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2025-11-14

国会図書館デジタルコレクションで見る戦前新撰組の扱い

以前、「国会図書館デジタルコレクションで見る明治時代の新撰組の扱い」という記事を書いた。

その続きとして戦前特に新選組イメージを覆したと言われる子母澤寛新選組始末記』(1928年前後評価を探っていきたいと思う。

関連:新撰組は「悪役」扱いだったか?~彼らの「語られ方」の歴史を検証する - posfie

1926年大正15年)富永堅吾『剣道達人腕比べ』

近藤勇といへば、維新当時、鬼勇とまでいはれた武勇伝中の一人で、今に尚、芝居や講談読物によつて若い人たちの血を湧かして居るが、彼れは若い時分、近藤周斎の門に這入つて剣術を学んだ。

これは古今の剣術家らのエピソードを集めた子供向けの読み物らしい。そのうちの一篇として近藤勇が紹介されている。特に悪い書き方はされていない。

「芝居や講談読物」によって、近藤勇がよく知られていたことが窺える。

1926年大正15年)の村松梢風創作講談』の広告

第一の『近藤勇』は新撰組領袖として目覚ましい大活躍をした幕末史中の花形役者

創作講談』は「近藤勇宮本武蔵一休和尚猿飛佐助清水次郎長紀伊国屋文左衛門」という伝記のシリーズで、1925年刊行されたようだ。

1927年昭和2年雑誌帝劇

勤王、佐幕、そして今の世は勤王劇流行で、勤王で無ければ成らぬ流行中を、我が澤田は新撰組の佐幕劇を以てその隊長近藤勇で見えている

劇団新国劇」についての論評。『新撰組』は新国劇十八番で、たびたび上演されているとも書かれている。

1927年昭和2年雑誌日本日本人』

そこで先づ目に映つたのは、此頃人気を呼んでいる新撰組隊長近藤勇が、大阪富豪鴻池善右衛門加島屋作兵衛、辰巳屋文左衛門外十数名から金を用立てさせた「約定証書」は、鴻池の家蔵品として出品されてあつた。

大阪朝日新聞社主催・大阪市後援の「大阪史料展覧会」のレポートらしい。

そういうイベント鴻池家が新選組史料を出している、というあたりに「此頃の人気」が窺えるのではないか

続いて子母澤寛新選組始末記』直後の1929年新選組評価をいくつか。

1929年昭和4年文芸春秋社文芸創作講座』

今日大衆文学に行はれている赤穗浪士にしても由井正雪にしても近藤勇にしても、悉く正史よりも寧ろ外傳の史料に拠るものが多い。


1929年昭和4年尾佐竹猛明治秘史疑獄難獄』

剣劇映画大衆文芸に何百回となく描かれて居る一代の剣豪近藤勇も、明治元年正月幕軍の敗走以来、落目となつては為す事毎に齟齬し、四月三日越ヶ谷の官軍本営にて捕はれた。


1929年昭和4年子母澤寛新選組始末記』の広告

時代は常に逆転す!チャンバラ本家新選組だ!現代チャンバラ全盛を地下の近藤勇は苦笑でもやつてるか?明治回天大芝居の其花形新選組の後始末はサテどうなつたか!?


1929年昭和4年)『菊池寛全集』より「後代の人気」

だが、近藤勇のこの頃の人気は素晴らしい。大衆的人気の上で維新の三傑などは、蹴飛ばしいるから愉快である。後代の人気と云ふものは、その時代を作つた人に集らずして、その前代に殉じた人に集るやうである


なお、新選組が登場するフィクションとしては、前回に紹介した講談を除くと、1913年から連載された中里介山大菩薩峠』が一足早い。

そして前田曙山『燃ゆる渦巻』、大佛次郎鞍馬天狗』、白井喬二新撰組』といった人気小説1924年に揃って出ている。

いずれも新選組主人公というわけではないが重要な役どころで登場する。

それを受けてか、1925年から新選組を主役とした映画が立て続けに公開されていたらしい(参考)。

戦後になるが1959年大井廣介ちゃんばら芸術史』から、まとめっぽい記述を。

たとえば、小説では、白井喬二独楽師の角逐というめずらしい題材をとりあげた『新選組』の遠景には近藤勇池田屋斬込みなどが扱われ、大仏次郎の『鞍馬天狗』の最初単行本でも、近藤勇がすこぶる活躍した。劇では、行友李風新国劇に『新撰組』を書きおろし、沢正が近藤勇をやる。映画では、枚挙にいとまないという有様だった。このように、勤皇か佐幕かのチャンバラ新撰組近藤勇がしきりにでてくるようになったのは、『大菩薩峠』や『月形半平太』が既にあるにはあったが、『朝日』の『燃ゆる渦巻』が大々的に口火をきった。


