いくつかの新聞を取っている。最近はオンライン化も進み、紙が大量に届くということもなく、しかも海外のものも含めて購読しやすくありがたい。
その中の一つが日経新聞だった。国内の他の新聞がいわばオールラウンダーなのに対し、その名の通り経済関係の記事が豊富な日経は独自の地位を持ち、他紙とは重ならない情報をくれると思ったからだ。政治的には中立と評されることも多く、少なくとも変な記事は出ないだろうと思っていた。
ところが、だ。ここ最近のインタビューは違和感を抱かせるものだった。少し前にイスラエル関係の誰かがインタビューを受けていた。トランプ政権を批判する内容だ。しかし、その一部に「大学へのトランプの態度は正しい。こんなにもアメリカの大学に反ユダヤ主義が蔓延っていることに驚いた」という趣旨の発言があった。要するに、パレスチナ解放を求める運動を「反ユダヤ主義」とラベリングする右派の戦略に乗っかった発言をする人物を取り上げて、そのまま掲載したのだ。
そして今日、今度はイギリスの誰やらのインタビューが載った。トランプ政権下の言論の自由への抑圧について懸念を表明する内容だった。その中で、イギリスではすでに言論の自由が失われているという話題があった。出てくる例は、スナク元首相の外見を揶揄する人種差別的な発言が問題視された事件、トランスジェンダーへの攻撃を学生からの抗議を受けても辞めようとしない大学教授が、抗議の末に辞職した事件だった。要するにこのインタビュイーは、差別的な言説の自由を擁護する立場だった。大学教員の差別発言で安心して教育を受け、研究に携わる学生の自由が奪われようとお構いなしなのだろう。
その他の点で多くの不満があるわけではないし、やはり経済系の生地は勉強になる。けれど、これらのインタビューから受けるストレスは大きかった。そして今後も似たような記事が掲載される可能性がある。
勘違いしないで欲しいが、別に新聞にノーストレスを求めているわけではない。社会情勢や重大事件、戦争などの報道はストレスになるし、それらの報道の中で賛同できない発言の引用を目にすることもある。しかし、それが報道機関として一歩引いて語られていたなら、気にはならない。ただ、インタビューは言ってみれば内容とメディアの距離が近い。他所で起きた事件を取材しているのではなく、自らが積極的に発信をしている。それでそうした内容が盛り込まれるというのに、違和感が強いのだ。
Nikkei Asiaを読んでみては? いまや世界屈指の経済紙だし。