はてなキーワード: 岡野とは
2025年8月16日 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 2日目
お風呂へ向かうため6時起床。入り口のオブジェ前ではしゃいで写真を撮る。若いスタッフの人が近くに立っててみやじのエブリバディポーズをするはしゃいだババアを見て虚無の目をしていた笑(被害妄想)今回は去年の反省を生かして始めて行く湯の花江別殿へ。入浴時間の長さと出発時間が決め手。添乗員さんも優しくて良かった。一般の方と一緒に入る感じだったので(開店と同時に入ったんだけど一般の方も普通に並んでで私達見てちょっと引いてた…すみません…)少し申し訳なさもありつつ今年は綺麗に汚れ落としてお湯に浸かる時間もあってのんびり出来て良かった。あと施設もある程度広くて綺麗だった。ただ来年から使用を断られるのでは…?と言う危機感もあり…。特に私達の使用の仕方が悪かったとかではないけど…特殊な感じの客層だからさ…。まぁそれは置いといて、昨日砂ぼこりすごかったしめちゃくちゃさっぱりした!お風呂は文明。帰ってからテントに荷物を置いてご飯を食べに行く。私が食べようと思っていた陽キャホットドッグ屋(去年食べようと思ってたけど店員さんが全員陽キャで近付き難く諦めた店)でホットドッグを食べる。店員の人は去年と変わらず全員陽キャだったが味は期待していた通り美味しかった。サンステ方面へ歩いてる時、サンステから曲が聴こえてきてリハかな?こんなに演奏して曲ネタバレじゃない?って話しててよく聴いたら「え、これ普通にマキさんが弾いてない?」ってなって微かにみやじの声が聴こえて普通に演奏してるんか!って驚いた。みやじもリハで一曲まるまるやるとかあるんだ。ISHIYAでソフトクリームを食べる。ライジングで食べるISHIYAのソフトクリーム毎年楽しみにしてるので今年も食べられて嬉しい!暑いのですごい速度で溶ける為めちゃくちゃ早食いになる笑 食べ終わってみやじソロを観る為サンステへ。
二日目観たアーティスト
宮本浩次→SPEEDA-X→ポルノグラフィティ→ELLEGARDEN→椎名林檎(途中から)→Suchmos→NOT WONK(ほぼ寝てた)
みやじソロの出演を聞いた時、これもしかしてマキさんがサンステで弾いてる所を観られるのでは…!?と密かに期待していたのだけど、前日SNS見てたらマキさんが札幌入りしているのが判明して開場内ではしゃいでしまった。嬉し〜!!って事で友達を付き合わせてスタンディングエリア前方の肉眼でもマキさんが見えそうな所まで入っていく。意外にも男性が多かった印象。明らか次のテンフィ待ちでは?みたいな人もいたけど…。朝の挨拶で久しぶりに若林さんを見たけど結構おじいちゃんになったね…。友達とみやじはエブリバディ!って言うのか論争(?)してたけどまさかの若林さんがみやじより先にエブリバディ!って言ってて笑った。メンバー出てきて、マキさんきた〜!!って思ってたら友達が「今キタダさんってあんな感じなんだね」って驚いてて確かに最近のマキさんってめちゃくちゃ痩せたしイケオジみたいな風貌だよなぁと思ったり。みやじが出てきて黒スーツだ!!スタイル良い!!ってテンション上がる。みやじソロって曲あまり知らないんだよな〜って話しててどんな曲やるかな?って話してたから一曲目が悲しみの果てでびっくりした…。エレカシの曲やるんだ…。まぁライジングと言うかフェスだからってのもあるかもだけど…。ちょっと意外だった。モニターにメンバーが映ってこばたけが居ることに気付いてめちゃくちゃ驚く。このステージの為にこばたけ連れてこれるみやじすごい…。と言うか、名越さんとトムさん居るし完璧布陣揃えてるの気合い入ってるなぁ。しかし一曲一曲、全身全霊全力で歌う姿がめちゃくちゃカッコイイ…。みやじって本当にカリスマ。みやじがそこに居て歌ってるだけでこんなに惹き込まれて目が離せない。ステージの隅から隅まで動きまわりながら歌うパワフルさ、本当に59歳なの…??凄すぎる。昇る太陽とハレルヤが個人的にめちゃくちゃ良かった!!俺たちの明日でステージを降りてスタンディングエリアをまわりだして驚く。マキさん見てたらみやじの様子見て満面の笑みを浮かべてて可愛い…。トムさんと顔見合わせてめちゃくちゃニコニコしてた。最前にいたおじさんがみやじが来た時に手作りのうちわ(アイドルとかに見せるファンサ用みたいなちゃんとしたやつ)見せててそれがモニターに抜かれてて笑った(歌が上手いって書いてあった笑)みやじが動くのに合わせて人が移動しまくってて面白かったけどスタッフさん大変だったろうな…笑 こんな事言うとあれだけどやっぱりエレカシの曲は知名度あるし盛り上がるよね…。ちょっと複雑な気持ちではあるけど…。ガストロンジャーでマキさんが見た事ないベース弾いてて興奮。よく見えなくてどんなベースなのか分からなかったのでもし詳しく見えてた人いたら教えて欲しい…!ガストロンジャー、いつ聴いてもカッコイイ曲だな…。胸をゴリラみたいに叩きながら歌ってたりお尻ペチペチしてるの、この仕草してカッコイイのはみやじだけだよねって友達と話してた。今回のみやじは「ライジングベイベー!」「エブリバディ!!」「ライジングベイベー!→可愛いね」「ライジングベイベー!→カッコイイね」「やるじゃねーかライジングベイベー!!」「エブリバディ!!!」とライジングベイベーとエブリバディ連発で笑った。みやじがメンバー紹介した時「多彩な音色とプレー、まるで音の魔術師!」ってマキさんが紹介されて嬉しい。メンバー紹介された時、人一倍どデカい声出しました笑 今回マキさんがサンステでベースを弾いてる所を見れたのはみやじが連れてきてくれたからなのでめちゃくちゃ感謝しています…ありがとうございます。最後、みやじとこばたけがハグ?してマキさんとも握手してたんだけど、みやじが前で皆で挨拶しようって感じでマキさんの手を握ったままマキさんを前に誘導してて手を引かれながら歩いてるマキさん可愛かった…!!マキさんはきちんとこばたけがみやじの横に来るように場所譲ってて流石だなと思いました。2日目の始まりを素敵なライブでスタート出来てとても楽しかった。
このままの流れでSPEEDER-Xへ向かう。
早目に向かって前の方で見ようって事でステージ前3列目?ぐらいの位置で座って待つ。椅子持ってきてて良かったと心底思った…。この時間が一番暑さがピークだったので待ち時間が結構キツい…。達也さんがリハで出てきてバチバチ叩いてるの観ながら座ってるの贅沢過ぎるな…と思いながら見てたら達也さんがスティック逆に持ってる事に気が付いた。SPEEDER-Xだけかな?プロボってステージ始まる前DJみたいなのやってていつも結構キツイ(バカデカい音なのと全然好みじゃない感じなので…)んだけど今回は割と年配っぽい方がやってて良い感じだったのはかなり救いだった。やっぱ自分の年齢的に若者のノリって全てにおいてもう合ってないんだと思う…。KenKenと達也さんが出てくる前に謎の男の人(多分プロボの人)がMCみたいのやってたんだけど「暑い暑い言ってるけど暑いのはお前らのせいなんじゃねーの?」みたいな謎のイキりっぽい感じの煽り?しててほわ〜って思ってたら隣に立ってた友達が真顔で「誰?」って聞いてきてめちゃくちゃツボに入ってKenKenとかが出てきてもずっと笑ってた…。確かに誰?って感じすぎたね…笑
しかしSPEEDER-Xはいつ聴いてもカッコイイと言うかテンション上がる!!KenKenと達也さんの阿吽の呼吸が織り成す音の洪水とKenKenの多彩なエフェクターの使い分けや弾き方、すごい。途中ギターみたいな音をベースで出しててカッコ良すぎる。2人ともめちゃくちゃ楽しそうだし、こっちも最高の演奏が聴けてHAPPY過ぎる空間。ライジングで観るSPEEDER-X大好き。「20年ぐらいやってる」って話しててKenKenが39歳になりました〜って言ってたから10代から達也さんと組んでやってるって事で…凄すぎる…。あっという間に終わってしまったけど濃い時間を過ごせた!!本当に毎年観たいよ…!!
