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はてなキーワード: 信用創造とは

2025-11-13

anond:20251113110419

「完全に間違いではないけど、順番も前提もごちゃ混ぜで、理論としてはかなり雑」という評価になります

一緒に論点をほどいていきましょう。

増田さんの主張を整理するとこうなる

歳出増 → 貨幣価値減少(インフレみたいなイメージ?)

貨幣価値↓ → 円安

円安をどうにかするために金利

よって「積極財政円安になるんだよ」

という流れですね。

そもそも「歳出増 → 貨幣価値減少」のところ

ここから既にツッコミポイント多めです。

教科書的には

政府支出増(財政拡張)」=IS曲線が右シフト

それによって

産出量(Y)↑

利子率(r)↑(貨幣需要↑の結果)

であって、いきなり「貨幣価値が減る(=通貨安・インフレ)」と直結はさせません。

貨幣価値インフレ)に直接効くのは、大元ではマネタリーベース信用創造・期待のほう(金融政策

財政拡張あくま

需要を増やす」→ 経済がフル雇用に近づく → その過程インフレ圧力高まるかもね

という間接ルートです。

から

歳出増 → 直ちに貨幣価値下落

というのは、話を相当すっ飛ばし乱暴な言い方です。

② 「円安をどうにかするために金利を上げる」って本末転倒では?

増田さんは、

円安 → それを直すために金利を上げる

と言ってますが、

マクロモデルIS-LM / マンデル=フレミング)の世界では順番逆です。

標準的ストーリーは:

財政拡張金利↑ → 資本流入通貨高(変動相場資本移動自由

であって、

通貨が先に動いて、後から通貨を直すために”金利が動く」

という話ではありません。

(もちろん現実中央銀行が「為替意識して」金利判断することはありますが、それはまた別レイヤーの話)

まり理論の話をしてるところに「為替是正のための政策反応」を混ぜてしまっているので、

モデルとしての整理がめちゃくちゃになっています

③ 「積極財政円安」は絶対でもなんでもない

増田さんは

積極財政円安になるんだよ」

と断定してますが、ここが一番危険ポイント

実際には:

マンデル=フレミングの基本結果(変動相場資本移動自由

財政拡張(G↑)

IS曲線シフト所得↑・利子率↑

高い利子率を求めて資本流入

通貨名目・実質ともに高くなる(通貨高)というのが標準結論です。

まり

積極財政通貨高方向」が教科書的なデフォルト

なんですよね。

④ じゃあ「積極財政円安」になるケースはあるのか?

あります

ただし、それは別の前提・メカニズムを明示すべきです。

例えば:

1. 財政拡張インフレ期待を強く高めるケース

国債刷りまくり→将来のインフレ or デフォルトが怖い」と見なされる

通貨建て資産の実質価値低下が意識され通貨安になる(新興国あるある

2. 中央銀行が緩和を続け、名目金利を上げないケース

G↑で景気は良くなるが、政策金利は低いまま(あるいは国債買取で押し込む)

インフレ率↑に対して名目金利が据え置きなら実質金利

実質金利が下がる通貨は売られやすい → 通貨

これは「近年の日本積極財政+YCC+ゼロ金利」みたいな話と絡めるとイメージやすいです。

なので、

積極財政円安になるケースも確かにある。でもそれは金利を抑え込む金融政策や、信用・インフレ期待の悪化がセットになったとき

という条件付きの話です。

増田さんのように財政だけを取り出して「積極財政円安」と断定しかも「金利円安を直すために上げる」という逆順ロジック理論的にはかなり雑です。

⑤ どこまで合ってて、どこから間違いかを整理すると

それなりに筋がある部分

財政拡張インフレ圧力を高めて、通貨価値を押し下げうる」

→ 状況次第で(特に中央銀行が緩和的なら)そういうことはありうる

インフレ通貨安が進みすぎると、中央銀行金利を上げてそれを抑えにいくことがある」

→ これも現実には起きる(トルコパターンとかもあるけど)

