当欄では、これまで一貫して国策をベースに中長期で株価の大化けが期待できる銘柄を取り上げてきた。今国会では、物価高など喫緊の課題解消に向けた議論が中心になっており、当欄で注目する中長期的なテーマは後回しにされている印象だ。
足元の株式相場は調整局面入りした可能性が高いため、今回は少し視線を変え、ややエッジの効いたテーマを取り上げたい。「ウォーレン・バフェットが次に買う日本の銘柄はなにか」である。
世界で最も注目されている投資家ウォーレン・バフェットが、日本の5大商社株を保有することは広く知られる。これまで、バフェットの投資会社バークシャーは毎年のように円建て債を発行し、調達した資金で5大商社株を買い増してきた。バークシャーは今月になって2101億円、4月にも900億円の円建て債を発行していることを考えると、新たな日本株買いの準備に入ったと考えるのが自然だろう。
バークシャーは当初、商社株の保有上限を「最大9・9%」に設定していた。しかし、今年2月、その上限を長い期間をかけて増やす考えを表明。すでに、8月には三菱商事の保有比率が10・23%まで上昇したことが判明している。また、バークシャーのポートフォリオ全体で、5大商社の中で最も占有率が高い三菱商事でも3%程度にすぎないことを考えると、今回の円建て債も商社株の積み増しに充てる可能性が高い。ただ、仮に商社株以外の日本株を買ったことが判明すれば、その銘柄は大相場に突入するだろう。
では、いったいバフェットの次の候補はどのセクターなのか。筆者は銀行株ではないかと推測する。バフェットは、基本的に「自分が理解できるビジネスを手掛け、競争力が高く、財務良好で、長期的な成長が見込め、本来価値より割安な銘柄」を好む。現在の日本株でこの条件に当てはまる銘柄群は、トヨタのような単体で時価総額が大きい銘柄を除くと、残るのは半導体株か金融株のみだ。
半導体株に関しては、2022年に保有していた台湾半導体大手TSMCの大半を手放したことから、新たに日本の半導体株を購入するとは思えない。そうなると、必然的に銀行株、それも三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306=2345円)、三井住友フィナンシャルグループ(8316=4359円)、みずほフィナンシャルグループ(8411=5046円)の3大グループが最有力になると思われるのだ。ほかに、りそなホールディングス(8308=1514・5円)や横浜フィナンシャルグループ(7186=1177円)などの地銀上位行も連想買いされるだろう。(株価は18日終値)












