運転免許証の住所変更に行ってきたら、警察署内で犯罪被害者遺族・交通事故被害者遺族の手記展みたいな小さなお手製の展示をやっていて、その赤裸々な中身と内容の生々しさに息が詰まった。
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中でも、小学生2年生の娘を下校中の事故で亡くした女性の方の手記の
「まだ手繋ぎ登校が終わった時期だったので、登下校を祖母と玄関で待っていた日だった」
「中々帰って来ないと祖母と2人で心配になる中、いつも曲がる交差点へと救急車が走っていった時の不安と、交差点に辿り着いた時に見えてしまった血塗れの救急車、顔の左半分がタイヤ痕の内出血で変色してしまった娘の姿がいまだに忘れられない」
「事故から何年経った今でも午後2時になると、扉の開く音と、ただいまと言う声が聞こえる気がして、気持ちが重くなってしまう」
「私達にはずっともう何もありません。生き地獄です。」
というくだりがあまりにもやるせなくて、胸が引き裂きれるような気持ちになった。
また他にも交通事故遺族の
「父を返して」「犯罪者ではなく人殺しそのものと感じています」「私たちから勝手に奪ったものを、勝手に同じように奪おうとして、何が悪いんですか?」
という深い憎悪と怨嗟に満ちた文章も展示されており、そこまでやるのかと食らってしまった
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展示にあたって、署内の人々や関係する人々のコメントも展示されていてそれも凄まじかった。
○自然災害の事故を担当した刑事の方の「ああ!あそこに!あそこにいます!みつけました!」と何もない木々を見て叫ぶ遺族の方に寄り添うことしかできなかったコメント
○遺族の救済として唯一できることは犯罪加害者を逮捕するとしかないと先輩刑事に説かれたエピソードを書いている刑事のコメント
などが掲載されていた。
また、その署の副署長の「遺族救済は一歩下がって二歩だけやっと進めるというようなことばかりだが、少しでも前に進むことが我々の抱えられた使命であり、意義そのものである。我々は下を向いてはいけない」といった力強い内容のコメントが書かれていた。
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「nasvaをもっと早く知れていれば……」というコメントが複数あり、自動車事故被害者遺族の救済などを目的とした独立行政法人 自動車事故対策支援機構という団体が存在することを初めて知った。
遺族支援だけでなく、自身の運転にも心配のある方への適性検査実施など、加害者をなくすためのドライバー側への支援制度も多く行われているようだった。
罪のない命を奪うことのないよう、時間のある時に利用してみたいと思った。
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自分も、(詳細は省くが)少年期にある事件を体験し、重いPTSDを患い、10数年かけて今ではそれがある程度寛解し社会生活が送れるようになった身だ。
展示の最後には、「犯罪被害に遭われた方や被害者遺族の皆様へ」というコーナーがあった。
テクノロジーや通信技術が発達した現在ではさまざまな手段での救済方法がいくつかあることを知った。
20年前にもこういうものがあればな……と悔しくもなりつつ、今こうして時代の進歩によって救われる人々がいるということを尊く感じた。