根本的に雑・ミスリードな部分

歳出増=即通貨価値減少

標準モデルでは、まずは金利・産出の変化から話を出す

通貨価値は、金融政策資本移動・期待のセットで決まる

為替是正のために金利を上げるという順番を、理論メカニズム混同

モデルの話では

金利が上がるから通貨高」であって

通貨安だから金利上げる」とは別のレイヤー

積極財政円安」みたいな一刀両断

現実には

財政の中身

金融政策スタンス

国際環境リスクオン/オフ

などで通貨高にも安にも振れうる

教科書の基本結論はむしろ通貨高寄り」

2025-11-10

anond:20251109183315

その感覚、かなり正しいと思う。

今のアメリカ経済データを追っている人なら、みんなどこかで同じ不安を抱いてる。

実際、Cass Freight Indexトラック輸送量指数)は前年比マイナス圏、求人件数(JOLTS)はピーク時から3割減少。

それでも株価が上がり続けているのは、もう“実体経済”ではなく“AI期待”だけで回っているから。

まりAIバブルの中核にあるのは期待の信用創造なんだよね。

そしてこの種の信用は、壊れる時は一瞬。

AI関連株が崩れると、機関投資家リスクオフに転じ、

結果的に全資産クラス(株、債券、金、不動産暗号資産)が一斉に巻き込まれる。

「逃げ場のない暴落」──それが今回の特徴になると思う。

たぶん、多くの人が「積立NISAなら大丈夫」と思ってる。

でもその安心感こそ、今回のバブルを支えている要素のひとつ

AIブームが崩れる頃には、NISAも、ETFも、同じ流れに飲み込まれる。

リスクを取っていないつもりで、実はリスク最前線に立っているのが今の個人投資家だ。

積立をすぐやめる必要はないけど、

せめて「これがバブルの中の積立だ」という自覚だけは持っておいた方がいい。

なぜなら、バブルが弾けたあとで残るのは“積み立てた金額”ではなく、

現実を見ようとしなかった時間」**だから


タグ投資, NISA, バブル, AI, 経済, 株式市場, 不安

────

希望があれば、これをもう少し

増田っぽい素人目線での嘆き調」

金融評論家風の冷静口調」

のどちらかに寄せたリライトもできます

どちらの方向で調整してみましょうか?

2025-11-07

anond:20251107050548

合理的経済人空気抵抗考慮せず航空機設計するようなものだがケースバイケースでギリギリ理解出来る。

リカード中立命題みたいなのは馬鹿じゃないのか、としか思えないが。

念頭に置いてたのは、又貸し説みたいな現実信用創造システムと異なるシステムを前提にしてたり、中央銀行通貨発行能力存在無視していたり、中央銀行保有国債民間保有国債区別付けてなかったり、政府支出で発生する信用創造日銀当座預金回帰内省貨幣供給無視してたりするやつ。

ひどいやつだとモデル現実区別がついてないやつがマジでいる、その主張おかしくね?というのに対してモデル存在自体を根拠説明してきたやつがいた(京大生名乗ってたやつで)。

勉強してきたもの現実では何の役にも立たないガラクタだったとは思いたくないのか知らんが。

あとはポテチ作ろうが半導体作ろうが貿易額が同じならどっちでもいい、みたいな他分野のこと一切考えとらんお花畑系やな。

関係ない話だが経済学って複雑な世界を都合よく切り取り現実の観察も軽視して単純で綺麗なモデル説明しようとするあたり、本質的陰謀論っぽいなと書いてて思った。

2025-11-02

anond:20251102162416

経済学といっても細分化が進みすぎてコッチの経済学で誰でも知ってることをアッチの経済学誰も知らないみたいなことが余裕である世界だよな

特定用語意味を知らないだけで経済学を知らないと結びつける意味あんまりなくないか

それよりももっと根本的な経済学素養みたいな部分を見たほうがいいのでは

例えば債権金利価格関係説明できるとか、信用創造の仕組みを説明できるとか。

けっこう偉そうな地位にいる人でも普通に何回説明しても理解できてない人が多い。

説明の仕方が悪い可能性もあるけど一般的解説サイトを見せながら説明しても全く理解できないという人が本当に多い。

わかってそうでも「金利が上がると価格が下がる」とか丸暗記ハックで乗り切ってる人間が多いので「償還まで持ってれば損しない」みたいなまるでわかってない考えだったりする。

