掘削機械メーカーに一大ビジネスチャンスが訪れつつある。理由は2つで、1つ目は「日米による投資スキームの合意」。2つ目は、日本国内で地熱発電の活用機運が高まっていることである。
日米両政府は5500億ドル(約85兆円)の対米投資を行うことで合意した。この合意について、野党など一部から批判の声は上がっているが、米国事業への投資は新興国への投資と比べるとローリスク。プロジェクトがよほど大こけしない限り、日本企業の業績拡大に貢献するものと思われる。
日米合意の枠組みの中で、高市首相とトランプ大統領は重要鉱物やレアアース(希土類)の供給を確保するための合意文書に署名した。すでに来年1月、日本の最東端にある南鳥島周辺海域において、日米共同によるレアアースの試験採掘プロジェクトが始動している。また、米国本土でレアアースやレアメタルの掘削が活発化していることも、日本の掘削機メーカーにとってプラス材料だ。
2つ目の「地熱発電開発の活発化」は、メガソーラーや洋上風力といった再生可能エネルギーに対して逆風が吹く中、高市政権が原発再稼働に加え、地熱発電の開発に傾注する公算があるというもの。また、掘削機メーカーなどの資源開発関連銘柄が、まださほどテーマ株として物色されていないこともポイントである。
関連株としては、まず2023年に日本唯一の〝海洋掘削専門〟の日本海洋掘削を傘下に収めたENEOSホールディングス(5020=1005円)が挙げられる。ただ、本業は石油元売りで、売上高の規模が10兆円超の大企業。そのため、いまのところ資源開発だけで株価を押し上げる力はないのが難点だ。掘削機で国内トップシェアを誇る鉱研工業を完全子会社化したヒューリック(3003=1634・5円)も注目されるが、同社の本業は不動産開発。他業種の鉱研工業を上手に活用できず、「宝の持ち腐れ」となる公算はあるが、同テーマで買われる局面はあるだろう。
「穴株」として挙げられるのはJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)と共同で深海のレアアース採掘機を開発した古河機械金属(5715=3085円)。国内唯一の削岩機メーカーとして、陸上の資源開発でも活躍の出番が増えそうだ。また、国内では希少な削岩機メーカーで、ボーリングマシンなどを手掛ける加藤製作所(6390=1388円)は、株価PBR0・3倍台と激低。1500円を上抜ければ上昇加速が期待できる。(株価は11日終値)