朝お風呂に行ってから荷物もそのままなのでテントに帰って荷物整理。毎年寝袋を元の袋に入れるのにめちゃくちゃ苦労する…。何とか無理矢理押し込んでその他諸々を整理整頓。そんなこんなしてる間にポルノの時間が近付いてきたので友達とSuchmosで合流の約束をしてからテントで別れてサンステへ。ちょっと時間があったので女子大生(?)がやってるお店でおやつを購入してからステージの方へ向かうとスタンディングゾーンは既に満パン。すごいなぁ。と言うことで通路側から観る事に。スクリーンにポルノ側持ち込みの映像が流れて流石世間でも知名度あるバンドや〜と言うどうでも良い感想を持つ。一曲目、岡野さんが歌い出した瞬間思った、歌上手ー!!!喉からCD音源過ぎる!!上手いだろうなぁとは想像してたけど想像を軽く超える上手さ…!!演奏もバチバチだしめちゃくちゃ良い!!ミーハー精神で観に来たけど来て良かった…!と一曲目から確信。今宵、月が見えずともめちゃくちゃカッコ良かった…!!The dayのロックっぽい感じの歌い方も良い。ロングトーンをバチバチにかましてめちゃくちゃ沸いていた。声もブレないしすごい…。本当に50歳…??「10-FEETとELLEGARDENに挟まれて大丈夫かな?と不安ですが、わしらなりにぶちかまして行きたいと思います!」って言ってて笑った。あとずっと(ライジングに)出たいと熱望してました!的な事を言っていたが本当か〜!?と疑ってしまう捻くれた自分…笑 広島出身って事もあるのかな?原爆投下から3日間で電車が走った話から発想を得て?作った曲、言伝を歌ってくれたんだけどすごく良い曲でじーんとしてしまった。こう言う場でそう言う話を出すのを嫌がる人もいるけど、私は真摯な姿勢とポルノみたいな大きなバンドがちゃんとそう言う事を伝えられるの素晴らしいなと思った。例のkjの時は本当イラついたけど笑 こう言う伝え方なら素直に受け止められるのよ、本当伝え方一つで全然違うんだよなぁ〜!!ここからヒットソング連発でサウダージでは「わしらのライブではモッシュやダイブはないけど手拍子で盛り上がりたい!」って感じで全員を巻きこんで手拍子したり、アゲハ蝶では皆で歌ったり、ハネウマライダーでは岡野さんが「そこのちびっ子!そうだ!君だ!」と指名ファンサをステージ両側でやってて面白かった笑 タオル回しやって!って言われたけど、昨日のリップでのタオル回しがキツすぎたので自重…笑 後ろで見てた若者がハネウマライダー始まった時は「知らない曲だ〜」ってちょっとテンション下がってたのにサビに来たら「これ知ってる!!」ってテンション爆上げになってたの可愛かった。知名度あるってすごいなぁ〜。もっと有名な曲沢山あるし、それやってよって気持ちの人の意見もすごい分かるけど私は丁度良いバランスだな〜と思ったしとっても楽しかった!!観に来て本当に良かったなぁとホクホクした気持ちになりました。
エルレまでテントに帰る程の時間も体力もあまりなかったので、タワレコブース付近の藁の所で椅子に座って休憩…と思ったらめちゃくちゃ眠くなってきて爆音の打首獄門同好会の演奏を子守唄に仮眠。本当に眠くてもうエルレいいかな…って気になったけど、この機会逃したらエルレ観れるチャンス中々ないぞ!(ワンマンはチケット取れないしエルレが出るような対バンやフェスにはほぼ行かないので…)と言い聞かせて重い腰を上げてサンステ方面へ。スタンディングエリアも空いてたけど入るのちょっと怖かった(結果的には入ってても良かったと思う)のでシートエリアの柵前で観る事にして待機。
久しぶりにエルレを観れるの楽しみにしてたんだけど立ち位置の関係なのかな?音が微妙に小さい気が…と言うかエルレ観る度に思うんだけど、正直演奏はめちゃくちゃ上手いって感じじゃないんだよなぁ…と言うのを思い出す…笑 あと細美さん声結構キツそうだったな。今あれが通常なのかは分からないけど…。年齢的にも発声の仕方的にも仕方ない部分はあると思うしそれでも工夫して歌ってる感じは伝わってきたのと全然出てないって訳でもないから何ともだが…特に復帰前の曲は結構キツイのかな〜と感じた。今回のセットリストは割と新し目の曲も多くて嬉しい。ワンマン外れまくって新しいアルバムの曲を生で聴くチャンスがなかったからこう言う機会に聴けて良かった。99.8%のファンには関係ない話だけど腰?を痛めて仕上がってないから今日は脱げない、0.2%の期待してるファンには悪いけど…お詫びに新曲やりますって言う謎の笑MC(しかも結局その後腰に巻いてたコルセットをこんなの邪魔だ!って外して普通に脱いでた笑)から新曲のカーマイン。この曲、ワンピースのタイアップ?って事で割と賛否両論あった感じだけど、純粋に良い曲だと思うし、そう言うのは置いといて曲が良ければそれで良いじゃんと思えるのはババアになったからなのかな。魂売ったみたいな…流石に考え古くない笑??本当に良い曲だから生で聴けて嬉しかった。昨日EZOIST終わりに歩いてた時、後ろにいた人が「Missing聴きたいけど絶対やらないからな〜」って話してたからMissing始まった瞬間「良かったね!!」と思った笑 Missing聴くと何故だかめちゃくちゃ懐かしい気持ちになる。曲に青春感がすごい、あとライブでよく聴いてたからかも。「今日は珍しく奥さんが一緒に来てくれた。この景色を奥さんに見せられて良かった。