トヨタ自動車が米国で生産した車を日本に輸入する〝逆輸入〟の方針を固めた。トランプ大統領が関税交渉で求めた対米投資の一環とみられる。トヨタの日本での販売網を活用した米メーカーの国内本格参入も検討され、これまで日本市場で苦汁をなめてきたアメ車の巻き返しとなるのか――。
28日に高市早苗首相とトランプ氏の日米首脳会談が行われた迎賓館の前庭には、米国で生産されているトヨタのピックアップトラックの「タンドラ」、フォードの「F―150」、セダンでトヨタの「カムリ」が並べられた。トランプ氏は第1次政権時から「日本ではアメ車がほとんど走っていない」と不満を漏らし、日本の厳しい安全基準を問題視していた。実際は車両サイズが大きいため日本の道路事情に合わないことや大排気量エンジンによる燃費の悪さ、左ハンドルでの運転のしにくさなどが背景にあり、フォードは2016年に日本市場から撤退している。
それでも貿易交渉で最大のネックとされる自動車問題で、トランプ氏の矛を収めるために日本政府の要請にトヨタが応じる形で、協力姿勢を見せた。ホワイトハウスは日米首脳会談後にトヨタが日本に逆輸入する計画を発表し、トランプ氏はトヨタが100億ドル(約1兆5000億円)を投じて、米国内に工場を建設することも明らかにした。さらにトヨタの日本販売網を米自動車メーカーに開放する旨も記された。
車種についての言及はないが、迎賓館で展示された国内では販売されていないカムリやタンドラが念頭にあるとみられる。また日本政府はフォードのF―150を地方整備局に導入する方針も示している。
「F―150やタンドラはフルサイズのピックアップトラックで全幅2m、全長6m前後で、細い道の通行や駐車スペースを探すのは大変ですが、使い勝手は環境次第のところもある。以前、GM車がスズキの販売網で扱われたことがあり、トヨタでの販売やアフターサービスは大きな強みとなる。ジープの人気があるようにこれまで手が出しづらかったアメ車ファンの需要が出てくるのでは」(永田町関係者)
この逆輸入プランに経営危機に直面している日産も前向きに検討している。関税面などで優遇措置が取られ、価格が抑えられれば、逆輸入車やアメ車ブームとなる可能性もありそうだ。