2025-10-13

anond:20251013212841

うーん

帝国主義以来ずっと、経済の成長とは新たな搾取先を見出すことだったと思うんだけど、

もちろんそれによって潤ったのは金持ちだけではない、いや、なかった。

世界が直面している格差はあまりにも大きすぎるし、

現状の金融資本主義はどのような状況の企業にもシステマチックに利潤のみを追求させるので、

結果として本当に一部の金持ちだけに富が集中してしまっている。しかもそれは実態のない数値としての富なので、パトロンとして文化成熟寄与することもあまりない。

個人的には信用創造廃止でいいけどね、世界いっせいに。

2025-09-15

個人企業が金を借りることによって生まれ信用創造によって市場通貨量が決定されているが

個人企業じゃなくて、国自ら借金して信用創造すべきっていうのがMMT論者の言い分ってことで良いですか?

2025-07-18

anond:20250718004407

金利日銀操作出来るので基本問題にならないと思うが(クラウディングアウトも現実金融機関信用創造原理的に理路説明おかしいし)、為替に関しては外的要因によっても変化するし、別で政府補助金出すとかの状況に応じて対処すればいいんじゃないかな。

2025-07-09

anond:20250709182549

本筋の話でないがMMT関連で言うなら参政党は元自民積極財政議員だった安藤裕氏がいる。多分MMTというか国債信用創造の仕組みを最も理解してる貴重な議員の一人だったので経済が何が何でも最優先という人は惹かれるかもしれない(俺は安藤自体評価高いのだが党が表現規制中心に他が劇物過ぎて支持出来なくなったが)

ショート動画考察だが客観的裏付けはないもの説得力を感じる考察だと思う。

ショート動画は手短に見れるしネタも量産出来るから拡散やすいし、見てる人は回転寿司みたいに次々流れてくるもの機械的に見ていくらしいので宣伝効果は高そうである

2025-04-28

anond:20250428013935

マジレスすると国債基本的日銀による直接引き受けは禁止されてるので民間金融機関が購入してる。

また新規国債を買うには基本的日銀に口座を持つ金融機関しか買う事ができない。

ただ国債の借り換え用に発行される借り換え債や短期証券とかは日銀が直接引き受けしてる。

ちなみに民間金融機関国債を買うマネーが不足してるなら日銀が貸与なり保有資産購入して供給すればいいだけ。

現状、日銀政府会計分けてるから国債介してるだけで統合すれば政府通貨作ってそのまま支出するだけになる。

現状の通貨中央銀行負債なように政府発行通貨政府負債となるが利払い費もなければ返済義務もないので、会計負債なだけで借金の類ではないのでいくら積み上がろうがそれ自体は何の問題もない。

国債を返済すると市場お金流通額が減る気がするんだけど、この辺りのロジックってどうなっているんだろう?

正しい。単純に説明すると資産というのは別の主体負債なので(例えば会計現金日銀負債だし、国債政府負債)、返済すると負債資産も消えるので流通額は減る。逆にいえば国債を発行して支出するとマネーも増える。ちなみにこれは国会質疑で日銀確認済み。

発行された国債銀行保有しまして、財政支出が行われた場合には、同額の預金通貨マネーといいますか、これが発生することになるということでございます。...

国債が償還を迎えて発行残高が減少する場合ということでございますが、そのこと自体預金通貨マネーの減少につながるということでございますけれども...

https://www.andouhiroshi.jp/s/wp-content/uploads/2021/03/20%E7%AC%AC200%E5%9B%9E%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E5%86%85%E9%96%A3%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E7%AC%AC2%E5%8F%B7%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B410%E6%9C%8823%E6%97%A5.pdf

流通額が足りない時ってどうやって増やすんだ?