奥さんとの思い出の曲やります」みたいなMCからstrawberry Margarita。私は細美さんが作る恋愛系の曲が苦手なのでエルレのライブ前にその話を友達にしてて、その曲やったよ!こんなMCだった!みたい話をしたら「〇〇さんが嫌いな曲じゃん!」って言われたから「しっ!!」って大声で制す笑 めちゃくちゃ(MCで)惚気るじゃんって言われたからそれが細美さんだよ、熱い男だから(?)と言う謎の返しをする笑 そう言う事を照れもなく話すのが細美さんって感じで私は好きだよ。Make A Wish前に「何だよって思う奴らもいると思うけど今日はリフとなしでいかねぇ?俺たち目当てじゃない前の方にいる、林檎ちゃん待ってる人もいるじゃん?最悪の思い出になって欲しくないから。その代わり歌って、歌詞分かんない人はハミングでも良いから」的な事を細美さんが言ってて皆優しい〜みたいな事言ってたけど、個人的にここまでめちゃくちゃダイバーとか出まくっててトラウマになる人はもう既になっているのでは??と思ったけどそう言う事じゃないんかな??まぁとりあえず私はこの曲を全力で歌いました笑 細美さんが「前に出たのが6年前でもう(ライジングに出るのは)最後かもしれない、今が52だから6年後は58歳だからさ(周りザワつく。分かる、ビビるよね)」みたいな、最近細美さんは「終わり」を意識した事をMCで言うようになってきて気持ちは分かるけど…まだまだいけるよ。と言うかずっとバンド続けて欲しいよ。ウブさんは「2003年に始めて出て、そこから歳はとったかもしれないけどまだまだ現役で頑張る」みたいな事を言ってくれててきっと不安になってるファンを安心させようとしてるんだろうなぁとエルレと言うバンドのバランスを見た気がした。細美さんは「お前らの楽しそうな顔を見るのが一番楽しい」的な事を言ってて変わらないなと思った。あと高橋さんはすぐに泣き過ぎです笑 休止してる間に一番変わったのってプレイも性格も絶対高橋さんだと思う笑 高橋さんがGAVLのTシャツ着てて好感度UP笑 あとゆ〜いち君のベースソロがあったんだけど何かよくわかんなかった笑 何やかんや言ってるけど私も6年ぶりにライジングでエルレを見れて嬉しかった!
入りきらなかったのでその2へ続く
の署名が盛り上がっている。
署名数は10万に届こうとしており、高裁判決への草の根の声が可視化されている。
が、少し引いた視点で見てみると、本件は全く別の意義を含んでいるようにも感じる。
Xなどを眺めている限り、法曹関係者でこの署名に賛同している人をほぼ見かけない。
どうか、飯島健太郎裁判長を含めた大阪高等裁判所の裁判官の判断に対して「NO」を突きつける為のご協力を頂きたいです。
年内には、署名リストを印刷し、これだけの同意があったことを示すべく、「大阪家庭裁判所事務局」及び「裁判官訴追委員会」への提出を試みます。
裁判官訴追委員会は国会議員で組織されるため、これを利用したい政治家が現れれば世論を盾にいとも簡単に裁判所に介入することが可能になる。
司法の独立が侵されるということは、三権分立の崩壊であり、ひいてはみんなの大好きな立憲主義の機能不全に繋がる。
とはいえ、岡野タケシ氏がXに投下したハメ撮りの音声書き起こしとされるものを見る限り、被告への心証は極めて悪く、これを擁護すると袋叩きにあう空気も確実にある。
それでもなお、日本の法曹関係者のみならず、リベラル右派問わず知識人たちは揃って本署名の問題点を指摘し、署名への反対を表明している。
津田大介氏ですら反対しているし、太田啓子氏のようなフェミニスト弁護士でさえも、判決には強い批判をしているとはいえ署名には全く触れていない。
このポピュリズム的な『空気』に対して法曹界や知識人たちが政治的立場を超えて抗う姿が可視化されたこと、これは日本社会の成熟を示すものとして、私は感慨をもって受け止めたいと思う。
読書メモの整理のために便乗。今年の読書は文芸、短歌、仕事の専門書(ソフトウェア開発)が中心だった。
6冊を良かった順で挙げる。
本書の長所は最初期短編から晩年の短編までを収録しており年代による作風の変遷をたどれること。
ダントツに良いのは「雨の木」の連作。ストーリーは「雨の木」というシンボルや高安カッチャンという重要人物の周縁をぐるぐるし続け、いつまでも核心に踏み込まないため、最初は要旨をつかめない。しかし読み進めるにつれその構成が多角的な視座を提供するための仕掛けだとわかる。短編であるにもかかわらず印象が何度も覆され、様々な味わいがある。
小説は物語の意図が最初は分からないくらいが丁度いい、というようなことを三島由紀夫が何かに書いていたが、全くその通りである。構成や内容が三島由紀夫「豊饒の海」と少し似ている。豊饒の海は松枝清顕(早逝した親友)の生まれ変わり(と推測される人物たち)を数十年追い続ける物語で、ラストシーンでは清顕の存在自体が薄らぎ核心にぽっかり穴があく構成なのだが、大江健三郎「雨の木」もシンボルの雨の木の周縁をさんざんなぞった結末として木自体がほぼ焼失してしまう。「豊饒の海」は仏教的死生観や死者に対する忘却が根底に据えられているのと同じく、「雨の木」も死生観や忘却(作中ではoblivionと表現される)が重要なテーマである。テーマに対するアンサーは正反対だが。なお先に書かれたのは「豊饒の海」。
物語の道具立てとして海外の大学におけるシンポジウムや海外作家の引用、原爆問題があり、衒学的な雰囲気を作っている点もわたしの好み。
