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「ストーカーには治療が必要」小林よしのりライジング Vol.200

 今週も引き続きストーカーに関する考察を深めたい。あくまでも特定個人はサンプルであって、「公的」な問題に昇華させねばならない。  先週号でわしは、ストーカーに対して、 「なぜ絶対にその女に認められなければならないと思い込むのだろうか?あきらめればいいだけじゃないか。無駄な執着をやめればいいだけじゃないか」 と書いた。  正直に言って、わしには「執着」している相手に拒否されているのに、なぜその「執着」を断ち切れないのか、理解できないのだ。  相手に興味がある、好意を持つなら、好かれるように努力すればいいし、それで相思相愛にならぬならば、諦めればいい。興味そのものをなくせばいいし、他の相手に興味を移せばいい。  もし嫌われたならば、こんな恥ずかしいことはない。もう大急ぎで相手の前から去るべきだし、記憶から抹消する勢いで、他のことに打ち込めばいい。他の異性でもいいし、仕事でもいいし、読書でもいいし、スポーツでもいい。   相手に嫌がられているのに「執着」「粘着」「固着」する者は、わしにとってはひたすら気味が悪い生物に過ぎない。  当然「101回目のプロポーズ」はストーカーであるし、ヘンタイである。浅野温子は警察に連絡するべきだし、武田鉄矢は刑務所にぶち込まれるべきである。  かつてわしの女性ファンがストーカーになって仕事場の住所を突き止め、周辺をうろつくようになったが、チーフ広井が発見して警戒し、とうとう仕事場のチャイムを鳴らした時は、広井がわしを隠し、見事に追っ払ってくれた。  その女性ストーカーは主婦のようだったが、内面に空洞を抱えた気の毒な人だったのかもしれない。だが、福山雅治は家の中まで侵入されたから女性ストーカーも軽く見るわけにはいかないのだろう。  男のストーカーは同性愛じゃない限り、ストーカーになるときは「憧れ」が「敵意」に転化して「執着」してくる。  そんな「執着」がわしには全く理解できないのは、子供の頃に教育ではぎ取られてしまったからだ。その経験を以前、漫画に描いたことがある。  (わしズムVol.1/2002年4月「巻頭言」/『ゴーマニズム宣言EXTRA』収録)  昔の写真を見ると、子供時代のわしが着ている服はつぎはぎだらけだ。ところが妹はきれいな服を着て写っている。  どうやらわしの母は、わしは学校の成績もいいし、何度も級長をやっている優秀な子だから、ボロボロの服を着せておいても「世間体」には傷がつかないと思っていたらしい。 一方で妹には誇れるものがないから、きれいな服を着せ、安月給のくせにオルガンを買い与え、さらにはピアノを買い与えて、世間体を保っていたのだろう。  ともかくそんなわけで、わしは執着心を持たずに育った。

「ストーカーには治療が必要」小林よしのりライジング Vol.200

「ストーカーの気質についての考察」小林よしのりライジング Vol.199

 ストーカーによる悲惨な事件が跡を絶たない。  東京都目黒区の24歳の女性会社員が殺害された事件では、逮捕された元交際相手の50歳の男は、待ち伏せする際に顔がばれないようにと、ロングヘアーのかつらに大きなマスク、赤いブラウスを着てブラジャーまでつけるという入念な女装をする、異常な粘着性を見せていた。  ストーカーというと、見知らぬ男が勝手に一人の女性に執着し始めるというパターンを思い浮かべがちだが、 実際には、交際していた相手が別れた途端にストーカー化したというケースが多い。  そう言うと「そんな男と付き合った被害者も悪かったんじゃないか」と安直に「自己責任論」にされそうだが、そう簡単には言い切れない。  付き合い始めた頃はごく常識的で、真面目で、優しい人に見えたのに、時間が経つうちに違和感を覚えるようになり、それで別れを切り出したら、たちまちストーカーになるということもよくあるものなのだ。  女性はやはり信頼する知人の「保証」のある男、「信用」できる男と徐々に付き合うことを勧める。ネットなどで得体の知れない男と知り合って、いきなり深い関係になるような軽率な行動は慎んでおいた方が身のためだろう。  ストーカーの気質についての解説を読むと、まず 「プライドが高い」 という点を指摘するものが多い。  例えば、ストーカー対策を請け負う探偵・興信所を紹介するサイトでは、こう説明している。  ストーカーになってしまうタイプは、自分が大好きでプライドが高く、自分のことを特別な存在だと思っています。自分を良く見せるためには嘘もつき、人から偉いと思われたいがために見栄もはります。  人の好き嫌いもはっきりしていて、自分を褒めてくれる人は好きで、逆に自分のことを認めない人や従わない人は嫌いと、あくまでも自分が中心でないと気がすまないのです。  自分の自尊心が傷つけられることにはとても敏感で、他人のミスで自分にささいな被害が及んだだけでも、恐ろしいほどに怒るときがありますので注意して観察しましょう。  この説明は概ね正しいだろうが、ここで「プライド」という言葉を使うのは正確ではないように思う。真っ当なプライドを持つこと自体は大切だからだ。   ストーカーの気質は、「プライドが高い」と言うよりも、 「自己承認欲求が強い」 と言うべきだろう。   とにかく「自己承認欲求」が強くて、自分を特別な存在だと認めてほしいと思っている。だがそれが認められなかったら、認めてくれない相手を憎悪し、異様なまでに執着して、攻撃的になる、それがストーカーである。  またストーカー気質の人間には、実は赤の他人には「外面が良い」という特徴がある。人によく思われたいという願望が強いからである。  完璧主義で仕事もできる人が多いが、親しくなった相手には甘えが出て来て、自分勝手に振る舞う。しかしそのような本性は、他人にはわかりにくいから厄介なのである。 「自己承認欲求」の過剰な「かまってちゃん」には、本当は構ってはいけない、無視しなければならないのだが、最近のストーカー事件の多さを見ていると、現代人の「心の闇」を身近に観察できる例として、ちょっと触れておこうと思う。

「ストーカーの気質についての考察」小林よしのりライジング Vol.199
小林よしのりライジング

常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!

著者イメージ

小林よしのり(漫画家)

昭和28年福岡生まれ。昭和51年ギャグ漫画家としてデビュー。代表作に『東大一直線』『おぼっちゃまくん』など多数。『ゴーマニズム宣言』では『戦争論』『天皇論』『コロナ論』等で話題を巻き起こし、日本人の常識を問い続ける。言論イベント「ゴー宣道場」主宰。現在は「週刊SPA!」で『ゴーマニズム宣言』連載、「FLASH」で『よしりん辻説法』を月1連載。他に「週刊エコノミスト」で巻頭言【闘論席】を月1担当。

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