しかし最初の質問がエンターテイメント全般ではなく児童ポルノに限定されているのはともかくとして、後述のように複数の具体的な質問まで相当に偏りが見られる。
まず「児童ポルノ」は、一般的または法的に、実在児童を被写体とした記録物を指します。設問が問うているのはあくまで架空のキャラクター描写に関する法規制であるため、「非実在児童ポルノ」や、法規制を求める団体が用いる「子どもポルノ」(近年は「CSAM」をよく目にしますが、これだと実在・非実在を区別できないので)といった表記が適切です。特に「非実在児童ポルノ」規制を論じる文脈では、両者を混同しないためにも、この区別は不可欠です。
また、「限定されている」との指摘ですが、この設問が想定する規制は、少なくともポルノグラフィに限定された規制ではありません。現在の児童ポルノ禁止法と同様の規制が「非実在児童ポルノ」に適用されれば、商業・同人を問わず成人向け表現の大半、さらには一部の一般向け作品すら対象になり得ます。定義上は、18歳未満と設定されたキャラクターのヌード等でも該当しうる極めて広範、かつ所持や製造まで禁止する、強力な規制であることを申し添えます。
しかしフェミニズム由来の規制というより、娯楽から芸術などを除外した上で、特に性的に楽しむ表現に偏った質問と考えるべきではないだろうか。
選択肢A「刑法のわいせつ物頒布規制」やC「クレジットカード決済の制約」は、ポルノグラフィに限りません。特にAによって過去に映画や文学作品が摘発されてきたことは、改めて指摘するまでもない事実です。
またE「新サイバー犯罪条約」ですが、堀新氏も警鐘を鳴らしている通り、文学作品を含む幅広いコンテンツが規制対象となり得ます。芸術が除外されているとは到底いえません。
そして、A・B・E・F・Gは、いずれも法規制が既に存在しているか、規制される可能性をはらむ項目であり、規制の中心となる対象が性的表現であることは、厳然たる事実です。立法に携わるかもしれない国政選挙の候補者への質問であることに鑑みれば、法規制に関係する内容が優先されるのは当然で、「偏る」のは、むしろ妥当ではないでしょうか。
この項目は、一部の国会議員が「エロ広告」の法規制に言及している事実を踏まえたものと推察されます。「なぜか」とありますが、理由は明白ではないでしょうか。加えて、文言には「等」とあり、性的広告のみに限定した質問ではありません。
さらに性的合意の重要性を啓発する広告はイラスト表現をつかっていたが、よりによってAFEEの最高顧問をつとめた自民党議員の山田太郎氏が介入し、理由はともかく撤去された。
私は件の啓発広告を問題視しませんが、その「介入」を疑問に思うなら、Vチューバーを起用した交通啓発動画に対するフェミニスト議連の「介入」にも、同じスタンスであって欲しいとは思います。
クレジットカードの決済もアダルト作品の購入に影響をあたえるようになってから注目されたが、ロシアのウクライナ侵攻時のように制限そのものは以前からさまざまな理由でおこなわれている*1。
クレジットカード決済規制はこの1、2年ではなく、2010年代から、問題になっていたので、「以前から」という例示で2022年のウクライナ侵攻を出されても、同意できません。
興味深いのは、虚偽をもちいた扇動などで選挙をゆがめたばかりのNHK党の立花孝志氏について、表現規制に反対しているという回答に全面的に同意して、留意する表現をつかっていないこと。
回答に触れた内容では、回答の評価や、そこから派生した表現の自由に関連した話題しか、基本的に言及していません。増田に字数制限があるためです。もっとも、脱線したテキストが皆無とまでは申しませんが。
それに従い、立花孝志氏についても回答だけを評価しましたし、回答以外で何かしら表現の自由、特にエンターテインメント表現の自由に関する話題があったなら、浜田聡氏の回答評のように、それに触れていたはずです。
そもそもNHK党はもともとNHKから国民を守る党だったように、メディア攻撃をおこなって拡大してきた政党だ。その代表が表現の自由を守るかのように回答できる時点でアンケートの限界が見てとれる。
「メディア攻撃」を行う人物が、「非実在児童ポルノ」規制に反対することは論理的に両立します。アンケートがある一面しか表し得ないのは自明であり、私自身も元増田で、設問が「エンタメ表現の自由に偏った内容」だと断っています。また、森ゆうこ氏の回答評では、問いの立て方次第で政治家の評価やスタンスが、180度変わりうる点にも言及しました。一般論としてアンケートとは、そうした限界を理解した上で、多角的な判断材料の一つとして活用すべきものです。
このようなアンケートでは、個別の回答に興味深さはあっても、表現全般はもちろんエンターテイメント表現に限ってもその自由を守る政治家の参考にすることは難しい。
私も可能であれば、アルファベットの数だけで判断せず、自由記述を含めた個別の回答にまで目を通して欲しいと考えます。そうすることで、例えば「◯◯党はB(法規制に反対)を選んでいる候補が多いが、任意回答が判で押したように同じ文章で、その回答も本当に反対した内容といえるか疑問が残る」というようなことが見えてくると思いますから。
ほっけ自身は普段から増田やX(旧Twitter)ユーザーの主張に言及する際に、はてな匿名ダイアリーやXに行って直接ポストしたりせず自分のブログで反論していて、その存在を相手に提示して...