現状だと政府国債出して財源調達して民間財政支出したらいいだけ。それこそ需要が十分になるまで適当にばらまけばいい。

民間信用創造に頼るやり方もあるがリフレーション政策効果イマイチだったのは見ての通り(まああれは増税して景気冷やしたのも悪いが)

2025-04-14

anond:20250414134504

お前が言ってるのは「摩擦は!?」「空気抵抗!?」みてーな話で非本質的なのよ

君がどうだかは知らないが、現実適用させるにはその非本質的な部分も考慮しなければならないわけだが、そういう複雑性を無視した現実単純化したモデル現実で使おうとしてるあたりが経済学ダメなところの1つという認識

モデルとの乖離があったらそれはデータからはっきりわかることでさ、わざわざ「モデル現実と思うな!」なんて言わなくてもわかるわけ

ほんとに分かってるなら言うことないんだがマジでいるんだよ。モデルの方を正しいと思ってるやつ。

実際違うじゃん、って言ってるのにそういうモデルがあるんだよ、とか言い始めるやつマジでいたんだよ。

しろ乖離があった場合はその原因を分析できるだろ

それはその通りだが経済学現実に合わせてモデル理論修正したりしてるかというとだいぶ怪しくないか

信用創造理解からして金融実務あたってる人間否定してる又貸し説採用してるところもかなり多いようだしリカード中立命題やら合理的経済人やら非現実的な前提使ってるわけで。そもそも経済は基本変数が多すぎるんで実際原因を分析したところであんま精度出ないように思う。

モデルがなければ「法則」を捉えることができないってのはわかるよね?

強いて言うなら法則を数式化したものモデルやろ?

まあ法則とか言ってるが経済学法則やら定理やらという言葉が付いたものが、自然科学的な普遍性を持つ法則定理でないことは明らかだが。

2025-04-03

📌 結論:「資本徴税権を持つ」未来

現代格差拡大は、単なる「金持ちが得をする」話ではなく、「資本が新たな支配階級となり、庶民から強制的に富を徴収するシステム」に近づいている。
✔ 本来国家徴税し、社会バランスを取る役割を持つが、資本がそれを肩代わりし、「庶民から徴税」を独占しつつある。
✔ これが続けば、実質的に「企業国家」「資本による封建社会」のような構造になる可能性がある。

➡ 現代資本主義の行き着く先は、「民主的国家」ではなく、「超巨大資本実質的国民支配する世界」かもしれない。


この結論は俺が誘導したのか、ChatGPT君の妄想に俺が誘導されたのか

プロンプト

1. 資本、富、貨幣購買力、信用、信用創造について整理したい
2. 資本価値購買力によって決まると言えますか?株価などは、買い手がつかなければ紙屑ですよね?
3. 誰も利用しない不動産設備特許価値が無いと言えますか
4. 世界中の富が1つの資本に吸収された時、その資本に誰が値段をつけるのでしょうか?
5. その資本からお金を借りることはできませんか?
6. 資本側はAIロボットがあれば、人間労働不要かもしれませんね
7. ただ一つの資本が生き残った時、世界社会主義になるのでしょうか
8. 独占禁止法は全ての国にあるのでしょうか?国際企業はこれらの法律の影響を受けますか?
9.大資本に富の大半を持っていかれている状態で、自分自身購買力をつける方法があるとすればなんでしょうか
10. お金、は今住んでいる国、地域お金を指していますか?その場合他国の金は株券証券のような扱いになるのでしょうか
11. 資本通貨を独占している時、国が通貨を発行してインフレになるのはどういう意味だと言えますか?少数の資本による富の独占によって通貨価値が下がる現象には、国が通貨を追加発行することも織り込まれている?
12. 格差拡大というのは、富裕層庶民の富が 100:1 だったものが、100兆:1 になるようなもの?
13. "庶民借金を抱えたまま資本依存するしかなくなる。" これってまるで、資本徴税権を持っているのと似てます

