843> 週足(SBI証券提供)

ニトリホールディングス<9843> 週足(SBI証券提供)

直近の株価は、このレンジの下限に近い状況にあります。

現在のバリュエーションは、PERが14.7倍、PBRが1.5倍となっており、水準としてはかなり割安になってきたと言えるでしょう。

ニトリは、長期間にわたり30数期にわたって増収増益を続けてきた有名企業であり、会長はメディアへの露出も多く、家具の身近な買い物先として利用する方も多いはずです。しかし、その業績の裏側で何が起きているのかを見ていく必要があります。

連続増収増益の途絶と円安の影響

ニトリの経営は、かつて36期連続増収増益という記録を誇っていましたが、一昨年度にその連続記録が途絶えてしまいました。

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出典:ニトリ 統合報告書

この業績悪化の一因として、以下の外的要因が挙げられます。

<コロナ禍の需要急増とその反動>

コロナ禍(特に2021年度や2022年度)では在宅需要の高まりにより、ニトリの売上は急激に伸びました。しかし、家具は頻繁に買うものではないため、その後は需要が減退する形で売上が減少しました。これはある程度やむを得ない部分があると考えられます。

<深刻化する円安による利益圧迫>

ニトリは、海外で家具を製造し、それを日本へ輸入することで安い価格で提供しています。この海外からの輸入は、ほぼドルベースで行われます。

現在のような円安は、海外の物品を高い価格で買わなければならないことを意味し、仕入れ価格(原価)が上昇します。その結果、同じ価格で販売していても利益が減ってしまうのです。ニトリの場合、円安になると利益が減る影響は大きく、1円の円安で約40億円の利益が減るという試算もあります。

現在、ドル円レートは数年前の110円程度から150円程度にまで進んでおり、この円安が利益率を圧迫していることは、ある程度やむを得ない状況です。もし今後、円高に反転すればニトリにとってはプラスに働くことになり、円高を見越すのであれば、今はまさに仕込み時となる可能性もあります。

Next: ニトリの客離れは止まるか?経営に構造的問題も…

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