■関税でハリウッドは終わる

どう考えても100%関税が発動したらハリウッドというかアメリカの映画産業が終わることは分かってる思うが、自分なりに意見をまとめとく。

• 海外に雇用を奪われたと言っているが、あちらも税制優遇等の措置を行っている以上、事実上製作費の一部を海外に負担させているに等しい。言ってしまえばハリウッドの強大な資本による朝貢体制を築いてきたのに、それを破壊すれば当然製作費は目減りする。製作費が目減りすれば当然映像や音楽において資金力で出せるインパクトの部分はしょぼくなる。
• 洋画自体が今は低調気味。ハリウッドブランドの価値は低下しており、関税に伴う値上げや資金力によるインパクトの低下が起きればますます輸出先の地元映画に勝てなくなる。デジタル産業のように事実上アメリカが独占状態の産業ならば値上がりしようが我々は買わざるを得ないが、洋画は全くそうではなくなってしまった。もちろん客の好みはうつろうものであり、今は当たりを引けていない時期なのだろうが、今後当たりを引く力まで失っては復活もできなくなる。
• アメリカ自身の映画館の経営が厳しくなる。海外映画の値段が倍に跳ね上がればそれ目当ての観客は当然激減する。またトランプにより「海外で制作された」と認定されたハリウッド映画も倍になるわけで、アメリカ映画すら通常料金で放映できる本数が減る。観客の減少は不可避であり、経営に悪影響を及ぼさないわけがない。

「海外に制作技術の流出ガー」と言ってる人も居るようだが、制作部分を海外に投げて、俳優とブランディングだけハリウッドでデコレーションして販売していく方式は、ある意味では商売的に最も美味しいところだけをアメリカがかっさらっていくやり方だったわけで、まさにドル高時代のアメリカらしい商売であった。それを破滅的に破壊すればハリウッド映画産業そのものが崩壊するだろう。一時的にハリウッドの地元の映画スタジオの仕事は増えるかもしれないが、映画産業全体が没落すればそれも終わりだ。

Permalink | 記事への反応(0) | 19:50

ツイートシェア