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迫る米国発の金融危機…暗号通貨の相場はどう動く?急騰の兆候と2つの爆弾=高島康司

アメリカの金融危機が起こる可能性が高くなっているという情報が非常に多い。今回はこの可能性を検証する。そのときに暗号通貨の相場はどうなるのだろうか?(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)

※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2025年11月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

米連邦政府閉鎖が引き金になる金融危機

現在、アメリカでは10月1日から連邦政府機関の一部閉鎖が続いている。これは、2026会計年度のつなぎ予算が議会で成立しなかったために発生している。連邦職員約1万人が解雇されると同時に、政府閉鎖による「一時帰休」の対象となっている人々の他、政府系請負業者も含めると140万人もの人々が影響を受けている。解雇はもちろん、一時帰休の間も給与は支払われない。これが銀行に申告な影響を及ぼしているのだ。

政府閉鎖によって連邦政府職員および政府系請負業者への給与支払いが停止することは、特にそれらの職員が多く住む地域の地方銀行や信用組合の経営にとって次のような深刻な脅威となる。

<1. ローンの焦げ付き(デフォルト)リスクの増大>

最大の影響は、ローンの返済遅延やデフォルト(債務不履行)である。連邦職員は給与が支払われなくなると、日々の生活費を賄うことが最優先になる。その結果、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードなどの返済が後回しになり、ローンの滞納が発生し始める。地方銀行にとって、これらのローンは主要な資産である。返済が滞れば、銀行は貸倒引当金を積む必要が出たり、最終的には損失として計上したりする必要があり、収益と健全性を直撃する。

<2. 預金の流出と資金繰り(流動性)の悪化>

職員は生活費を賄うため、銀行に預けていた貯蓄を取り崩し始める。これにより、地方銀行の預金残高が減少する。銀行は預金という「調達コストの低い資金」を失うため、資金繰りが悪化する可能性がある。

<3. 地域経済全体への波及効果>

政府閉鎖の影響は、公務員だけに留まらない。給与が支払われない公務員は、地元のレストラン、小売店、サービス業での消費を一斉に控える。これにより、地域の小規模ビジネスの売上が急減する。その結果、今度はその小規模ビジネスが、地方銀行からの事業融資を返済できなくなるという「負の連鎖」が発生する。

銀行側の対応

この事態を受け、多くの銀行(特に連邦職員の顧客が多い銀行や信用組合)は、以下のような緊急の顧客支援策を講じている。

・当座貸越手数料や各種手数料の免除

給与が振り込まれる予定だった顧客に対し、無利子または超低金利の短期つなぎローンを提供。

・ローンの支払い猶予の申し出と定期預金の早期解約ペナルティの免除

これらの措置は、短期的には顧客のデフォルトを防ぐ効果があるが、銀行にとっては収益の悪化となり、閉鎖が長引けば長引くほど、その負担は重くなる。

このように、アメリカの政府閉鎖は、ワシントンD.C.やメリーランド州、バージニア州など、連邦政府機関や関連施設が集中する地域の経済に、局所的ながらも非常に大きなダメージを与える。そして、その地域の金融を支えている地方銀行は、顧客(公務員と地元企業)の資金繰り悪化という形で、そのダメージを直接的に引き受けることになる。

金融危機の本格的な引き金、商業不動産の破綻

このような政府機関閉鎖による連邦職員の給与停止と、それに伴う地方銀行へのローン焦げ付き懸念と大都市圏における商業不動産市場の破綻が同時に発生した場合、アメリカ経済、特に地方銀行システムにとって「最悪のシナリオ」となる。

個々の問題だけでも深刻だが、2つが重なると「負の相乗効果」を生み出し、金融システム全体の危機に発展する可能性が飛躍的に高まる。

なぜそれほど危険なのか?

最大の理由は、これら2つの問題の打撃が、同じ主体、すなわち「米国の地方銀行(中堅・中小銀行)」に集中するためである。

Next: 本当に金融危機は来るのか?そのとき暗号通貨は…

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