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「未熟な国で老いに抗う者たちの煩悩」小林よしのりライジング Vol.136

 わしが若者だった頃、老人の気持ちがわからなかった。  悟りを開いた、欲望の少ない境地になるのかと思っていた。  子供が興味を持つ遊びや、子供が欲しがる甘いお菓子など、老人は嫌いで、囲碁や将棋をやったり、酒を飲み、塩辛いものを食うのが老人の嗜みだと思っていた。  老人の青春は戦時中の苦労話で、好きな歌は演歌と懐メロ、ロックをうるさいと言い、漫画をバカにして、タバコを吸いながら、新聞を読んでいた。   それが近頃の老人は何だ!?  NHKの「クローズアップ現代」で「老いて 恋して 結ばれて~超高齢化社会の“男と女”~」というドキュメントをやっていた。  いま、シニア世代の婚活が活発化しているという。65歳以上で結婚する人は1990年以降、4倍も増加している。結婚相談所には初婚や再婚を希望するシニア男性が殺到しているらしい。  その男たちが求めるのは年齢差のある女性、つまり40代や30代の女性だという。 なんか厚かましい気がするが、60代半ばの男が「自分が全然年とった気がしない」と言いながら、筋トレして体を鍛え、30代女性との結婚を希望して、子供も作ろうと思って婚活しているのだ。  ひとことで言えばキモい!  よくよく見れば、筋トレで体に筋肉がついているのだが、髪を染めている。恐らく白髪のはずだ。そして顔がアップになると、間違いなく老人の顔なのだ。   人工的にアンチ・エイジングして、年齢を誤魔化している。  もがいとるな、もがいとるな、老人として~~~~~~~~~と言いたくなるが、なんか不気味なこの男に騙される30代女性が本当にいるのだろうか?  田原総一郎は2回も妻に先立たれたそうだから気の毒だが、73歳のときの同窓会で、かつて高校の頃のマドンナだった女性を誘い、80代で熱烈な恋愛をしていると告白している。  田原は外見的にアンチエイジングせずに、80代で恋愛するパワーがあるのだから凄い。これはやっぱり個人的な特殊性だろう。  そういえば70代の加藤茶が20代の嫁をもらったのが話題になったが、あれは老人には相当うらやましかったのかもしれない。  だがそれはカネの力だ。カネ目当てで結婚したと言ったら失礼だが、カネ目当てでも70代の男に夢を見させる覚悟があるのなら、それは大した野心だと言わざるを得ない。  超格差社会で、恋愛バブルが崩壊した今日では、貧しく将来の安定を期待できない同年代の男との結婚生活を望むより、まだ元気な老人にひとときの夢を見させて、遺産を相続して第二の人生を歩んだ方が、幸福になれると計算しても悪いことではない。  老化した夫の介護が苦痛でなければ、遺産は確実に入って来るのだ。

「未熟な国で老いに抗う者たちの煩悩」小林よしのりライジング Vol.136
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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