「奇妙な仕事」などの最初期短編はさすがに時代を感じる。「セヴンティーン」は発表当時右翼団体からの脅迫を受けるなどかなり真剣に世の中に受け止められたようだが、令和の目線ではカリカチュアライズが激しく、大江健三郎が絶対ゲラゲラ笑いながら描いただろうというノリの良さが全編にみなぎっている。また当時は右翼に対する攻撃という見方が大勢だったようだが、左翼側の非論理性も指摘する内容のため、私の感覚では左翼小説と思わない。
最後の「火をめぐらす鳥」は大江健三郎流の引用の繰り返しや観念の世界に入り込む構成といったスタイルを貫きつつも、おそらく意図的に情報量を落としており、ゆとりと円熟を感じさせる。
乳幼児の育児の心構えを説く名著。以下は印象に残ったポイント。
今年は家事育児ワンオペ + フルタイム勤務に忙殺され、子供への対応が雑になっていることを自覚しつつも改善策を見出せない期間が年末近くまで続き苦しかったが、本書の心構えを持っておくことで自信をもって育児ができるようになった。
夏目漱石が1914年に学習院で行った講演録。青空文庫で読んだ。https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/772_33100.html
ごく短く、読むのに30分もかからないが、内容はキャリア論、社会思想、フェミニズムにまでわたる。
キャリア論の概略は以下の通り。
どこかに突き抜けたくても突き抜けられず、何かを掴みたくも掴めておらず悩んでいる者は、どこに進めばよいか分からない以上、何かにぶつかるまで進む他ない。自らの個性で行けるところまで行ってツルハシで何かを掘り当てれば、自分なりに道を作ってきたことに安心と自信が生まれる。反対に、行けるところまで行かないかぎり、悩みと不愉快が一生ついて回る。
昨今は会社員に主体的なキャリア開発が求められる一方で、異動を会社の都合で命じられたり、顧客への責任を第一に優先すべきという考えもあり、主体性を発揮してばかりいられないという板挟みを感じていた。しかし「私の個人主義」を読みとりあえず行けるところまで行くしかないと開き直ることができた。
社会思想については、自らの個性を尊重すると同時に他者も尊重しなければならないとか、裕福な人間は相応の責任を負うべきだ、など。
いわゆる秀歌、つまり散文と異なる詩的な文体で、細部の描写を通じ、多層的な意味を表現する、という歌ではないものが多いが、わたしは好き。岡野大嗣の中ではいまのところこれがベストの歌集。
ライブの楽しさが伝わる。ドラマーがボーカルのトークに関心を持ってきちんと聞いておりハイハットで反応してあげるという仲の良さがほほえましい。
どの店もゆかいな高低差の街でみるみる減っていく体力だ
高低差、という単語を発見したのがこの歌の成果だと思う。坂が多くておしゃれな店ばかりの街で、ついつい歩きすぎて疲れてしまったことの充実感が歌われている。
オセロ相手との関係性を想像させる表現が巧み。"広いソファー"もゆとりある生活を感じさせ心地よい。
漫画。
冬目景は遅筆だが近年は順調に出してくれていることに、まず安心する。
冬目景は恋愛モノが多く、登場人物たちがうじうじ悩みながら自分の意志で一歩を踏み出していく様子を丹念に描いていることが、本作に限らない多くの作品の特徴。本作も登場人物がおっかなびっくり、逡巡しながら実に遅々たるペースで接近してゆく。時には後退することもある。しかし自分の意志で進むからこそ人間味があり、納得感がある。
またこれも冬目景作品に共通の特徴だが、登場人物は基本的に善人ばかりであるものの皆わりと淡白でコミュニケーションが暑苦しくないところに品の良さがある。
中国SF短編集。「中国太陽」が最良。「良いSFは未来技術ではなく技術がもたらす新たな社会を描く」ということをアシモフか小松左京か高千穂遥あたりの誰かが言っていたが、その好例。SFなのに人生の苦労と発展にフォーカスしておりすごくウェット。
『三体』はまだ読んでいないが読むべきかな。
なのよ。
https://anond.hatelabo.jp/20241018154926
今の横浜駅の場所も関内駅の場所も水の底。M字ハゲだった頃の舛添要一みたいな地形で、野毛山や戸部の辺りが半島で突き出していて、その隣に二つの湾が剃り込みが入ったみたいにあったのだ。
みなとみらいや高島の辺りは近年の埋め立てで高くなっているが無視して欲しい。
というか、東京湾内の神奈川県は多摩川河口の三角州以外ほぼ全域が、崖がストンと海に落ちる地形だった。これはリアス海岸のような沈降海岸の特徴でもある。
さて、そんな中に山下公園に接した、地下鉄の元町中華街駅~日本大通り駅がある一帯が棒状に少し高くなっていて水に沈んで居ない事に気が付くだろう。更にその根元は外人墓地がある山手の丘の方から生えるようになっている。
これは砂州なんである。南の方から沿岸流が漂砂を持ってきて、湾状になっているので山手の崖海岸を延長するように砂州が伸びて来ていた。天橋立とかサロマ湖と同じだ。
この横浜砂州があるのでその内側はラグーンになっていて貝とかが獲れる。また周囲は崖海岸ばかりで船を係留するのに便利なのは横浜砂州しかない。
さてこの湾はラグーンで全域水深が浅いし、横浜が入口を塞いでいる。この横浜って締切堤防に最適じゃね?
