2025-10-10

星屑にすらなれやしない

深夜、配信を見ていた。

俺はずっと1人のVtuber推してきた

清楚で真面目、そう信じてきた。

配信から欠かさず見てきた。タグ企画も埋めた。荒らし通報した。

徳も金も積んできた。古参だ。界隈を守ってきた。

通帳は痩せ、未開封のグッズが積まれていく。

それが俺の証拠だった。そんなことを一瞬で考えた。

でも推しは、男と笑い合っていた。

相手名前を呼び、固定にタグを置いた。

俺のリプは既読にならない。通知も鳴らなかった。

そのとき思った。推しを汚すのはあの男だ。

俺は悪くない。俺は正しい。

俺は表で「おめでとう」と書いた。

鍵で悪口を書いた。

「不潔」「下品」「売名」。

境界曖昧」「距離感を学べ」。

「界隈のために言う」と前置きして。

スクショを貼ろうとして、下書きに保存した。

通報フォームを開いた。閉じた。

画面を伏せた。

ミュートにした。すぐ外した。

開封のグッズが光を吸っていた。

通知が一件。「二人で歌ってみた公開」。

指が勝手に開いた。

声にならない嗚咽がこぼれた。

「おめでとう」と書いた。

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