この記事は雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版2025年12月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。
古代の日誌と失われた川の発見により、ギザの起源にまつわる驚くべき新説が浮かび上がってきた。
ピラミッドの謎を追い続ける人類
ギザのピラミッドほど、私たちの好奇心をかき立ててきたものはない。
4600年前、エジプトの古王国時代に建造された三つのピラミッドは、クフ王、その息子のカフラー王、孫のメンカウラー王の3人のファラオの亡きがらを納め、祭るためのものだった。クフ王の大ピラミッドの建造当初の高さは147メートル。その後、数千年にわたり、世界一高い人工の構造物として君臨した。人類の創意工夫と想像力を象徴するピラミッドだが、建造されてまもない頃から、多くの謎に包まれている。
特に注目されてきた最大の謎は、そもそもどうやって建造されたのかということだ。ギザの大ピラミッドは、200万個以上の石材ブロックでできていて、なかには50トンを超えるものもある。その石はどこから来たのだろうか。いったいどうやって砂漠の真ん中まで運んだのか。そして、これらの巨大なブロックを、古代エジプト人たちはどのようにして積み上げたのか。最近になって、古代の日誌や失われた川の跡など多くの発見があったことから、かなり有力な新説が浮かび上がっている。
――エイミー・ブリッグス
2013年、発掘チームが紅海沿いで作業していたところ、パピルスに書かれた日誌が見つかった。そこには、巨大な石のブロックを、トゥーラの採石場からピラミッドの建造現場まで運んだ過程が記録されていた。(PHOTOGRAPH BY PIERRE TALLET, WADI EL JARF ARCHAEOLOGICAL MISSION)