って事で江戸幕府は江戸の商人の吉田さんにここの干拓事業の承認を出す。横浜を延長してガッツリ閉鎖、土砂で埋め立てた。この辺はタウンニュースが書いてるので興味のある人はタウンニュースへ。
https://www.townnews.co.jp/0113/2017/01/01/363616.html
リンク先大まかな地図もあって、「横浜」も見える。横浜の先端付近が馬車道駅の辺りだ。
ペリーの黒船がやってきて幕府に門戸開放を迫ったわけだ。幕府はイヤだったが大砲とデカい動力軍艦で脅かされては何も言えない。
そこで江戸に近すぎると困るので距離が随分と離れて交通も不便だが不便すぎないという場所を探していた。そこで白羽の矢が立ったのが横浜ってわけ。
今の大桟橋の途中にある「象の鼻」はこの幕府が作った横浜港の防波堤だったものだ。
横浜の名の由縁はこれで終わりだが、横浜駅と横浜村が大きくずれてる説明が必要だ。だからもうちょい書く。
幕府は倒れ明治政府は汐留と横浜の間に鉄道を敷くことになった。
さてここで問題になるのが、野毛山を挟んでもう一方の剃り込みだ。
話は前後するが、高島町駅から浅間神社を結ぶ、県道13号より南側は幕末にすでに干拓されていた。
https://maps.app.goo.gl/nuiDnwfHNRUhaT2cA
平沼さんが3代に亘って工事をやった平沼新田、岡野さんが2代でやった岡野新田などがあり地名として残っている。
すると陸地を通ると神奈川宿(京急神奈川駅付近)→浅間神社→高島町という迂回ルートになってしまう。
そこで、神奈川宿から高島町に掛けて海の中に土手を通してそこに線路を敷くという思い切ったコースにした。
こうして嘗ての寒村だった横浜村には鉄道が来て倉庫街や歓楽街、官庁街、商社街や異人街が出来て異人さんが闊歩するハイカラな街となったのでありました。
さて官製鉄道は神戸まで延長される事になったのだが、ここで厄介なのは横浜駅(現桜木町)の存在だ。横浜駅から延長すると遠回りになるし港南区の丘陵地帯を突っ切る必要が出てトンネル必須になってしまう。
だから本線は神奈川駅から保土谷に直行して、横浜駅は盲腸線扱いにした。でも大事な駅なので通過はできず、一度横浜に行ってから機関車を付け替えて神奈川に戻り、再度機関車付け替えで神戸へ、という運転をしていた。
クソめんどくせえ。
客もめんどくさいが貨物は更に、で運転系統がややこしいので横浜駅に貨物が溜まりまくってしまい、神戸から送った荷物や郵便の汐留着が1ヶ月以上先、とかがザラになってしまった。
これに陸軍はぶちギレ。鉄道省に文句を言ったが改善しない。しかも当時の役人は元武家ばかりなのでメンツに拘り軍といえども罵倒なんてしたらエライことになる。
なので陸軍の持ち出しで保土谷→高島→横浜という線路を敷いて軍の貨物は優先で動かせるようにした。
鉄道省も横浜駅の扱いの厄介さと滞貨には頭が痛かったので、盲腸線方式を辞める事にした。最初の線路の東側に線路を新設し、陸軍が敷いた線路に繋げる。で、その繋げた辺りに横浜駅を移転、元の横浜駅は桜木町と改称した。
しかし見れば判るが港にも繁華街、ビジネス街からも遠くて不便で、かなりの不評だった。
そこで三度目の正直で、どうせ不便なら分岐点の方がいいだろという事で、今の場所に横浜駅を移転したのだった。2代目の駅は基礎だけが残っていて、マンションの公開空地として公開されている。
https://maps.app.goo.gl/ZCBUxiAJ9RwfSxvw5
3代目駅はもう最近まで海の上だったところで、全く何もないとんでもない場所で今で言う秘境駅だったが、今までと違うのは、帝都の震災復興と開発計画が付随していた事だ。
市電が来て新しく開通する東横線、京浜急行と東海道線が立体交差する様に建設されていた。ただ、駅の西側に残っていた水面の埋立地は戦後米軍に摂取されてしまった。
しかし高度経済成長期に摂取解除されると商業ビルが一気に立ち並び、それで横浜=現横浜駅付近と認識されるようになったのであった。
因みに駅西側に残った水面は平沼と呼ばれていた。平沼という地名が近くにあるので誤認されたものだ。元は平沼さん埋め立てしたところが平沼なので間違いなのだが、国が発行する地図にも平沼と書かれていた。
と、こういう経緯。
横向きの砂州の横浜→埋立てで砂州は消滅→横浜開港→鉄道→横浜駅の場所が邪魔→素寒貧な海辺に移転→駅前が米軍接収解除で繁栄→今はそこが横浜という流れ。
https://anond.hatelabo.jp/20241001221236
八
このあいだの晩九時ごろになって、与次郎が雨のなかを突然やって来て、あたまから大いに弱ったと言う。見ると、いつになく顔の色が悪い。はじめは秋雨にぬれた冷たい空気に吹かれすぎたからのことと思っていたが、座について見ると、悪いのは顔色ばかりではない。珍しく消沈している。三四郎が「ぐあいでもよくないのか」と尋ねると、与次郎は鹿のような目を二度ほどぱちつかせて、こう答えた。
「じつは金をなくしてね。困っちまった」
そこで、ちょっと心配そうな顔をして、煙草の煙を二、三本鼻から吐いた。三四郎は黙って待っているわけにもゆかない。どういう種類の金を、どこでなくなしたのかとだんだん聞いてみると、すぐわかった。与次郎は煙草の煙の、二、三本鼻から出切るあいだだけ控えていたばかりで、そのあとは、一部始終をわけもなくすらすらと話してしまった。
与次郎のなくした金は、額で二十円、ただし人のものである。去年広田先生がこのまえの家を借りる時分に、三か月の敷金に窮して、足りないところを一時野々宮さんから用達ってもらったことがある。しかるにその金は野々宮さんが、妹にバイオリンを買ってやらなくてはならないとかで、わざわざ国元の親父さんから送らせたものだそうだ。それだからきょうがきょう必要というほどでない代りに、延びれば延びるほどよし子が困る。よし子は現に今でもバイオリンを買わずに済ましている。広田先生が返さないからである。先生だって返せればとうに返すんだろうが、月々余裕が一文も出ないうえに、月給以外にけっしてかせがない男だから、ついそれなりにしてあった。ところがこの夏高等学校の受験生の答案調べを引き受けた時の手当が六十円このごろになってようやく受け取れた。それでようやく義理を済ますことになって、与次郎がその使いを言いつかった。
「その金をなくなしたんだからすまない」と与次郎が言っている。じっさいすまないような顔つきでもある。どこへ落としたんだと聞くと、なに落としたんじゃない。馬券を何枚とか買って、みんななくなしてしまったのだと言う。三四郎もこれにはあきれ返った。あまり無分別の度を通り越しているので意見をする気にもならない。そのうえ本人が悄然としている。これをいつもの活発溌地と比べると与次郎なるものが二人いるとしか思われない。その対照が激しすぎる。だからおかしいのと気の毒なのとがいっしょになって三四郎を襲ってきた。三四郎は笑いだした。すると与次郎も笑いだした。