以上からすると、『新選組始末記』以前から近藤勇および新選組は十分に時代劇のスターだったようだ。

維新志士の好敵手として設定されてはいても、しかし「悪役として嫌われていた」という感じではない。

特に1924年ごろから一種の「新選組ブーム」と言っていいような状況だったのではないか

ただ当時は、あくま近藤勇の人気が飛び抜けて高く、次いで土方が知られていたくらいで、沖田などのキャラが立ったのはやはり『新選組始末記』以降だろうか。

1929年には月形龍之介主演で『剣士沖田総司』という映画が作られたらしい)

池田屋で沖田が病気により昏倒する」などのエピソードは、明治末の講談に採り入れられてはいたが、それ以降の作品にあまり引き継がれなかった。

そうした細かいエピソードあらためて掘り起こして、当時大量に作られていた小説映画に新たなネタ提供した、という点に子母澤寛の功績がありそうだ。

2025-01-04

anond:20241228124003

漱石を引き合いに出してるので、明治から大正の頃の大衆の娯楽は……という話だと思うけど、大正にもなると、社会の中層くらいであれば、寄席や芝居・演劇活動写真もあればレコードもある、てな時代。また、漱石なんかは新聞連載小説ではあるけれど、それを「個人が黙読する」ことが当たり前である現代とは異なり、家族の中に読み書きできない人や子供がいることを前提に家族に「読み聞かせる」ことを通例にしていたりする場合もあった。だから、当時の人のリテラシー知的水準現代よりはるかに高かった、ということは、まあ、無い。

ちなみに社会の下層と言われる人々における「娯楽」について言えば、(データを基にすると)こんな感じだそうだ。

日雇労働者問題』に収録された内務省調査によれば、かれら(日雇労働者のこと:引用者注)の半数以上が飲酒にひたっている。かれらが娯楽対象としてあげる最大のものは酒であり、そのあとに大きく水をあけられて、寄席活動写真映画)、タバコ読物、女がつづいている。大衆雑誌小説など読物比率は酒の8分の1ほどにすぎない。新聞を娯楽とするものは、1、300人のなかでたったひとりにすぎない。もっとも、新聞は娯楽メディアとして、他のもの比較するのは無理であろう。だが、日雇労働者なかに新聞読者がいかに少なかったかということだけは、この調査示唆している。

新聞読者層はリテラシーなどを考えると都市日雇労働者のなかでは1割前後しかなかったと推測される。これらの調査大正中期~後期に実施されたものであるが、昭和初期にもこの比率にさほどの変化はなかったと思われる。

「戦前の新聞読者層調査」(山本武利,関西学院大学社会学部紀要29巻,1974)

2024-01-09

[]週刊文春について調べた

正直自分世代より下はほぼ興味無いと思う

存在は知ってるみたいな感じ

 

週刊文春 いわゆる週刊誌で一番売れてる雑誌

発行会社文藝春秋

 

文藝春秋

社員数348名

売上高194億円

平均年齢45歳

設立1923年

直木賞芥川賞をやってるところ

雑誌文学界オール読物、月間文藝春秋、**週刊文春**、CREACREAトラベラーNumberなど

新卒採用は年3人くらい

 

売上の内訳は調べたけど分から

たぶんだけど普通に文春新書文春文庫で出ている本がメインじゃないかと予想

新書は読まないから知らんけど

 

売上は緩やかに落ちていってる(業界全体がそうなので他社寄りマシ)

 

週刊文春

値段:480円

発行部数:四半期あたり47万部、週あたり3.8万部(2022、ただし印刷である

売上:年間9.8億円(2023)

