ブコメでわかりにくいと指摘してくれた人がいたので最初にまとめを追記しておきます。
「ハックアンドスラッシュ」という言葉の……
この用語が日本で広まったときに、Diabloの影響が強かったため、Diabloが持つ「報酬を得て強化するサイクル」という要素が言葉の意味にくっついてしまった。
だから「敵を倒して経験値やアイテムドロップで強化する」という要素は日本独自の定義であり、本来の定義にはその要素は含まれない。
で、ここから下の本文では、この日本独自の意味しか知らずに「ハックアンドスラッシュの歴史的な定義」について語ろうとする記事の誤りを指摘しています。
発端はこの記事。
https://www.gamespark.jp/article/2025/07/13/154979.html
この記事では「ローグライク」と紐づける形で「ハックアンドスラッシュ」という言葉の歴史について語られている。
それを知るために、コンピューターRPGにおける「ハックアンドスラッシュ」の定義を改めて解説しておきましょう。様々な定義が乱立している……とされるこの言葉ですが、RPGにおける歴史からすれば大まかな定義ははっきりとしていて、「敵を薙ぎ倒して報酬を得ること」です。
だが著者は「ハックアンドスラッシュ」を日本語独自の「ハクスラ」のことだと思っており、それは実際には本来の英語の「hack and slash」とは異なる。
もともと英語のRPG由来の言葉なので、日本語になって変化した和製英語としての意味しか知らずに「言葉の歴史」を語るのは当然おかしい。
日本のWikipediaでは以下のように書かれていて、日本人がこの「敵を薙ぎ倒して報酬を得ること」という意味で使うことは多い。
元来はテーブルトークRPG発祥の用語であるが、近年ではコンピューターゲームの用語にも使われている[1]。コンピューターゲームにおいては「敵を倒して強力なアイテムを入手し、より強い敵と戦う」というプレイをひたすら繰り返すタイプのゲームを「ハック&スラッシュ(ハクスラ)」と呼ぶことが多い[2]。「プレイヤーキャラクターを成長させ、ボスなどの強敵を倒す」という要素自体はハックアンドスラッシュ以外のゲームにも存在するが、ゲームを先に進めたり、ストーリーを楽しんだりするという目的のために強くなるのではなく、プレイヤーキャラクターを強くすることそのものがゲームの主な目的である点がハックアンドスラッシュの特徴である[2]。
このうち「敵を倒す」部分は英語の「hack and slash」とも共通しているが、「強力なアイテムを入手し、より強い敵と戦う」というのは本来「loot-based」や「diablo-like」等と呼ばれ、異なるジャンル。『Diablo』がこの両ジャンルをまたがった有名作品なので、日本ではそれが混同して広まってしまったわけだ。
英語のWikipediaでは「アイテムを入手」とか「成長」とか「強くする」とかいったことが全く書かれていないのがわかるはず。一言でいうと語弊もあるが、単に「敵を倒すゲーム」ということ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Hack_and_slash
Hack and slash, also known as hack and slay (H&S or HnS) or slash 'em up,[1][2] refers to a type of gameplay that emphasizes combat with melee-based weapons (such as swords or blades). They may also feature projectile-based weapons as well (such as guns) as secondary weapons. It is a sub-genre of beat 'em up games, which focuses on melee combat, usually with swords.
「日本の記事なんだから日本語の意味でいいじゃん?」と考える人もいるだろう。
しかし、この記事では冒頭の引用でも「RPGにおける歴史からすれば」と書いているし、以下の引用でも『Dungeons and Dragons』のような当然本来の用法で参照すべき作品(当時は日本語の「ハクスラ」なんて存在しなかった)を挙げているんだから、著者が本来の「hack and slash」の意味を理解しておらず日本語の「ハクスラ」しか知らないのは明らかだし、おかしい。
ところが、この「ハックアンドスラッシュ」という響きと、「敵を倒して報酬を得る単純なゲーム」に魅入られた『D&D』ファンたちは、この「ハックアンドスラッシュ」を『D&D』『AD&D』の魅力として宣伝していくことを始めたのです。
さらに記事内で「ベルリン解釈」の話もして自分の説を強化しようとしているけど、これも誤っている。
本連載第2回でも紹介した、2008年に発表されたローグライクを定義する「ベルリン解釈」の定義の1つにも、「ハックアンドスラッシュコンバット」が含まれています。
これはベルリン解釈の原文を読めばすぐにわかること。ここで書かれている「Hack'n'slash」は著者が言うような「敵を薙ぎ倒して報酬を得ること」ではなく、「プレイヤーがモンスターを倒すゲームであること」を指している。
https://www.roguebasin.com/index.php/Berlin_Interpretation
Even though there can be much more to the game, killing lots of
monsters is a very important part of a roguelike. The game is player-
vs-world: there are no monster/monster relations (like enmities, or
diplomacy).