「まあいいや、どうかなるだろう」と言う。
「先生はまだ知らないのか」と聞くと、
「まだ知らない」
「野々宮さんは」
「むろん、まだ知らない」
「金はいつ受け取ったのか」
「金はこの月始まりだから、きょうでちょうど二週間ほどになる」
「馬券を買ったのは」
「受け取ったあくる日だ」
「それからきょうまでそのままにしておいたのか」
「いろいろ奔走したができないんだからしかたがない。やむをえなければ今月末までこのままにしておこう」
「今月末になればできる見込みでもあるのか」
三四郎は立って、机の引出しをあけた。きのう母から来たばかりの手紙の中をのぞいて、
「金はここにある。今月は国から早く送ってきた」と言った。与次郎は、
「ありがたい。親愛なる小川君」と急に元気のいい声で落語家のようなことを言った。
二人は十時すぎ雨を冒して、追分の通りへ出て、角の蕎麦屋へはいった。三四郎が蕎麦屋で酒を飲むことを覚えたのはこの時である。その晩は二人とも愉快に飲んだ。勘定は与次郎が払った。与次郎はなかなか人に払わせない男である。
それからきょうにいたるまで与次郎は金を返さない。三四郎は正直だから下宿屋の払いを気にしている。催促はしないけれども、どうかしてくれればいいがと思って、日を過ごすうちに晦日近くなった。もう一日二日しか余っていない。間違ったら下宿の勘定を延ばしておこうなどという考えはまだ三四郎の頭にのぼらない。必ず与次郎が持って来てくれる――とまではむろん彼を信用していないのだが、まあどうかくめんしてみようくらいの親切気はあるだろうと考えている。広田先生の評によると与次郎の頭は浅瀬の水のようにしじゅう移っているのだそうだが、むやみに移るばかりで責任を忘れるようでは困る。まさかそれほどの事もあるまい。
三四郎は二階の窓から往来をながめていた。すると向こうから与次郎が足早にやって来た。窓の下まで来てあおむいて、三四郎の顔を見上げて、「おい、おるか」と言う。三四郎は上から、与次郎を見下して、「うん、おる」と言う。このばかみたような挨拶が上下で一句交換されると、三四郎は部屋の中へ首を引っ込める。与次郎は梯子段をとんとん上がってきた。
「待っていやしないか。君のことだから下宿の勘定を心配しているだろうと思って、だいぶ奔走した。ばかげている」
「そうかな、それは間違いだろう。もう一文も取るのはない」
「なに、前借りをしようと言ったのだ。ところがなかなか貸さない。ぼくに貸すと返さないと思っている。けしからん。わずか二十円ばかりの金だのに。いくら偉大なる暗闇を書いてやっても信用しない。つまらない。いやになっちまった」
「じゃ金はできないのか」
「いやほかでこしらえたよ。君が困るだろうと思って」
「そうか。それは気の毒だ」
「ところが困った事ができた。金はここにはない。君が取りにいかなくっちゃ」
「どこへ」
「じつは文芸時評がいけないから、原口だのなんだの二、三軒歩いたが、どこも月末でつごうがつかない。それから最後に里見の所へ行って――里見というのは知らないかね。里見恭助。法学士だ。美禰子さんのにいさんだ。あすこへ行ったところが、今度は留守でやっぱり要領を得ない。そのうち腹が減って歩くのがめんどうになったから、とうとう美禰子さんに会って話をした」
「野々宮さんの妹がいやしないか」
「なに昼少し過ぎだから学校に行ってる時分だ。それに応接間だからいたってかまやしない」
「そうか」
「それで美禰子さんが、引き受けてくれて、御用立て申しますと言うんだがね」
「そりゃ、どうだか知らない。しかしとにかく大丈夫だよ。引き受けたんだから。ありゃ妙な女で、年のいかないくせにねえさんじみた事をするのが好きな性質なんだから、引き受けさえすれば、安心だ。心配しないでもいい。よろしく願っておけばかまわない。ところがいちばんしまいになって、お金はここにありますが、あなたには渡せませんと言うんだから、驚いたね。ぼくはそんなに不信用なんですかと聞くと、ええと言って笑っている。いやになっちまった。じゃ小川をよこしますかなとまた聞いたら、え、小川さんにお手渡しいたしましょうと言われた。どうでもかってにするがいい。君取りにいけるかい」
「電報はよそう。ばかげている。いくら君だって借りにいけるだろう」
「いける」
これでようやく二十円のらちがあいた。それが済むと、与次郎はすぐ広田先生に関する事件の報告を始めた。
運動は着々歩を進めつつある。暇さえあれば下宿へ出かけていって、一人一人に相談する。相談は一人一人にかぎる。おおぜい寄ると、めいめいが自分の存在を主張しようとして、ややともすれば異をたてる。それでなければ、自分の存在を閑却された心持ちになって、初手から冷淡にかまえる。相談はどうしても一人一人にかぎる。その代り暇はいる。金もいる。それを苦にしていては運動はできない。それから相談中には広田先生の名前をあまり出さないことにする。我々のための相談でなくって、広田先生のための相談だと思われると、事がまとまらなくなる。
与次郎はこの方法で運動の歩を進めているのだそうだ。それできょうまでのところはうまくいった。西洋人ばかりではいけないから、ぜひとも日本人を入れてもらおうというところまで話はきた。これから先はもう一ぺん寄って、委員を選んで、学長なり、総長なりに、我々の希望を述べにやるばかりである。もっとも会合だけはほんの形式だから略してもいい。委員になるべき学生もだいたいは知れている。みんな広田先生に同情を持っている連中だから、談判の模様によっては、こっちから先生の名を当局者へ持ち出すかもしれない。……
聞いていると、与次郎一人で天下が自由になるように思われる。三四郎は少なからず与次郎の手腕に感服した。与次郎はまたこのあいだの晩、原口さんを先生の所へ連れてきた事について、弁じだした。
「あの晩、原口さんが、先生に文芸家の会をやるから出ろと、勧めていたろう」と言う。三四郎はむろん覚えている。与次郎の話によると、じつはあれも自身の発起にかかるものだそうだ。その理由はいろいろあるが、まず第一に手近なところを言えば、あの会員のうちには、大学の文科で有力な教授がいる。その男と広田先生を接触させるのは、このさい先生にとって、たいへんな便利である。先生は変人だから、求めてだれとも交際しない。しかしこっちで相当の機会を作って、接触させれば、変人なりに付合ってゆく。……
「そういう意味があるのか、ちっとも知らなかった。それで君が発起人だというんだが、会をやる時、君の名前で通知を出して、そういう偉い人たちがみんな寄って来るのかな」
与次郎は、しばらくまじめに、三四郎を見ていたが、やがて苦笑いをしてわきを向いた。
「ばかいっちゃいけない。発起人って、おもてむきの発起人じゃない。ただぼくがそういう会を企てたのだ。つまりぼくが原口さんを勧めて、万事原口さんが周旋するようにこしらえたのだ」