購読者割合:70代男性が最も高く、若いほど少ない(活字全盛期がたしか昭和40年代だから、単にその世代なんだろう)

 

発行部数の減衰

週当たり

2008年 6.2万部

2015年 5.1万部

2022年 3.8万部

大体年間5%の減少(売上で言えば0.5億円ペースで減少)

スマホ普及前から減っていて(活字離れ)、スマホ登場後減少がやや加速

 

週刊文春電子

月額プラン:2200円

会員数:最近1万人を突破

会員売上:推定2.6億円

PV等:自社5億/月、外部含め8.6億/月、Twitterフォロワー68万

広告売上:不明

メイン購読者40代

 

所感:

・一番売れている

・全体の事業の規模から言えば週刊誌は割りと趣味みたいなものなのかもしれない 

雑誌冬の時代なのでどの週刊誌も減ってきている、新聞とどっちが先になるなるかという感じ

電子版が伸びてきているが、2022年2023年はそれほど伸びていない

・15年で売上が6億円分くらい減っているが、電子版でどのくらい増えたかは未知数(総じて微減か?ただ記事をどこにどう売ってるか不明なのでひょっとしたら増えてる可能性もある)

小学館700人、集英社770人、講談社920人、新潮社480人、と見ると大体規模感が分かる

週刊少年ジャンプが週あたり10万部くらい、と見ると大体規模感が分かる

日経電子版の有料会員数が89万人、ガーシーのメンバーシップ推定4万人、とみると有料会員1万は少なく見える

・ガーシーが消えたのは文春にとってデカかったのではと思う

・現状の「300人に1人が雑誌を買ってる」という状態でも成り立つようなビジネスなので、週刊誌が万人受けする必要はなさそう、それこそ袋とじみたいな存在なのかもしれない

 

____

 

訂正、補足ありがとうございます

 

____

 

別のところで調べたけど、「発行部数」と「実売」はかなり乖離があるらしく、発行部数で見るのは危ないっぽい

 

日本ABC協会(Audit Bureau of Circulations,新聞雑誌部数公差機構)の2023年上半期の各誌実売部数を見たら全然数字が違った

https://www.sankei.com/article/20231224-AFQCTVQYHBNNDFX6CMBIJQXMCE/

 

週刊文春』 20万8418

週刊現代』 12万5869

週刊新潮』 12万2781

週刊ポスト』 11万7835

週刊プレイボーイ』 6万9205

週刊大衆』 6万8150

『AERA』 3万4570

 

半期で20.8万部、1年で41万部だとすると、年間売上は約2億円であり、もうお小遣い程度にしかならない(松本人志年収より低そう)

というわけでもう少し調べたけど、やはり文春は今はワイドショーなどに動画ネタを売ってるらしく

実質そういう下請けというか、そういうものになっているようだ

というわけでどのくらい儲かってるかはまるで分からないが、収益源が明らかに雑誌ではなくなっているのは確かだろう

2022-10-22

文芸オワコンなのか

文芸誌に興味を持ったので地元の少し大きな本屋に行ったのだが、驚いたことに文芸コーナー自体が無かった。

文芸春秋や中央公論は置いてるし、HanadaやWill正論の類も置いているが、文藝文學界オール読物ミステリマガジンユリイカとかが無いわけよ。

金持ちが多くて美術館も近い文化的地域書店なのに、なんでこんなことになってるんだ……。

2018-04-12

ユーザビリティユーザリテラシー反比例する

漫画村の一件でよくわかった。

漫画村みたいにユーザビリティをとことん追究したサイトには、リテラシーの低い連中が集まる。

そうではない読物サイトには、リテラシーの低い連中は近寄らない。使い方がわからいから逃げていくのだ。

からリテラシーの高い客層を狙うには、わざとユーザビリティを下げた使いづらいサイト構成にすべきなのだろう。使いづらさを補える程のコンテンツを揃えるのが条件だが。

2016-03-09

http://anond.hatelabo.jp/20160309233422

民衆が無学で何も生み出さなかった時代

馬鹿民衆馬鹿なりに単純な芝居や読物を作り出した江戸時代

海外作品パクるだけで偉そうにできた明治時代を経て、

現代になってようやく高度な創作ができるようになったと言うのに。

 
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