2025-10-06

トゥモローワールドを観た

トゥモローワールド』って映画を観た。

なんか急に観たくなったんだよ。さっきYouTubeおすすめに予告が出てきて、なんとなくU-NEXT再生したら止まらなくなった。

観終わったあと、今こうしてこれを書いている。

俺はネットで毒ばっか吐いてる。ここでもXでも、なんかもう自分でも嫌になるくらいネガティブ

「女は終わってる」とか「人間繁殖やめた方がいい」とか、そういうことを言ってるほうが楽だった。

現実のほうがよっぽど嘘っぽい。結婚とか出産とか、見てるだけで寒気がしてた。

「どうせ地獄を見るのになんで自分からまれてくるんだよ」

そういうことを思ってたし、口に出すとなんかスッとした。

俺はずっと反出生主義者ってやつだった。生まれなきゃ苦しみもないし存在しないことが一番の救いだって本気でそう思ってた。

でもな。

この映画を観て、ちょっと変わった。

トゥモローワールド』は近未来の話だ。

原因不明不妊によって、世界中子どもが産まれなくなって18年が経った。

社会崩壊して、暴力と無関心が支配してる。

主人公の男は元活動家。今はしがない官僚でただ日々をやり過ごしてる。

そんな世界で突然、妊娠した女が現れる。その女を守るために主人公が命がけで行動する。

ただそれだけの話。

俺は最初ありがちな設定だなと思った。希望象徴としての赤ん坊。救済としての母性。それってハリウッドが好きそうな構図じゃん。

でも、観てるうちにだんだんかにやられた。派手な音楽もない。CGも地味。けど…世界リアルすぎるんだよ。

人間がこんなに壊れてるのに、まだ“誰かを守ろうとする”っていう本能が残ってることにどうしようもなく胸を掴まれた。

中盤のシーン。

銃声が響く中、主人公妊婦を連れて逃げる。廃墟の街を抜けて汚れた階段下りる。兵士たちが戦っている。人が死んでいく。その中を彼はただ黙って必死に歩く。赤ん坊が産まれる音が聞こえる。泣き声が響く。

その瞬間、銃撃が止まるんだよ。

全員がその泣き声に気づく。

戦ってた連中も兵士もみんな息をのんで道をあける。

母親が子を抱えて歩いていく。

誰もが見つめている。

その間だけ、世界が静かになる。

あのシーンで泣いた。

まじで、ボロ泣きした。

俺はこれまで、子どもの泣き声ってただただ不快だと思ってた。

近所のガキの声を聞くとだいたい舌打ちしてた。親が黙らせろよ。躾してんのかよ。うるせぇ。〇ねよ、くそ

でも映画の中であの赤ん坊の泣き声を聞いた瞬間、それが「音」じゃなく「命」なんだって気づいた。

泣き声が響いた瞬間、あの崩壊した世界意味が戻ってくる。

俺が軽蔑してた生の瞬間が、確かにそこにはあった。

それを感じた瞬間、俺の中で何かが崩れた。

正直、俺は「希望」って言葉が嫌いだった。大嫌いだった。便利すぎる。努力とか根性と同じで、使い勝手のいい言葉だと思ってた。

でも、この映画を観て思った。希望っての、願うことじゃなくて“信じるふりをすること”。

誰も保証してくれない未来を、それでも「まだ何かがある」と信じて進むこと。それはバカみたいに見えるけど、それがなかったら人間は多分もう立てない。きっと前を向けない。

俺が反出生主義だったのは、希望を持つのが怖かったからだ。

もし希望を信じて、それが裏切られたら、立ち直れない気がしてた。

から最初から希望否定してた。傷つかないように世界を嫌ってた。

この映画主人公は違った。希望なんて信じちゃいない。それでも、赤ちゃんを運ぶ。自分ためじゃない、誰かのために。あの背中が俺には神みたいに見えた。

ラストシーン

船が霧の中から現れる。

トゥモロー号。

あの瞬間、俺は久しぶりに未来という言葉を美しいと思った。

これまでの俺にとって未来なんて、「老い」と「絶望」でしかなかったのに。

だけど、あの船の音を聞いたとき初めて“命をつなぐ”ということの意味がわかった気がした。

観終わって、エンドロールの間ずっと動けなかった。

馬鹿みたいに泣いた。涙が止まらなかった。エンドール中ずっと泣いていた。

もし生まれなきゃよかったなんて思ってるやつがいたら騙されたつもりでもいい。頼むからこの映画を観てほしい。

これ以上説教さいことは言わない。

ただ観終わったあとできっと少しだけ優しい気持ちなれると思う。

これを書いている最中にも映画のシーンを思い出すと泣いてしまう。

こんなに素晴らしい映画があるなんて知らなかった。本当に素晴らしい映画だった。

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