2025-06-14

収益を稼ぐなら真面目にインディーゲーム作らないで版権モノTRPG作れ

はじめに

Steamで「オリジナルアクションゲームを3年かけて開発したけど、売上は昼飯代にもならなかった」という話はもう珍しくない。

にもかかわらず、Kickstarterでは版権(=既存IP)付きのTRPGが数千万円〜数億円を軽々と集めている。

――という事実数字で整理したら、「インディーゲームで食べたいなら、むしろ版権TRPGを作った方がコスパが高いのでは?」という結論に至ったので、覚書を匿名ダイアリーに投下する。

1. Kickstarterでの版権TRPGバブル

2024年Kickstarter「Games」カテゴリに集まった資金の83%がTabletop(主にTRPGボドゲ)向け。

同年、Tabletopプロジェクト成功率は80%。総調達額は2.2億ドル。([updates.kickstarter.com][1])

2024年成功したTabletopプロジェクトは5,314件、平均調達額は41,400ドル。([polygon.com][2])

Video Gamesは同年2.61千万ドルに留まり件数資金Tabletopの足元にも及ばない。([polygon.com][2])

──「版権モノ」になると桁が変わる
作品IP調達 期間
Avatar Legendsアバター 伝説少年アン』 9.53 百万ドル 2021/8/3‑9/2
The Witcher: Old World ウィッチャー』 8.32 百万ドル 2021
(どちらも当時の TRPG 史上最高額)([icv2.com][3], [polygon.com][4])

2. Steamインディーゲームの「現実

67%のSteamゲームは生涯売上5,000ドル未満。

50%超は1,000ドルすら稼げていない。

これはGamalyticが7.1万本を対象に行った2023年調査の結果。([gameworldobserver.com][5])

言い換えれば、独力でSteamに出したゲームの3本に2本は、Kickstarterの平均的TRPG($41k)に遠く及ばない。開発期間やチーム規模を考慮すると、労働単価は洒落にならないレベル赤字だ。素直にコンビニバイトでもしてた方がいい。

3. コスト構造比較する

項目 オリジナル PC インディーゲーム版権 TRPGPDF書籍
主要コストプログラム実装/QA/エンジンライセンステキスト執筆レイアウト印刷
必要人員エンジニアアーティストサウンド等(多職種 著者+イラスト数点(小規模でも可)
技術リスク 高(クラッシュマルチプラットフォーム対応 低(DTP物流の遅延程度)
最低限の MVP 発行 ビルド・ストア審査PDF で即公開可
期待売上中央値 $5k(67 %) $41k(2024 年平均)

版権TRPGにはライセンス料が乗るが、そもそも大型コミュニティを抱えるIP契約しとけばいいだけの話なので、「集客力で即回収できる」ケースが大半。

4. どうして版権 TRPGは強いのか?

1. ファンベース最初から存在する

アニメ映画コミック等の既存コミュニティがバックしてくれる。

2. 開発期間が短い

文章中心でプログラム実装不要印刷版もInDesignで組めば数か月で出荷。

3. 熱量の高い支援文化

TRPG 界隈は「買って遊ぶ」だけでなく「作品応援する」消費行動が定着。

4. 繰り返し売れる

シナリオ集やサプリメントを定期的に追加することでLTVが伸ばしやすい。

5. 「真面目に」オリジナルゲームを作りたい人への処方箋

1. 資金確保と市場検証を切り離す

まず版権TRPGキャッシュフローを作り、黒字で「研究開発費」を捻出。

2. TRPG制作過程世界観メカニクスを試す

ルールブックやリプレイ配信は「安価プロトタイプ」として機能する。

3. TRPGファンコミュニティSteam版の初動ユーザーに転換

Avatar Legendsローンチ後にデジタルツールキットを公開し、二次創作を促進している。([en.wikipedia.org][6])

6. 注意点(やらかすと死ぬところ)

1. 版権許諾交渉ハードル

海外IP場合エージェント費用法務コストが跳ね上がる。

2. 物理本の在庫リスク

外れIPを引くと地獄を見る。

3. コミュニティ運営が命

TRPGプレイヤー同士の口コミで生きるジャンルサポートを怠ると即終了。

7. まとめ

平均4.1万ドルを集められるKickstarter Tabletop市場規模は依然拡大中

Steamの新作は3分の2が5,000ドル未満。赤字のまま埋もれる確率が高い。

生存するための真面目さ」と「開発対象の真面目さ」は別物。まずは版権TRPGキャッシュフローを確保し、その後に本当に作りたいゲーム投資しろ

参考リンク(※クリックソース

1. Kickstarter Games 2024 年総括(83 % が Tabletop成功率 80 %)([updates.kickstarter.com][1])

2. Polygon:2024 年 Tabletop 調達額・平均 41,400 ドル([polygon.com][2])

3. ICv2:Avatar Legends9.53 百万ドル([icv2.com][3])

4. Polygon:The Witcher: Old World が 8.32 百万ドル([polygon.com][4])

5. GameWorldObserver:Steam ゲームの 67 % が 5,000 ドル未満([gameworldobserver.com][5])

6. WikipediaAvatar Legends 開発後の展開(デジタル版等)([en.wikipedia.org][6])

[1]: https://updates.kickstarter.com/kickstarter-biggest-platform-for-games/?utm_source=chatgpt.com "2024 Was a Big Year for Games on Kickstarter"

[2]: https://www.polygon.com/analysis/516342/kickstarter-tabletop-performance-2024 "Kickstarter’s post-pandemic tabletop slump slowed in 2024 | Polygon"

[3]: https://icv2.com/articles/news/view/49234/avatar-legends-rpg-kickstarter-campaign-rakes-over-9-5-million?utm_source=chatgpt.com "'Avatar Legends: RPG' Kickstarter Campaign Rakes in Over $9.5 ..."

[4]: https://www.polygon.com/22898968/kickstarter-top-10-biggest-campaigns-2021?utm_source=chatgpt.com "The top 10 biggest board games and TTRPGs on Kickstarter in 2021"

[5]: https://gameworldobserver.com/2023/10/06/steam-stats-41k-games-last-3-years-half-made-500-or-less?utm_source=chatgpt.com "41k games released on Steam over past 3 years, 50% of which ..."

[6]: https://en.wikipedia.org/wiki/Avatar_Legends%3A_The_Roleplaying_Game?utm_source=chatgpt.com "Avatar Legends: The Roleplaying Game"

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