2025-03-26

dorawii

もしも火事お金が焼けたらどうなります

1億円の札束燃えたとして造幣局が発行し直さないと日本国から1億円分の紙幣

流通しないまま消滅する事になると

思うのですけど

その貯金がその家に置かれていたのは事実でも

収入源に明確な証拠が無い場合

そもそも最初から1億円の存在自体

ハッタリだった場合

1億円は別の場所に隠されていて

計画的放火して燃えた事にした場合

収入証明比較簡単だが支出=使ってないことの証明がなかなか難しいわけだが、それが可能ならあるいは紙幣の再発行手数料は取るとしてもお金補填自体合理的かもしれないと思うわけで。

信用創造等一部の例外を除きお金についても保存の法則のようなものが成り立つべきであって、火事現金という価値象徴するもの燃えただけのことで価値自体勝手消失するようなことはあるべきじゃないと思うわ。

2025-03-04

anond:20250304094324

信用創造経済回してる以上

10年か20年に一回恐慌は来るもんなんだよね

責任被せて潰す存在を用意して回していくのが国家戦略として正解だと思う

2025-02-21

anond:20250221160731

難しい話は知らんから簡単に教えてくれ

いやかなり簡単信用創造の話やで。

2024年国債発行181兆で181兆円分の資産が増えたとするなら、その分の貨幣価値の減少が発生しているのかしていないのか

国債発行分181兆を取りやめて、貨幣181兆を増やす国債発行と差が出ないのか

さっきは通貨物質有限的なものと捉えてると思って説明したが、正直君のいう貨幣価値が何なのかよく分からんので貨幣価値定義書いて。

anond:20250221152449

国債レベル通貨発行してたら貨幣価値下がるに決まってるじゃん

国債を他から金取ってきてるだけだから通貨増えないと思ってると思うんだが、国債負債なんで信用創造により通貨増えるぞ。

詳しく知りたかったら内省貨幣供給論とかで調べればいいと思うが、以下の国会質疑確認した方が信用出来るんじゃないか

安藤(裕)委員 ありがとうございます

 そのとおりなんですね。融資を受けたとき預金は新しく生まれて、銀行融資を返済したときお金は消えていく。我々が生きているこの資本主義社会で使っているお金とは、借金することによって生まれて、借金を返済することで消えていく、そういう運動をしているものであるということです。

 それでは、これを国の借金に置きかえて考えてみると、国が借金をする、国債を発行して借金をするということはどういうことか。

 また日銀に伺いますけれども、国が新規国債を発行して、これを政府支出という形で、公共事業でも給料の支払いでも何でもいいんですけれども、民間支出をした場合民間の貯蓄はその分ふえると考えてよろしいでしょうか。

藤田参考人 お答え申し上げます

 委員御指摘のとおり、発行された国債銀行保有しまして、財政支出が行われた場合には、同額の預金通貨マネーといいますか、これが発生することになるということでございます

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000220020191023002.htm

2024-12-22

財務省理屈と「信用創造」というキーワードで考える本当の問題

三行でいうと

財務省理屈

一言でいうと、

「歳出は社会保障費などもあって急激に減らせない。国債の発行は抑えないといけない(※)。ゆえに歳入増になる施策を行いたい。減税などもっての外」

というものです。

以下は※の補足です。

財務省というか会社財務部にしろ、彼らの仕事財政監視健全化です。どういうKPIでそれを計るかは色々ありますが,財務省場合一言で言うなら「国債の削減」です。

具体的には「政府債務残高が家計の純金融資産を上回らないようにしないといけない」というものです。

これはつまり国債の主な引き受け手である家計資産を超える債務を発行することは貸し手がいなくなる=金利の急上昇を招くから政府だけでなく国全体の金融危機が起きる」

というものです。そのために債務残高は圧縮まではいかなくとも増え方を緩やかにする必要があるということです。これに関しては間違いだと思っているので文末にAppendixとして入れておきました。本筋と関係ないので読まなくて良いです。

例えばこことかを見ると書いてあります

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2023/junkan_report.html#11

信用創造という考え方

Aさんは銀行100万円借りたいと言いました。無事審査が通り、貸し出しが実行されたのでAさんが通帳を確認すると、100万円残高が増えていました。ではこの100万円は誰が用意した(払った)ものでしょう?

