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2025-10-30

映画スーパーマンを見た

エンターテイメントサービス精神旺盛のジェームズ・ガン映画だった。84点

 

この映画は失敗作といっていいと思う。

いろんな要素はあるけど根本は2つ。

1.現代スーパーマンを撮るということ

2.ジェームズ・ガンスーパーマンを撮るということ

 

1について。

この作品はおおよそ2つの強大な危機提示される。

1つめはボラビアという腐敗国家による小国への侵略

2つめは次元の裂け目によるメトロポリス崩壊

これら2つはレックス・ルーサーが糸を引いているのだが、映画内では特にコネクトしない。

この巨大な危機はそれぞれ別の主題があると考える。

1は「現代スーパーヒーローが本当に救うべきなのは誰なのか」という問いかけ。

2は「スーパーヒーロースーパーパワー世界危機を救う」というお約束

そしてこれらをうまくコネクトできていないことで、作中でこの大きな2つの主題を別々でこなす必要に迫られている上に、SNSでの攻撃陰謀論現代スーパーヒーローが考えるべきこと、移民問題現代映画で語るべきことをすべて盛り込んでいるので作品がめちゃくちゃ忙しくなっている。

 

2について。

ガンは露悪の作家であり、チームの、最低でもコンビ作家である

その特性スーパーマンと食い合わせがすごい悪い。スーパーマンは完全に善意の人だし、一人で戦う。

そこでガンはスーパー犬のクリプトジャスティスギャングを投入した。

おそらくクリプトだけならまだ大丈夫だっただろうけど、露悪でチームの作家であるガンのよさを一番引き出せるジャスティスギャングを出さないということはガン的に難しかったのだと思うのだが、その結果、彼らの見どころをちゃんたっぷりつくらないと行けなくなった。

実際彼らはめちゃくちゃ魅力的だ。ガイ・ガードナー下品バカだけどナイスガイだし、ホークガールイカれてるし、テリフィックは天才不憫で着てるジャケットに「FAIR PLAY」とデカデカと書かれているのもイカす。そして全員めちゃくちゃ強いくて格好いい。

だが、その結果、やっぱり映画がめちゃくちゃ忙しくなっている。

 

つの問題共通点は「作品がめちゃくちゃ忙しくなっている」ことだ。

特にこれは冒頭40分くらいに顕著で、

スーパーマンの来歴と敗北と氷の基地での復活

スーパーマンVSウルトラマンの初戦

スーパーマン侵略したボラビアを攻撃したことの是非

ケント日常

スーパーマン談義

ルーサーの氷の基地への侵略

・KAIJUとスーパーマンジャスティスギャングの対決

スーパーマンが大バッシングを浴びる

とこれだけで十分映画一本撮れるだろ!という内容がギュッとされている。

実際、トレーラーに出てくる「面白そう」なシーンはほぼここに全部入ってる。

その結果、全てのシーンにタメも余韻もなく「スーパーヒーロー映画RTA」のようになってしまっている。

エンタメ要素だけ見れば十分満足できるんだけど、サクサクすぎて印象に残らない。

コース料理食べに行ったら5分毎に次の料理が出てくる感じ。急ぎすぎィ!まだ子供が食べてるでしょうが

 

まぁ大バッシングからちょっとずつ話が落ち着いてきて最終的にはいテンポになるんだけど、この序盤は面白シーン連発のはずなのに全然アガらず、逆になんか盛り下がってしまった。

皆様ご存じ系ヒーローオリジンどうする問題を今回は「冒頭3分で全部ナレーションでやる」という力業解決しているのだけれど、それでも私たちは「今回のスーパーマンはどんな人なの?」ということはわかんないわけ。初戦でボコボコにされてそれをタコス屋のおっちゃん(後にキーマンになる)に助けられる展開がある。トレーラーでも印象的に扱われていたシーン。そこで、この人は前に助けた人なんだよと説明があるんだけど、そのシーン見たかったわ~説明だけじゃ感情移入できないわ~ってどうしてもなっちゃう。

登場人物を増やしていろんな設定を盛り込んで全部消化しようとした結果、どれも美味しいはずなのにちょっと食い足りない感じになってるのはスゴイもったいない。やっぱりジャスティスギャングは次回以降か、SVBのワンダーウーマンみたいに最終戦で助けに来るみたいな感じでよかったんじゃないかと思う。

後はトレーラーでも印象的に扱われていた少年スーパーマンの旗を掲げるシーン。あそこで初代スーパーマンテーマが流れて流石にエモすぎるだろ!となった結果、どうなるのかというところ。あそこはガンによる「世界スーパーマン一人に背負わせない」というポジティブメッセージとDCUの世界説明として完璧機能していると同時に、さすがにあのエモさでガン特有の「ズラし」をするのは違うんじゃないかという両面でモヤモヤした。

 

今作ではスーパーマンの真の使命として「地球で愚かな民を支配し、種付けしまくれ!」と両親が言っていたことが明らかになりこれによってスーパーマンバッシングされ収監されることになる。しかスーパーマンはそのことを知らず「自分は確かにエイリアン(移民)だが、この国で育ってこの国を愛している。誰からまれそいつがなにを言ってるかなんか関係ないんじゃないか」という移民バッシング批判とガンの命題である家族という呪いからの脱却」へのアンサーを出していて、これ自体はガンらしくてよかった。

SNSスーパーマン批判キャンペーンを展開しているのがガチおさるさんだというのもSNSディズニーを一度は追い出されたガンらしい皮肉が効いていてよい。

あと、やっぱクリプトね。スーパーマンレベルの力を持った犬なんだけど、マジで犬。しかバカな犬。かわいいバカ犬。クリプト見るためだけにこの映画見ていいまであるクリプトをこうしたのガン天才やと思うわ。

そしてレックス・ルーサーかいうめちゃくちゃ一般人天才増田やってそう(ヘイトスピーチ)。今作では基本的スーパーマンを圧倒する頭脳を見せるのに、ウルトラマン操作コマンド式にしたり、国を買い取って自分王国を作ろうとしてたり、ブロンドで乳がデカバカ女ばっかりと付き合ってるし、スーパーマンを憎むのは「あいつばっかりちやほやされてムカツク」という承認欲求から。そして最終的にクリプトボコボコにされて泣き出しちゃう。か、かわいいニコラス・ホルト天才やな。

ガン映画の一番の魅力である登場人物のすばらしさに関しては言うことなし。満点。 

GotGで見せたアクション面白さも健在だし、エンタメ映画として必要ものは高い水準で全部入ってる。

 

この映画は俺は失敗だと思ってるけど、面白映画を見たいなら絶対に見るべきだと思う。

なんか失敗扱いになっちゃったけど俺はDCEUも好きだったし、DCUも応援したい。今のところ全部面白いし。

今作はDCU最初映画ということでいろいろ無理やり詰め込んだ結果こうなっちゃったのかなとも思うし、今後しっかり腰を据えた映画がこのクオリティで作られていくことを期待したい。

 
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