立憲民主党と共産党は、正直言って政権を担う現実味がほとんどない。安全保障は夢物語、経済政策は抽象的、選挙戦術も迷走気味。政治的影響力は限定的で、「野党ごっこ」と揶揄されても仕方がない面はある。
だが、この「頼りない二党」を完全に切り捨てるのは早計だ。実は、日本の政治において極めて重要な「構造的な役割」を、本人たちの自覚とは別に果たしている。それが、シルバーデモクラシーの暴走を防ぐ安全弁としての機能だ。
日本では65歳以上の有権者が3割を超え、投票率も高い。この高齢者票が一枚岩になれば、政治は年金と医療と介護だけの世界になる。若者向けの政策は霞んで消える。ところが現実には、高齢者票は自民党に集中していない。相当数が立憲民主党や共産党に流れている。
つまりこの二党は、「高齢者票を分散させる」という、ある意味で極めて重要な仕事をしている。本人たちはそんなつもりはないだろうが、結果的に一党支配的なシルバーデモクラシーを防いでいるのだ。
しかも彼らは、政権を取る力がない。だからこそ、高齢者票を吸収しながらも、政治権力の中枢を握ることはない。この絶妙な「野党ポジション」が、高齢者票の一極集中を抑えているとも言える。もし仮に立憲・共産が現実的な政策を掲げ、高齢者を一手に取り込んだら、それこそ銀色の一党支配である。
皮肉な話だが、立憲民主党と共産党は、政権交代の担い手としてではなく、「いてくれることで政治のバランスが保たれている」存在だ。
はいはい