正解は「誰でもない」です。誰かが100万円を払ったわけではなく、銀行1000000という数字を通帳に印刷しただけなのです。この部分に関して議論余地はないので一旦受け入れてください。

これは経済全体という枠組みで見ると、流通するお金貨幣)が100万円分増えたことになります。これを信用創造といいます。Aさんを国に置き換えた場合でも同様です。債券という仕組みが理解を難しくするかもしれませんが、本質的には同じなので一度受け入れてください。これに関しては財務省も認める事実です。

そしてここから重要なのですが,経済はこの流通する貨幣の量(マネーサプライといいます)と密接に関連しています。具体的には以下の通りですが,かなり単純化した説明なので注意してください。

流通する貨幣が多いとみんなたくさんお金を持てるため景気が良くなりますが,お金価値が下がるのでインフレになります

逆に少ないとあまりお金を持てないので景気が悪くなり、お金価値は上がるのでデフレになったります

マネーサプライ政府も含めてみんながどれだけ借金するかによって決まります。そしてその借金のしやすさは金利で決まるので,この前日銀が利上げしたなんてニュースを言ってましたが、あれは日本インフレ率がもともと目標だった2%を超える水準になっているために行なったものです。

さて、財務省不思議な力で法律改正し,消費税50%にしたとしましょう。この水準まで引き上げると消費税の歳入に占める割合が5倍になり、国債発行額分も賄え、かつ10兆円オーダーの国債の返済も行えます。喜ばしいですね。生活がどうなるかはいわなくても良いと思いますが,この場合だと日本流通しているお金が毎年10兆円オーダーで減っていきます日本マネーサプライは1600兆円程度ですから10年で6%も流通するお金が減ってしまます。これはようやく1−2%程度のインフレ傾向が根付き始めた国には耐えられるものではありません。その前に国民生活崩壊します。国債というのは今の日本においては、政府のためでなく、経済のために発行せざるを得ないものなのです。

ちなみに現在政府債務残高は1500兆円ですから日本マネーサプライはかなりの部分を日本国債依存しています。要はここでわかっていただきたいのは、来週あなたに振り込まれ給料の大部分は元をたどると誰かの買った国債に行きつくということです。

まり日本国債払えないから返せないのではなく、日本経済崩壊するから返せないのです。

なぜこういう状況になってしまったのか?失われた30年に起こったこ

1965年に初めて国債が2000億円(!?)発行されそれ以降は増加の一途を辿ってきました。

1990年代初頭までは25年で200兆円程度までの増加でしたが,失われた三十年にあたるこれまでの35年では1300兆円という異様なペースで増加を続けています

なぜこういう状況になってしまったのでしょうか?これに関しては財務省が答えてくれており、以下のページにあります

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2023/junkanreport11.pdf

要約すると、

民間企業部門投資抑制したため借り入れも減少したが当然イノベーションも起きなくなり,経済成長率も低下、製品価格も上がらない。当然民間収入も増えないし税収も増えないが社会保障費は増加するから政府として国債を発行せざるを得ない。よって日本マネーサプライ政府の発行する債務依存してしまった

ということです。

たかなり痛烈なことも書かれており,

債務削減により、債務存在による日本企業への経営規律付け効果が弱まると、経営者の保身によるリスク回避傾向の強まりから民間企業投資需要が弱くなるという仮説を導ける

とまで書かれています。要は、日本経済の悪くした主犯投資をしない企業部門であるということです。ただ、正直鶏が先か卵が先かみたいな問題でもあり、売れないのに企業投資できないのは当然で、企業のみを悪者にすることはできないとは考えています。それこそ政府としても有効な手立てを打てなかった面で責任はありますし,日本全体が呪縛的な景気冷却マインドに縛られていたことこそが起きた問題であり,だからこそ「失われた30年」なんだろうということです。

