自覚しづらい「遺伝する高コレステロール」、9割超が未診断とも

兆候と見極め方は、どんなリスクがあり、診断されたらどうなるのか

2025.09.22
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LDL(いわゆる「悪玉」)コレステロールは血管の壁に沈着し、動脈硬化と呼ばれる状態を引き起こすことがある。高コレステロール血症の原因として食生活や運動不足が挙げられることが多いが、実は遺伝的要因も少なくない。(ILLUSTRATION BY RASI BHADRAMANI, GETTY IMAGES)
LDL(いわゆる「悪玉」)コレステロールは血管の壁に沈着し、動脈硬化と呼ばれる状態を引き起こすことがある。高コレステロール血症の原因として食生活や運動不足が挙げられることが多いが、実は遺伝的要因も少なくない。(ILLUSTRATION BY RASI BHADRAMANI, GETTY IMAGES)
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 高コレステロール血症は、偏った食生活や運動不足に関連していると考えている人は多い。長い年月をかけて進行するものだから、年をとってから心配すればいいと思っているのだ。

 しかし、必ずしもそうだとは限らない。不健康な生活習慣ではなく、遺伝による高コレステロール血症もある。「家族性高コレステロール血症(FH)」という疾患だ。

「この病気の人は、LDL(いわゆる「悪玉」)コレステロール値が生涯にわたって高い状態になる遺伝子変異を持っています」と、米クリーブランドクリニックの心臓病予防専門医アシシュ・サラジュ氏は説明する。

 米疾病対策センター(CDC)の報告によれば250人に1人がFHに該当するとされており(編注:日本動脈硬化学会の「成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022」によれば一般人口の300人に1人程度)、サラジュ氏の推定では、その7割以上が診断を受けていないとみられる。世界では9割を超えるとする推定もある。

 高コレステロール血症の兆候や症状を知ることは、適切な対応につながる。そこで、遺伝性の高コレステロール血症について知っておくべき点について、3人の心臓専門医に話を聞いた。(参考記事:「食事で「何から食べるか」で健康に大差、おすすめの順番と効果は」

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