明日、振られに行く。
非モテ喪女の拗らせ実体験というものをまずは説明しないとならないだろう。
高校を卒業した後、専門学校の認可を受けていないアカデミー的なスクールに通ったが、
そこでも恋が実る事は無かった。
私には無縁だった。
転機が訪れたのは20代後半、当時流行っていたSNSで良いなと思った男性が居たので、
その後、おそらく10代の男女がやるようにテンプレ的に夜景が綺麗な観覧車か何かに乗った後、
嬉しかった。
30近くして、初めて”彼氏”というやつが出来た。
肥満体型なのは過食症が原因で、食べて吐く事しか死にたい気持ちを紛らわせる事ができず、
しかし吐くのはかなりのテクニックが必要で、上手く吐けなかった私はただ太って行くだけだった。
なぜこんな肥満体型の私と付き合ってくれる男がこの世に居るのか疑問を拭えきれなかった私は、自分から彼と離れる事にした。
それから数年後、30代中盤くらいだっただろうか。
相変わらず不細工で肥満体型だったが、転職先にすごく魅力的な男性がいた。
彼は技術力も発想力も凄くて、私が引っ張っていたプロジェクトで大貢献をしてくれた。
しかし、立場的な問題もあり、彼が別プロジェクトにアサインされるのを待ってから、彼をデートに誘った。
彼から私をデートに誘ってくれる事は無かったが、私は執拗に誘い続け、
両親の挨拶も済ませ、同棲するマンションも探し、約1年同棲した。
実はこの間約7年、彼は一度も私と性的な接触を持ってはくれなかった。
同棲する前は「同棲したらそういうことも頑張るよ」と言ってくれたので、
しかし同棲1年経過しても、彼は私の身体に一切触れようとはしてくれなかった。
身体的接触が無いのであればせめて二人の時間を作りたいとあれこれ模索し提案したが、
ある時、転機というものが身に降りかかって来た。
同じプロジェクトの男性(独身)を”パワハラとかセクハラで訴えて良いから今夜だけ飲みに付き合ってくれよ〜〜”的に冗談まみれで言ってみたら、
なんと彼は私との飲みに付き合ってくれた。
終電があるから解散しよう、でも私はもうちょっと飲みたい、的な事を言ったら、
彼もそれに応じてくれた。
二人で適当に渋谷の道端で缶チューハイを飲んだりしていたら、強烈に尿意に襲われたので、
しかしお手洗いを貸してくれる店舗なんてそう簡単には見つからない。
仕方ないので私は「部屋が空いていたら宿泊するのでお手洗いを貸してほしい」と嘆願し、見事お手洗いを手にするに至った。
その晩、何がどう寄与したのかは不明だが、私はその男性と性行為をした。
嬉しかった。
長年思いを寄せて来て婚約指輪まで買ってくれた男性ですら女として見ては来れなかった私という醜い脂肪の塊に、
性的な欲求を向けてくれるような希少な男性がこの世に存在してくれた事のレア度みたいなものに思いを馳せると、なんとも言えない感情に包まれた。
それからは同棲相手との生活を整理し、単身で手狭なマンションを借り、婚約も解消し指輪も返却した。
たった一晩だけでも私を女として扱ってくれた男性社員に全力投球したいと思った。
仕事くらいしかやることがない私にとっては、彼に高級レストランで食事をご馳走することだけを生き甲斐にやってきた。
2021年は日本橋のフレンチ、2022年は銀座の蟹、2023年は西麻布の有名フレンチ、2024年は新進創作メキシカンだった。
2025年の明日、これまた知る人ぞ知るみたいなフレンチを予約した。
だが、先週末、彼とは別れ話をした。
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西麻布から近場に観覧車なんてないよね 東京の地名つらつら並べてる割に土地勘なさそうで不安になる