こんなこと書いたら叩かれそうですが、だからこそアベノミクスの3本目の矢というのは当時としては発想としてはとても良いものだったのだと思います。結果成功したのかは分かりませんが。加えて共産党内部留保課税というのも発想の基本はそこまでめちゃくちゃではないと思っています課税というのはよくないですが,結局投資不足が日本問題なので、留保した資本をどこかに投資させるための飴と鞭が必要というのは極めて重要な発想です。

まとめ

政府債務問題というのは、単純な政府の歳入歳出の問題なのではなく、

30年以上成長できなかった日本経済こそが問題の根であるということです。ですから政府債務の削減のみを盲目的に求めるのはやめて欲しいものです。

しか財務省のみを叩くのも違います。彼らは彼らの仕事をしており,究極的にいうとこの問題民間を含めた全ての経済主体に責任があることなのです。

ただ、政治としては今でも物価けが上がって生活が苦しい人というのは幾らでもいるのですから

そのような人がどうしたらもっと稼げるか、良い暮らしができるかという視点を持って政治家には政治をしてもらいたいと思います

Appendix

信用創造の部分を読めばわかると思いますが,政府債務残高の増加は家庭および企業金融資産を増やします。これを元手にまた家計国債を買えます。つまり債務限界資産の額に依存しません。ただ借金には金利があるので、これを元に貸し手が購入額を決めるため,自動的に国や民間の借り入れ上限が決定します。要は金利で借り入れの上限が決まるということです。

anond:20241222085528

2024-12-11

anond:20241204180835

これ高卒からからないのは単に勉強への怠慢だろうとエラソーに書いてしまったが、基本的信用創造理解ですら専門家見解が分かれてる経済学かい宗教的学問分からんのはよく考えると当然な気がしてきた。私は間違いなく円安の方がいいと思ってるし当然円安派の経済学者もいるが円高の方がいいんだ、とか言ってる経済学者もいるしな。

2024-09-20

「貯蓄から投資へ」って虚構だよねー

みんな、騙させてはダメ

貯蓄も投資である

これ、義務教育で習うことだけど、銀行貯金したお金信用創造によってその何倍ものお金企業に貸し付けられて投資に使われる。

企業視点では、資金をデット(負債)で調達するかエクイティ資本)で調達するかはどちらかに優位性があるのではなく、その時々によって適切なもの選択される。

なので、貯蓄→退蔵される、投資有効利用される、というイメージは間違い。資金提供する側がどういうリスクを負うかによる違い。

投資保険の逆

よく「投資だと年n%の複利で増えます」という適当シミュレーションがあるが、これが間違っているのは当然として、現実投資保険とは逆の動きをすると考えればよい。プットの売りが近いかも。

基本的不景気リセッション)が来れば株価は下がるので、みんなが困っていない時(好景気の時・順調な時)には儲かって、みんなが困っている時(不景気)には損をするのが投資だ。万一の困った時に助けてくれるのが保険とすれば、万が一の困った時にそれに輪をかけて損をするのが投資

例えば

という状況では、投資しや金融資産暴落している。

投資したお金は、万が一の時に使えるのではなくて、万が一の時には使えなくなるものと考えたほうがいい。

GPIFポートフォリオを真似してはいけない

別にGPIFポートフォリオが悪いというわけではない。あれはあれでよくできている。

違うのはGPIF運用期間が無限なのに対して、人の運用期間がせいぜい数十年であること。

使うためのお金なら流動性のある預金で持っておいたほうがいい。

投資できる余剰資金とは

余剰資金とは使うアテのないお金である。つまり死ぬまで使えないお金

90歳のおじいさんになっても証券口座の残高の上下一喜一憂して楽しむつもりであればいいかもね。

2024-07-29

数年前のスイス民間銀行による信用創造廃止案について今更少し考える

銀行は元手がなくても預金口座に記帳すれば貸付自体可能なわけだが、貸付可能額が預金量に完全に制限されるとなるとどのような問題が生じるだろうか?