「そうか」
「そうかは田臭だね。時に君もあの会へ出るがいい。もう近いうちにあるはずだから」
「そんな偉い人ばかり出る所へ行ったってしかたがない。ぼくはよそう」
「また田臭を放った。偉い人も偉くない人も社会へ頭を出した順序が違うだけだ。なにあんな連中、博士とか学士とかいったって、会って話してみるとなんでもないものだよ。第一向こうがそう偉いともなんとも思ってやしない。ぜひ出ておくがいい。君の将来のためだから」
「どこであるのか」
「たぶん上野の精養軒になるだろう」
「ぼくはあんな所へ、はいったことがない。高い会費を取るんだろう」
「まあ二円ぐらいだろう。なに会費なんか、心配しなくってもいい。なければぼくがだしておくから」
三四郎はたちまち、さきの二十円の件を思い出した。けれども不思議におかしくならなかった。与次郎はそのうち銀座のどことかへ天麩羅を食いに行こうと言いだした。金はあると言う。不思議な男である。言いなり次第になる三四郎もこれは断った。その代りいっしょに散歩に出た。帰りに岡野へ寄って、与次郎は栗饅頭をたくさん買った。これを先生にみやげに持ってゆくんだと言って、袋をかかえて帰っていった。
三四郎はその晩与次郎の性格を考えた。長く東京にいるとあんなになるものかと思った。それから里見へ金を借りに行くことを考えた。美禰子の所へ行く用事ができたのはうれしいような気がする。しかし頭を下げて金を借りるのはありがたくない。三四郎は生まれてから今日にいたるまで、人に金を借りた経験のない男である。その上貸すという当人が娘である。独立した人間ではない。たとい金が自由になるとしても、兄の許諾を得ない内証の金を借りたとなると、借りる自分はとにかく、あとで、貸した人の迷惑になるかもしれない。あるいはあの女のことだから、迷惑にならないようにはじめからできているかとも思える。なにしろ会ってみよう。会ったうえで、借りるのがおもしろくない様子だったら、断わって、しばらく下宿の払いを延ばしておいて、国から取り寄せれば事は済む。――当用はここまで考えて句切りをつけた。あとは散漫に美禰子の事が頭に浮かんで来る。美禰子の顔や手や、襟や、帯や、着物やらを、想像にまかせて、乗けたり除ったりしていた。ことにあした会う時に、どんな態度で、どんな事を言うだろうとその光景が十通りにも二十通りにもなって、いろいろに出て来る。三四郎は本来からこんな男である。用談があって人と会見の約束などをする時には、先方がどう出るだろうということばかり想像する。自分が、こんな顔をして、こんな事を、こんな声で言ってやろうなどとはけっして考えない。しかも会見が済むと後からきっとそのほうを考える。そうして後悔する。
ことに今夜は自分のほうを想像する余地がない。三四郎はこのあいだから美禰子を疑っている。しかし疑うばかりでいっこうらちがあかない。そうかといって面と向かって、聞きただすべき事件は一つもないのだから、一刀両断の解決などは思いもよらぬことである。もし三四郎の安心のために解決が必要なら、それはただ美禰子に接触する機会を利用して、先方の様子から、いいかげんに最後の判決を自分に与えてしまうだけである。あしたの会見はこの判決に欠くべからざる材料である。だから、いろいろに向こうを想像してみる。しかし、どう想像しても、自分につごうのいい光景ばかり出てくる。それでいて、実際ははなはだ疑わしい。ちょうどきたない所をきれいな写真にとってながめているような気がする。写真は写真としてどこまでも本当に違いないが、実物のきたないことも争われないと一般で、同じでなければならぬはずの二つがけっして一致しない。
いつも混んでてゆっくりできないんだが
調度よいところない?
タリーズとかスタバじゃなくて、席同士の間に余裕があったり店の雰囲気がファストフード的じゃなかったりで、落ち着けるところを探しているってことだよね。
ttps://maps.app.goo.gl/S8ZC1qmKLC8fbCR8A
UNI COFFEE はジョイナスにもあるけど、こっちは五番街のドンキの通りを抜けた岡野の交差点の方。
寒くない季節ならテイクアウトしてすぐ裏の岡野公園で過ごすのもおすすめ。
PERCH
ttps://maps.app.goo.gl/bo7DwPYg5CXHcnjW9
僕はよく前述の UNI COFFEE を覗いてみて、無理だったらその足でこっちに流れるという道順を辿っている。
roku cafe
ttps://maps.app.goo.gl/LEfgXkou6Yq9zziz9
横浜駅から徒歩7分 / 11:30~21:00(土日 ~22:00)
駅から少し離れていて穴場的だけど、それでもランチタイムはめっちゃ混んでる。
北幸エリアで時間を潰すときはここを狙って行って、満席だったらイアスのそばの上島珈琲を覗いて、そこも無理だったらルノアールに流れる。
GRASSROOTS
ttps://maps.app.goo.gl/zuywSDDD4rdFAXC89
鶴屋町で夕方以降だったらここが一番いい。ダイニングバーだけどカフェ利用でも歓迎してくれる。
喫煙可だけど、天井が広いので非喫煙者でも気にならない。地下だからキャリアによっては電波が入りづらいけど、スタッフに言えばWiFiを教えてもらえる。
えんどう豆
ttps://maps.app.goo.gl/iyhfnrRcuzAD99C19
横浜駅から徒歩5分 / 8:00~19:00(月 13:00~、日 〜18:00)
鶴屋町エリアで GRASSROOTS が空いていなかったらそのまま奥に進んでこちらに。
カウンターに案内されると窮屈だけど、テーブル席が空いていれば◎
ttps://maps.app.goo.gl/Pb1PLcG2yUWND3yB8
東口側だと商業施設内以外の店舗はないと思う。ここもオフィスビルの中なんだけど、席数が多くて比較的空いている。土日休みなのと閉店が早いのが残念。
ただ金港町を抜けるならベイクォーター内のカフェにワンチャンかけたほうがいい説はある。
備考 :
(追記)元増田のトラバでネカフェに関する言及があるけど、横浜駅周辺のネカフェだったら西口のパルナード通り(ドンキのある通り)にある「俺の部屋」っていうところがおすすめ。完全個室で落ち着ける。
「横浜で遊ぼう」には十分注意してください。
という投稿がバズっていました。
その中では、「横浜で遊ぶ」とは「横浜駅西口エリアのゲーセンで遊んだり飲んだりすること」とあったのですが、なんとなく
「横浜西口エリアのゲーセン」事情の認識が2010年代で止まってしまっている人が見受けられたので
2024年1月現在の横浜駅西口エリアのゲームセンターの状況を記しておきます。
ビデオゲームがあるゲーセンは現在2店舗、クレーンゲーム専門店を含めても3店舗しかありません。
