2025-02-08

1999年に戻った俺

目が覚めると、俺は1999年にいた。

いや、正確には「気づいたら1999年だった」という感じだ。

手にはカルディ無料コーヒー……のはずが、カルディなんて当時は日本にまだ数えるほどしかなかった。

代わりに、駅前の輸入食品店で試飲していたらしい。店内にはシナモンロール生ハムが並んでいる。

「おぉ……90年代でもこういうの売ってたんだな……」

と感心しながらレジに向かうと、隣の男子高校生二人がゲーム雑誌を片手に話している。

マリオの新作、64で出るらしいぞ!」

マリオがまたピーチ姫を助けるんだろ?」

「そろそろ逆パターンあってもよくね? なんつーか、時代的に」

フェミニズムという単語は出てこなかったが、それっぽい話をしていた。

横目で雑誌を見ると、Nintendo Switchどころか、まだ次世代機ゲームキューブすら発表されていない時代だった。

店を出ると、なぜか泌尿器科が目に入った。

なぜかわからないが、なんとなく血圧を測らなければいけない気がして、ふらっと入る。

「170ですね」

「ギリセーフ?」

「アウトです」

医者に冷たく言われ、なんだか今すぐ運動を始めるべきな気がした。

大学に行くと、トイレが激混みだった。

試験期間だからか、どの階も長蛇の列。そこへベビーカーを押した若い母親が現れ、赤ちゃんギャン泣きし始める。

育児、大変そうですね……」とつぶやくと、後ろの学生が「ピザーラでも頼もうぜ」と言い出した。

1999年でもピザーラはすでにあったが、宅配ピザの値段はまだまだ高級だった。

バイト代入ったから」と友人に自慢げに言っているのを聞き、時代を感じる。

家(当時の実家)に帰り、ホットラテ……はまだ馴染みがないので、ドリップコーヒーを淹れる。

食洗機なんてものはなく、普通に手洗い。

テレビでは大谷翔平ではなく、松坂大輔甲子園映像が流れている。

ふと、未来について考える。いずれ結婚して、育児して、一軒家を建てるのか?

断熱窓ってもうこの時代にあるんだっけ? そんなことを考えていると、テレビから速報が流れた。

ドリームキャストの新作ソフト発表!」

「……よし、未来のことはどうでもいい。とりあえずゲーム買おう」

1999年に戻っても、俺は俺だった。

  • 将来のためにエヌビディアの株カットけばオールオッケーだな

  • ピーチ姫が助けるゲームならマリオUSAが当時既にあったし、フェミニズムは田嶋陽子とか活躍してた

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