例えば貸付が不良債権化した場合問題がより大きくなるし貸付もより慎重になるので国債のような超安全資産しか投資しないようになるかもしれない。既に貸し付けてる分も貸し剥がしに動く可能性も高い。

預金集めと預金流出を避けるために過激手段を取るインセンティブも発生する。

中央銀行のみが通貨量を増やせるとなると、結局中央銀行民間銀行に発行した通貨を貸し付けるか(無利子無期限の貸付で渡すことも可能国債等と交換するかして通貨供給することになるが、経済が停滞して困るのは政府中央銀行なので中央銀行通貨供給する代わりに民間銀行に貸付を増やすように要求するようになるだろうけど、強制性がなければ国債等を買うだろうし、民間に貸し付けても中央銀行から補助金民間横流しするだけになるのでなかろうか。縛りをキツくして民間銀行が潰れても困るので政府銀行を助けるインセンティブが働くがこれ自体モラルハザードになる。

リーマンショックのような問題を避けるための案だがこれ自体が信用収縮を引き起こす問題を発生させる案のように思える。

https://www.swissinfo.ch/jpn/%e7%9b%b4%e6%8e%a5%e6%b0%91%e4%b8%bb%e5%88%b6/%ef%bc%92%ef%bc%90%ef%bc%91%ef%bc%98%e5%b9%b4%ef%bc%96%e6%9c%88%ef%bc%91%ef%bc%90%e6%97%a5%e3%81%ae%e5%9b%bd%e6%b0%91%e6%8a%95%e7%a5%a8_%e6%96%b0%e9%80%9a%e8%b2%a8%e5%88%b6%e5%ba%a6%e3%82%bd%e3%83%96%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%9e%e3%83%8d%e3%83%bc%e5%90%a6%e6%b1%ba-%e6%96%b0%e8%b3%ad%e5%8d%9a%e6%b3%95%e3%81%af%e5%8f%af%e6%b1%ba-%e3%82%b9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%81%ae%e5%9b%bd%e6%b0%91%e6%8a%95%e7%a5%a8%e3%81%a7/44180938

2024-04-08

anond:20240408180934

デフレ貨幣現象という相関関係因果関係の取り違い、合理的経済人というファンタジー設定、人々の予想が思い通りになることを期待するという希望に基づく夢でしたね。

(まあ一応多少は効果あったっぽいが経済回復傾向自体リフレ政策以前から見て取れたので正直分からん

金融緩和しても民間銀行日銀当座預金現金が豚積みされるだけ、っていう金融界隈から出てた批判はわりと正しかったのだと今なら分かるわ。

内省貨幣供給論なんか当時は知らんかったし、万年筆マネーも知らんくて信用創造の仕組みを完全に誤認してたし、今なら国債発行したらMS自然と増えることを理解出来るが。

2024-03-13

anond:20240313172512

まず君の言ってる研究ってどの論文

ググっても債務残高と経済成長率の関係のものしか出てこないんやけど。

データに基づきとか言ってるが経済みたいな複雑系を扱う分野で因果関係推定するのってかなり難易度高そうやけどその研究はどうなんかな。

まああとエネルギー保存則が破られないように原理的にありえないことは演繹的に否定可能だよ、永久機関否定するのにデータを取る必要はない。

万年筆マネー信用創造説明に関しては金融機関では常識レベルのことという話がチラチラ記事に出てくるがまあそんなこと言っても仕方ないか

次の国会質疑のページの信用創造検索して安藤議員藤田参考人日本銀行企画局審議役)とのやり取り読めばいいんじゃない

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000220020191023002.htm

まああとイングランド銀行信用創造に関する説明のものとか。親切な翻訳してくれてる人がいたわ。

https://www.fukurou.win/https-www-fukurou-win-bank-of-england-quarterly-bulletin2014-money-creation-in-the-modern-economy1/

これで信用創造説明とそこから導出されるクラウディングアウト否定帰結を信用出来ないならこれ以上の説明は無理やわ。

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