2025-08-24

QAエンジニア採用面接という儀式

序論

QAエンジニア採用面接とは、いわば古式ゆかしい儀式のようなものである。そこではいくつかの定番質問が投げかけられるが、それは候補者能力を測るためというより、自社の「文化」という名の型枠にはまる人材かを見極めるための踏み絵に他ならない。本稿では、この儀式で頻出する質問の裏に潜む、構造的な問題点を明らかにしていきたい。

改善経験という名の「信仰告白

面接官は必ず「改善経験」を問う。これは、候補者が自社の「正義」を理解しているか確認する、一種信仰告白である。ある組織では数字という名の神を崇拝し、またある組織では行動変容という名の哲学を信奉する。候補者が語る改善経験が、面接官の信仰する価値観と異なるとき、その表情はたちまち曇り、まるで異教徒を見るかのような態度を取る者さえいる。

そもそもテスト原則として「テストコンテキスト次第」ということを理解していれば、まずその背景から問い始めるはずだ。だが、多くの面接官は、自らの信仰告白させることに終始し、候補者経験普遍的価値理解しようとはしない。

滑稽なまでの「立ち上げ経験信仰

なぜ、これほどまでに「立ち上げ経験」が神聖視されるのだろうか。誰もが旗を振りたがる組織は、果たして前に進むのだろうか。プロジェクト必要なのは、常に革新的リーダーシップとは限らない。時には、卓越したフォロワーシップこそが、プロジェクト成功に導くという事実を忘れているらしい。

必要な時に、必要なことを、的確に実行する」という本質的能力よりも、「何かをゼロから始めた」という物語評価される。この風潮は、実務能力よりも聞こえの良い経歴を優先する、業界浅薄さを象徴している。

時代遅れの「テスト自動化」談義

テスト自動化経験は、もはやできて当然の嗜みであるしかし、面接で問われるのは、その実装些末な部分ばかり。まるで、最新の戦略論が飛び交う戦場で、いまだに剣の振り方について熱弁をふるう老兵のようだ。

とうにテスト自動化トレンドは移り変わり、「いか自動化コスト抑制し、最小限の労力で最大の効果を得るか」という高度なマネジメント能力が求められている。にもかかわらず、「E2Eテストを増やしたい」などと無邪気に語る管理職がいまだに存在する。彼らの下で働くことのリスクは、賢明候補者なら即座に察知するだろう。だからこそ、このような時代遅れ質問にも対応できるよう、経験だけは積んでおくべきだ。処世術として。

リファレンスチェックという名の「人脈確認

リファレンスチェックという名の、不可解な儀式存在する。これは、候補者能力ではなく、その人物が持つ「紹介者の質」を問うているに等しい。特定キャリアパスを歩んできた人間にとって、この要求ほとんど意味をなさない。

この儀式パスできないという理由だけで有能な人材門前払いにするとは、実に合理的判断と言えよう。その組織が、自らの手でどれほど素晴らしい機会を逃しているか。おそらく、彼らがその事実に気づく日は永遠に来ないのだろう。

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