太陽系にわくわくするようなニュースが飛び込んできた。学術誌「Research Notes of the AAS」に先ごろ発表された論文によると、ビルほどの大きさの謎の小惑星が、地球と並走して太陽の周りを回っていることが分かったのだ。PN7と名付けられたこの天体は、2025年の夏まで天文学者も知らなかったが、60年ほど前から「準衛星」としてひそかに地球に寄り添っていた。
米メリーランド大学の天文学者であるベン・シャーキー氏がPN7について最初に聞いたときに思ったのは「また見つかったか、クールだな」。というのも、地球の近くには衛星のような小さな天体が常にあり、PN7はその最新の発見にすぎないからだ。
地球にはPN7のような準衛星が他にもある。これらの準衛星は実際には太陽の周りを回っているのだが、地球とほぼ同じ軌道と公転周期を持つため、あたかも地球の周りを回っているかのように見える。
準衛星に似た天体には「ミニムーン」もある。こちらは実際に地球の重力に捕らえられ、一時的に地球の周りを回ってから脱出する。
準衛星もミニムーンも、地球の唯一の衛星として宝石のように夜空に輝く神秘的な月とは比べものにならないほど小さい。そのためどちらも、暗闇の中で高速で動く小惑星が反射するかすかな太陽光を捉える強力な望遠鏡でないと見えない。それでも、こうした天体が新たに発見されるたびに、「地球には、私たちが思っている以上にたくさんの『月』がある」という嬉しい事実を思い出させてくれる。(参考記事:「知っておきたい月の話、驚きの誕生物語から白黒模様の正体まで」)
「私たちは普段、太陽系のことを、整然とした変わらないシステムのように考えています。ときどき発見される準衛星やミニムーンは、実際にはそうではないことを実感させてくれます」とシャーキー氏は言う。
準衛星とミニムーンとは何か?
太陽系で準衛星を持つ惑星は地球だけではない。天文学者たちは2002年に、金星の周囲で最初の準衛星を発見した。今回のPN7の発見によって、地球の既知の準衛星は7個になった(見つかっていない準衛星はもっとありそうだ)。
シャーキー氏によると、準衛星は、重力的な偶然によって地球と軌道を共有したり出ていったりすることがあり、地球の重力の影響もわずかに受けているという。これまでに見つかっている準衛星の大きさは9mから300mまで幅がある。今のところPN7は最小クラスである可能性が高い。
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