たしかに『Angband』系列のように「loot-based」な伝統的roguelikeもあるし、『Diablo』がroguelikeとloot-basedを隣接させてもいる。しかし、「ハックアンドスラッシュ」という言葉の歴史的な定義を「敵を薙ぎ倒して報酬を得ること」とし、その考えを基礎にして書かれたこの記事は根本から間違っている。
というか普通に考えれば、『Rogue』自体が該当しない条項が「ベルリン解釈」に存在するわけないことくらいわかるでしょ!
元記事の著者から増田とブコメでトンチンカンな反論があったから追記しておきました。
ちょっと英語で調べればすぐに自分が間違ってたとわかることなんだから(ブラウザには翻訳機能があるよ)、早いうちに素直に認めて記事を修正した方がいいと思いますが……
はへぇー、って感じだ。おもしろい。 ただちょっと読んでいて気になる点があったので聞いてみたい。 自分は日本の所謂「ハクスラ」の用法しかよく知らなかった(あとついでにRogueも...
丁寧に書いてくれたのでお返事したいんだけど、書いてくれた通りちょっと的外れで回答できない! すまん! まあ書くよ。 俺はアクションゲームにおける用法は問題にしてない。だっ...
回答ありがとう! 「アクションゲームにおける用法は問題にしてない」というのは驚いた、そうだったのか。 英語版のwikipedeiaを見た所、アクションの方の話が詳細で(逆にRPGに関す...
「報酬を含まない」事を示す、というのは、まぁそもそも難しいよなと思うので、自分でも結構無茶な要求である事も分かるんだけど・・・。 それは無茶な要求だし、この追記の末尾...
急に冷たくなったなーw まぁいいや、で、 このように、元記事の著者が「正確な定義」の話をしようとしている。 とあるけど、あなたの定義が「正確な定義」である保証はどこに...
はっきり言って正確な定義なんてどうでもいいよ。 元記事の定義が間違っていることを示すためには正しい定義を提示しないと説得力がないだろ。だから書いてるだけ。 俺が言いた...
まず、申し訳ないけどAIは普通に嘘を吐く事も有るのは注意した方が良いよ。個人的には、ブレインストーミングやアイデアを得るきっかけ、調査の下準備としては使えても、あまり正当...
横からだけど 元記事の著者が「正確な定義」って呼んでるから話がわかりにくくなってる気がする 「(言葉が生まれた当時の)過去の定義」と「現在の定義」で分けるべき話なのに 「...
それはありそう、そもそも「正確な定義」って何だよ、って感じだし。 記事の人がどういうつもりなのかわかればいいんだけど・・・・ と思って見に行ったら記事の人のブログに追...
増田であるこのてよ話ってアスペ戯れでしかない 広義には敵を殴り倒す系のもんが全部ハクスラだし 競技には装備集めなんかを重視したやつ そんだけのこと
広義とか狭義とかじゃなく、本来のハクスラは「敵を殴り倒す系のもん」の意味しかないって話なんじゃないの? 装備集めとかはトレハンっていう別の要素になるし
こういうのがマジでアスペのケがあるタイプなんだよね 自然発生してくる言葉の定義なんてそんな綺麗に重複なく割れてない 重なる部分なんかよくある
ソースがある範囲で初出辿ったらどういう意味だったかって話でしょ? それが「敵を倒す系のもん」であって報酬うんぬんは関係ないよって元増田は言ってるだけじゃん なんか人格攻...
「ハックアンドスラッシュ」=「敵を倒して報酬を得る」という用法自体が和製英語でもなんでもなく、1980年代から確立したゲーム用語だと元記事で解説してあるのにそれが読み取れな...
??? だからそれが間違ってるって指摘するための増田なんだよ。 そんな用法ないから。 わかりやすく簡単に言うと、 hack and slash は「敵を薙ぎ倒して報酬を得ること」じゃなく「敵...
こういうガイジまじで生きてる価値ないぺこじゃん
俺は直接D&DからじゃなくてT&T経由だったけど、やっぱりTRPGの方法論の話で知ったな 「とりあえず洞窟を用意して中にトロール置いときゃ成立する“ハック&スラッシュ”シナリオ」vs...
ゲムスパ記者はコメント欄で間違いを指摘されたら 「そのコメント者をBANして無かったことにする」というソリューションに慣れているので 自分の力で消せない場所で指摘されるという...
フ○ック アンド スプラッシュ!
元記事の定義は「ハックアンドスラッシュ」に対する日本人ゲーマーの典型的勘違いですね。 日本でハクスラというと戦闘中心+報酬(ステータスアップ、装備獲得、スキル取得など...