カラオケ、ボウリングなどを含む総合アミューズメント施設です。
低層にクレーンゲー、高層に音ゲー、カードゲー等のビデオゲームが稼働しています。
最近、ストリートファイターシリーズ最新作のアーケード版が稼働開始しましたが、
そして、新旧様々なビデオゲームが稼働していた、いわゆる昔ながらのゲーセンは、
ここ10余年の間にジワジワと減少し、2023年6月を最後に全て閉店してしまいました。
・アメリカングラフィティ(現 ソフトバンク横浜西口 ほか)2012年4月閉店
・セブンアイランド(現 磯丸水産五番街店 ほか)2012年5月閉店
・ゲームスペースジャンボ(現 濱いちもんめ横浜店)2015年5月閉店
・フリーダム横浜(現 ビッグエコー横浜相鉄口五番街店)2019年3月閉店
・パソピアード横浜(現 福包酒場横浜西口店 ほか)2023年6月閉店
・ナムコプレイシティキャロット横浜店(現 フレッシュネスバーガー横浜西口店(閉店))2014年1月閉店
・アドアーズ横浜店(現 ファミリーマート横浜南幸二丁目店 ほか)2011年8月閉店
横山 昭二 弁護士(炭坑夫 → 夜間大学中退 → 検察官 → 弁護士)
諸橋 仁智 弁護士(大学中退 → ヤクザ → 薬物で執行猶予判決食う&破門 → 行政書士+司法書士試験合格 → ロースクール → 弁護士)
竹内 和生 弁護士(工業高校卒 → 電気管理技術士として働きながら2018年に司法試験に合格 → 現在は企業内弁護士として活躍中)
なお、昨年(2021年)に、そもそもまだ大学1年生なので、学士ですらない慶應ボーイが、18歳3ヶ月で司法試験に合格したばかり
あと誰でも余裕で入れるとはいかないですけど
ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く 奥村晃作
履歴書の写真がどう見ても菩薩いちど手を合わせて封筒へ 山川藍
廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て 東直子
もういやだ死にたいそしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい 岡野大嗣
われの一生(ひとよ)に殺(せつ)なく盗なくありしこと憤怒のごとしこの悔恨は 坪野哲久
家々に釘の芽しずみ神御衣(かむみそ)のごとくひろがる桜花かな 大滝和子
たそがれの空は希望のいれものぞ外套とビスケットを投げあげて 寺山修司
何不自由なく甘ったれた環境でぬくぬくと育ってきた。いわゆる親ガチャには成功したほうだと思う。幼い頃から小説ならいくらでも買ってもらえたから、どこかに出かけるたびに本屋に寄るようねだり、1冊ずつ買ってもらっては読みほした。当然本好きに育った。中高生の頃ぼんやりと、自分はきっと本と関係する業界に就くのだろうと思った。大学生になってもその想いは変わらないまま、最近就活を迎えた。
愕然とした。
好きな雑誌?ほとんど本か漫画しか読んだことがない。やりたい企画?企画ってそもそもなんなんだよ。どうやって作ればいいんだよ。会いたい人?そもそも本以外の趣味なんてなく、TVもほとんど見ないのに芸能人のナニガシなんてわかるわけがない。
そして気づく。そもそも私より本をたくさん読んでいて、それ以外の趣味もたくさん持っていて、コミュニケーション能力があって、弁舌の立つ人間が、おそらくこの世界には五万といること。
正確に言うと、ずっとずっと昔からぼんやりと気づいてはいたのだ。編集者になるには多様な興味関心が必要だと、なんとなく察していたのだ。でも見ないふりを続けてきた。だって今まで苦労したことない甘ったれなのだ。最後にはなんとか帳尻を合わせられるだろうと踏んでいた。とうとうここにきて露見した。最早取り返しのつかない状況で、取り返しのつかない人生を送ってきたことをはっきりと自覚したのだ。
もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
──岡野大嗣
やっと自分の愛が、こんなにもちっぽけでつまらないものであったことに気づく。
集英社も講談社もポプラ社もそもそもESすら出せなかった。今日なんとか新潮社を出したけど、書いている最中には小説を一番好きだと宣いながら好きな作家にはあまりにも有名な作家ばかりをあげる自分の情けなさにほとほと嫌気がさしていた。ねえ、俺は今まで文芸誌ひとつまともに読まずによく平気な顔で本好きを名乗ってこれたね?
文藝春秋を出したいけれど出せる自信がない。小学館を出したいけど受かるわけがない。
でも、ああ。
今自分が何も持っていないことに気づけてよかった。本当に何もかも手遅れになる前に自分がこんなにもくだらない存在であることに気づけてよかった。とにかく頑張ろう。内定を貰っている友人もいるけど、貰っていない友人もいるから。今切り替えればきっとどこかには繋がるはずだから。自分は一生本に携わって生きると確信していたから、今どうすればいいのかさっぱりわからないけど。でも何とかなるって信じたい。私の未来はまだ全部台無しになったわけじゃないんだって。今から、……新しい未来が開けるはずだって。
来週の合説を予約した。とりあえず小学館のESを書く。3時間ほど泣いたら何かの諦めがついたから今この文章を綴っている。1年後の自分が、10年後の自分が、これを見て笑ってくれますように。
そしてここまで読んでくれた君にどうか一つお願いがあるんだけど、こんな情けない実情は恋人にも友人にも言えやしないから、ここまで読んだよしみで罵倒なり励ましなり残していってくれやしないだろうか。私に人との繋がりを感じさせてくれないかな。
あのさ、
まあ要は私がその時に設定して契約したアカウントやらのパスワードとかなどを尋ねてきたってわけなの。
思い出したけど、
顔が思い出せないのよねー。
で電話したら
そうね増田ちゃーんみたいな感じで。
あれ?そんな間柄の仲だっけ?
私もパッと言われて思い出せない山の八合目までのところまで行ってて、
結局思い出せなかったの。
私その人と仕事していたの昨年かと思ったけど、
まあ事なきを得まくったんだけど。
結局は思い出せなかったわ。
うーん。
なんだかモヤモヤするわー。
って思いつつ、
まあそれを思いつつって言っておきながら、
その後別に何かするわけでもないし、
いいんじゃないかしら?
本当に思い出せないのよねー。
べ、別に物忘れがなんとかって話をしたいわけじゃないんだかんね!
うふふ。
なんかいいラインナップがないわねーって言霊になるから言わないけど、
目玉焼き的なタマゴがドーンと挟んだ私好みのサンドイッチがあったら嬉しいなぁって。
ちょっとさ、
朝起きたらいきなり腰パワーがゼロで始まる今日一日の物語は辛すぎるわ。
起きてしばらくして腰を温めたら
動けるようになったけど、
冷えにはご用心よ!
すいすいすいようび~
今日も頑張りましょう!